似た意味を持つ「付加価値」(読み方:ふかかち)と「価値」(読み方:かち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「付加価値」と「価値」という言葉は、どちらも「物事の値打ち」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
付加価値と価値の違い
付加価値と価値の意味の違い
付加価値と価値の違いを分かりやすく言うと、付加価値とは更に付け加えられた物事の値打ちを表し、価値とは物事の値打ちという違いです。
付加価値と価値の使い方の違い
一つ目の付加価値を使った分かりやすい例としては、「付加価値のある提案を心掛ける」「多彩なイベントで英語教室の付加価値を高める」「1人あたりの付加価値が高い会社である」「日銀方式で付加価値を計算しました」などがあります。
二つ目の価値を使った分かりやすい例としては、「常に価値ある提案を行うようにする」「このイラストには100万円の価値がある」「彼女とは価値観が合わない」「仲の良いカップルにも価値観の違いはあるだろう」などがあります。
付加価値と価値の使い分け方
付加価値と価値という言葉は、どちらも物や事柄が持っている価値を表し、ビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
付加価値とは、「付加価値額」「付加価値生産性」のような使い方で、企業あるいは産業が一定期間の生産活動により新たに付加した価値を意味します。また、「付加価値のある提案」のような使い方で、何らかの独自の価値を商品やサービスに付け加えることも意味する言葉です。
価値とは、その物事がどれくらい役に立つか、値打ちがあるかを意味する言葉です。「価値ある提案」とは、顧客にとって値打ちがり有用である提案のことです。また、哲学用語で善や美などの常に承認されるべき絶対的な性質を表し、「価値観」とは、善悪や美醜などその人なりの判断基準を言います。
つまり、付加価値とは物事に付け加えられた値打ちのことであり、価値とは物事がもともと持っている値打ちを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
付加価値と価値の英語表記の違い
付加価値を英語にすると「added value」「something extra」「additional value」となり、例えば上記の「付加価値のある提案」を英語にすると「a value-added offer」となります。
一方、価値を英語にすると「value」「amount」「merit」となり、例えば上記の「価値ある提案を行う」を英語にすると「deliver the value proposition」となります。
付加価値の意味
付加価値とは
付加価値とは、生産過程で新たに加えられた価値を意味しています。
その他にも、「ある商品やサービスなどに付け加えられた、他にはない独自の価値」の意味も持っています。
表現方法は「付加価値が高い」「付加価値をつける」
「付加価値が高い」「付加価値をつける」などが、付加価値を使った一般的な言い回しです。
付加価値の使い方
「付加価値の計算方法を説明します」「付加価値額は売上総利益とほぼ同額です」「付加価値の高い人材を求める」「消費税と付加価値税の違いが分かりません」「前年度に比べて付加価値率は高い」などの文中で使われている付加価値は、「生産過程で新たに加えられた価値」の意味で使われています。
一方、「ちょっとした工夫で付加価値をつける」「営業職は個人の人柄が付加価値になります」「ビジネス本で付加価値のつくりかたを勉強する」などの文中で使われている付加価値は、「ある商品に付け加えられた他にはない独自の価値」の意味で使われています。
付加価値とは、生産過程において、総生産額から原材料費や燃料費などと減価償却費を差し引いたものであり、人件費や利子や利潤の合計を指します。財務分析をする際に、生産性を測る指標となるものです。付加価値が高まると労働生産性は高くなります。
また、付加価値という言葉は、商品やサービスが既に備わっている価値に、さらに加わった特別な価値も意味します。例えば、シンプルなボールペンにデザインという付加価値を付ける、宿泊施設に体験型のレジャーという付加価値を付ける、などがあります。
「付加価値税」の意味
付加価値を用いた日本語には、「付加価値税」があります。付加価値税とは、「VAT」と呼ばれ、付加価値を課税標準として生産の多段階において賦課徴収する税のことです。日本では、1950年に制定されましたが、実施されないまま廃止となりました。
付加価値の対義語
付加価値の対義語・反対語としては、どんなに魅力ある商品でもいずれは付加価値が無くなるを意味する「コモディティ化」などがあります。
付加価値の類語
付加価値の類語・類義語としては、一定の額・量に対し、ある割合を増し加えることを意味する「割り増し」、入場券などの正規の料金の上に加えられる割増金を意味する「プレミア」、もとになる数量にいくらかつけ加えることを意味する「プラスアルファ」などがあります。
価値の意味
価値とは
価値とは、その事物がどのくらい役に立つかの度合い、値打ちを意味しています。
「経済学で、商品が持つ交換価値の本質とされるもの」「哲学で、あらゆる個人や社会を通じて常に承認されるべき絶対性をもった性質。真・善・美など」の意味も持っています。
表現方法は「自分の価値」「商品価値」「物の価値」
「自分の価値」「商品価値」「物の価値」「本当の価値」「新しい価値」などが、価値を使った一般的な言い回しです。
価値の使い方
「価値のある硬貨を高く買い取ってもらう」「価値協創ガイダンスを参考にする」「価値創造型の思考が必要だろう」「英語は勉強する価値がある」などの文中で使われている価値は、「その事物がどのくらい役に立つかの度合い」の意味で使われています。
一方、「マルクスの剰余価値学説史を読み解く」の文中で使われている価値は「商品が持つ交換価値の本質とされるもの」の意味で、「価値論の基礎を固める」「夫婦でも価値観の違いはあるだろう」などの文中で使われている価値は「常に承認されるべき絶対性をもった性質」の意味で使われています。
価値とは、上記の例文にあるように複数の意味を持つため、文脈により意味を判断する必要があります。価値の「価」は訓読みで「あたい」と読み、その物や事柄がもっている値打ちや値段を表し、「値」は役に立つ程度や度合い、品物の値段を表す漢字です。
「価値観」の意味
価値を用いた日本語には「価値観」があります。価値観とは、どんなことに価値を見出すのか、という個人の根本的な考え方を意味します。物事の善悪、好ましいこと好ましくないこと、などの物事を評価したり判断するときに基準となるものです。
価値の対義語
価値の対義語・反対語としては、価値がないことを意味する「無価値」、役に立たないことを意味する「無駄」などがあります。
価値の類語
価値の類語・類義語としては、その物や事柄がもっている価値を意味する「値打ち」、性質や性能などで優れているところを意味する「長所」、商品の価値を貨幣で表したものを意味する「価格」、 価値や値打ちや対価を意味する「バリュー」などがあります。
付加価値の例文
この言葉がよく使われる場面としては、企業が生産によって生み出した価値、製品やサービスなどに付け加えた価値を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、付加価値の慣用的な言い回しには「付加価値を提供」「付加価値を持つ」「付加価値が高い」「付加価値を付ける」などがあります。例文1の「付加価値額」とは、企業が一定期間に生み出した利益のことであり、経営向上の程度を示す指標となります。
価値の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のもっている値打ち、ある目的に有用な事物の性質、物事や行為の望ましいあるいは望ましくない性質を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、価値の慣用的な表現には「商品価値」「本当の価値」「自分の価値」などがあります。例文5の「価値哲学」とは、真・善・美などの価値の原理に関する哲学的研究を意味し、「価値論」とも言います。
付加価値と価値という言葉は、どちらも「物事の値打ち」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、さらに付け加えられた値打ちを表現したい時は「付加価値」を、物事の値打ちを表現したい時は「価値」を使うようにしましょう。