【付ける】と【着ける】と【点ける】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「つける」という読み方の「付ける」と「着ける」と「点ける」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「付ける」と「着ける」と「点ける」という言葉は同音の言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。




「付ける」と「着ける」と「点ける」の違い

「付ける」と「着ける」と「点ける」の意味の違い

「付ける」と「着ける」と「点ける」の違いを分かりやすく言うと、「付ける」は二つ以上の物を離れない状態にすることを表現する時に使い、「着ける」は身体に沿わせることを表現する時に使い、「点ける」は灯りをともすことを表現する時に使うという違いです。

「付ける」と「着ける」と「点ける」の使い方の違い

「付ける」という言葉は、「窓に目隠し用のシートを付ける」「新しい知識を身に付けるとわくわくする」などの使い方で、何かの表面に付着させることや、ある性質や能力が備わるようにすることを意味します。

「着ける」という言葉は、「風があるとボートを岸に着けるのは難しい」「着けていたはずのイヤリングを失くしてしまった」などの使い方で、乗り物などを定められた場所に停めることや、衣服やアクセサリを身に纏うことを意味します。

「点ける」という言葉は、「クリスマスツリーに明かりが点けられる」「火を点けてから30分間煮込む」などの使い方で、灯りをともすことや、燃えるようにすることを意味します。

「付ける」と「着ける」と「点ける」の使い分け方

「付ける」と「着ける」は、どちらも対象から離れない状態を意味する言葉ですが、前者の「付ける」は、「シールを付ける」など自然と離れていく可能性のある言葉に使います。後者の「着ける」は対象から離す動作がなければ離れないものに対して使います。

そのため、「知識をつける」という表現は、「付ける」と「着ける」のどちらで書かれることも多い言葉ですが、記憶が失われた場合身に付けた知識はなくなるため、前者の「付ける」を使います。

これが、「付ける」「着ける」「点ける」の明確な違いです。

「付ける」の意味

「付ける」とは

「付ける」とは、あるものが他のものから離れない状態にすることを意味しています。

「付ける」を使った言葉として、「唾を付ける」「尾鰭を付ける」があります。

「唾を付ける」の意味

一つ目の「唾を付ける」とは、他人に取られることのないように前もって手を打っておくことを意味する慣用表現です。「眉に唾を付ける」は似ていますが、騙されたりしないよう用心することを意味するため、「唾を付ける」とは意味が大きく異なります。

「尾鰭を付ける」の意味

二つ目の「尾鰭を付ける」(読み方:おひれをつける)とは、実際には無いことを付け加えて話を大げさにすることを意味する慣用表現です。魚に尾やヒレが付くように本体に様々なものが付くことが由来となった言葉です。

表現方法は「身に付ける」「味方に付ける」「元気付ける」

上の表現のように、「付ける」は何かの表面に付着させたり、「身に付ける」のように何かに他のものを加えたりする時に多く使われる言葉ですが、「味方に付ける」など他人や他人の心の傍にいる時や、「元気付ける」など働きを活発にさせる時などにも使われる言葉です。

「付ける」の対義語

「付ける」の対義語・反対語としては、くっついているものを分けることを意味する「離す」があります。

「付ける」の類語

「付ける」の類語・類義語としては、物の表面に塗料などを擦るようにして付けることを意味する「塗る」、一定の位置に泊まって動かないことを意味する「固定」、物と物をぴったりとくっつけることを意味する「接着」などがあります。

「着ける」の意味

「着ける」とは

「着ける」とは、身体に纏わせたり、身体を何かに届かせることを意味しています。

表現方法は「マスクを着ける」「ピアスを着ける」「ネクタイを着ける」

「着ける」を使った表現は、「マスクを着ける」「ピアスを着ける」「ネクタイを着ける」「ペットに首輪を着ける」など身体に何かを纏う時、身に付ける時に、「地に足を着ける」「相手の頬に自分の頬を着けて挨拶をする」など体の一部をどこかに触れさせる時に使われます。

その他にも、「トラックを家の前に着けてもらい荷物を運ぶ」「岸に着いた舟に乗り込む」など乗り物をある場所に停める時や、「彼らを席に着けてから話を始めた」のようにある場所にいさせる時にも使われる言葉です。

「着ける」の対義語

「着ける」の対義語・反対語としては、ある場所から退いたり離れたりすることを意味する「外す」、身に付けていたものを取り去ることを意味する「脱ぐ」があります。

「着ける」の類語

「着ける」の類語・類義語としては、着物の上から軽く掛けるようにして着ることを意味する「羽織る」、身に付けることを意味する「纏う」、靴や靴下など履物を足につけることを意味する「履く」などがあります。

「着ける」の着の字を使った別の言葉としては、衣服を身に付けることを意味する「着衣」、物に色を付けることを意味する「着色」、目的地などに行きつくことを意味する「到着」、人々の間に浸透することを意味する「定着」などがあります。

「点ける」の意味

「点ける」とは

「点ける」とは、燃えるようにすることを意味しています。

表現方法は「火を点ける」「電気を点ける」「エアコンを点ける」

「点ける」を使った表現は、「火を点ける」「ろうそくを点ける」のように何かを燃えるようにすることを意味する時に、「部屋の電気を点ける」「エアコンを点ける」「ライトを点ける」のように明かりをともすことを意味する時に使われます。

その他にも、「暖房を点ける」「テレビを点けておく」のように電子機械のスイッチなどを入れることで作動させることを意味する時にも使われる言葉です。

「点ける」の対義語

「点ける」の対義語・反対語としては、燃えている火をなくならせたり、電気機器の働きを止めることを意味する「消す」があります。

「点ける」の類語

「点ける」の類語・類義語としては、火をつけて灯りをつけること意味する「灯す」、明かりをつけることを「点灯」があります。

「点ける」の点の字を使った別の言葉としては、火をつけることを意味する「点火」、目に薬を垂らすことを意味する「点眼」、注意するべきところに付ける小さな点を意味する「圏点」、表面にまばらに散らばった点を意味する「斑点」などがあります。

「付ける」の例文

1.小学生の頃から毎日寝る前に3行だけ日記を付ける習慣がある。
2.彼を元気付けるには、単純な励ましでは難しかったようだ。
3.彼女が付けたタイトルが斬新だったこともあり、瞬く間に新作の小説が売れていった。
4.おじさんはいつも手紙を出す時につばを付けて切手を貼っていたのだが、今の時代の感覚から言えば少々汚いなと思ったりするのだ。
5.夏休みのラジオ体操に寝坊せずに毎日通えた理由は、役員のおじさんから、ごほうびシールを付けてもらうのがうれしかったというのもあったな。
6.これからの時代は、知識を身に付けることは検索エンジンがあるから必要ないと思うけど、考え方を身に付けることはすごく大事なことだと思うよ。

この言葉がよく使われる場面としては、あるものがあるものから離れないようにすることを意味する時などが挙げられます。

例文1の「日記を付ける」のように、後に残るように書き付けたり印を残すことも意味したり、例文3の「付けたタイトル」のように名前や値段を決めることも意味します。

「着ける」の例文

1.マスクを着ける機会が増え、様々な色や柄をしたマスクが販売されるようになった。
2.彼のアパートの前に車を着けたことはあるが、どの部屋に住んでいるかまではわからない。
3.先生は休憩時間が終わるチャイムが鳴った時、生徒たちを席に着けた。
4.子猫に首輪を着けようとすると嫌がるので、またちょっとしたら着けようと思っていたのだが、何年も経ってしまってもはや首輪を着けることは不可能になった感じだ。
5.新婚早々、わたしはたっての希望で妻にネクタイを着けてもらったのだが、独身時代を比較して結婚とはいいものだなと少々浮かれ気味になっていたかもしれない。
6.学生時代はいろいろな妄想にふけって非現実的なことばかりをしていたが、大人になってからは地に足を着けてちゃんと生活しているので安心してほしい。

この言葉がよく使われる場面としては、身体に纏わせたり、乗り物をある場所に止めることを意味する時などが挙げられます。

例文1の「マスクを着ける」という表現は、「付ける」という表記に変えることができますが、人工呼吸器などの器具の場合には「付ける」のみしか使うことができません。

「点ける」の例文

1.あまりにも寒すぎてエアコンを点けざるを得なかった。
2.火を点けて焚き火をするのは、キャンプにおける醍醐味の一つだと思っている。
3.電気を点けたまま寝てしまったからかあまり疲れが取れていない。
4.子どもの頃集めた落ち葉に火を点け焼き芋を焼いていたら、思いの外火が大きくなりボヤ騒ぎを起こし親に怒られたことがある。
5.家に帰ると弟がこたつでグーグーと寝ており、テレビも点けっぱなしで、だらしがないやつだと思いつつテレビを消してそのまま寝かしてあげたのだった。
6.新しく買ってきたクリスマスツリーをみんなで飾り、明かりを点けると子どもたちも犬もみんな喜んでいて、なにか心が温まる気持ちになった。

この言葉がよく使われる場面としては、燃えるようにすることや灯りをともすことを意味する時などが挙げられます。

どの例文の「点ける」も「付ける」や「着ける」に置き換えて使うことができません。例文1や例文3の電化製品と共に使われている「点ける」を「付ける」に変えてしまうと、部屋に設置することを意味することになります。

「付ける」と「着ける」と「点ける」どれを使うか迷った場合は、物を離れない状態にすることを表す場合は「付ける」を、身体に沿わせることを表す場合は「着ける」を、灯りをともすことを表す場合は「点ける」を使うと覚えておけば間違いありません。

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