似た意味を持つ「ジンクス」と「迷信」(読み方:めいしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ジンクス」と「迷信」という言葉は、「科学的な根拠に基づかない言い伝え」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ジンクスと迷信の違い
ジンクスと迷信の意味の違い
ジンクスと迷信の違いを分かりやすく言うと、ジンクスは縁起の良い言い伝えを表現する時にも使い、迷信は実害を引き起こす言い伝えを表現する時にのみ使うという違いです。
ジンクスと迷信の使い方の違い
一つ目のジンクスを使った分かりやすい例としては、「ジンクスを破るほどの強さを見せつけてくれた選手に観客は沸いた」「彼にとっての勝負前のカツ丼はジンクスのようだ」「人のジンクスを参考にしてみたいくらいに今は運が悪いと思っている」などがあります。
二つ目の迷信を使った分かりやすい例としては、「迷信を信じる時は他力本願になっている時だろう」「迷信は調べてみれば面白いが恐ろしいものも存在する」「実際にSNSの内容を迷信してしまうこともある」などがあります。
ジンクスと迷信の使い分け方
ジンクスと迷信はどちらも、科学的な根拠に基づかない言い伝えを表す言葉として使われていますが、意味や使い方が若干異なります。
ジンクスは、縁起のよい言い伝えや縁起の悪い言い伝えを表し、生活における教訓や習慣として受け入れられていることが多くあります。
一方の迷信は、社会的に実害を引き起こすような道徳に反する知識や信仰を表し、社会的に見ても災害が起きたり出生率が下がるなどの出来事も過去に発生しました。また、誤って信じることも意味します。
つまり、ジンクスは縁起の悪いものだけでなく縁起がいい言い伝えを表す時にも使われ、迷信は実害が発生するような言い伝えのみを表す時に使われるという違いがあります。
また、ジンクスは多くの人に馴染みがあるわけではない個人規模のおまじないのようなものにも使われるのに対して、迷信は誰もが一度は耳にしたことがあるような社会規模の信仰に対して使われるという違いもあります。
ジンクスと迷信の英語表記の違い
ジンクスを英語にすると「jinx」となり、例えば上記の「ジンクスを破る」を英語にすると「break the jinx」となります。一方、迷信を英語にすると「superstition」となり、例えば上記の「迷信を信じる」を英語にすると「believe in superstition」となります。
ジンクスの意味
ジンクスとは
ジンクスとは、縁起のよい言い伝えや縁起の悪い言い伝えを意味しています。
表現方法は「ジンクスがある」「ジンクスを破る」「ジンクスを覆す」
「ジンクスがある」「ジンクスを破る」「ジンクスを覆す」などが、ジンクスを使った一般的な言い回しです。
ジンクスの使い方
ジンクスを使った分かりやすい例としては、「カップルで行けば必ず別れるジンクスがある場所が逆に気になる」「ジンクスを打ち破り見事優勝を果たした」「一位に輝いたチームは翌年悪い順位になるジンクスがある」などがあります。
その他にも、「よく当たるジンクスで自分の運を引き寄せたいものだ」「欲しいものは当たらないというジンクスは色々な人が経験していると思う」「恋愛ジンクスのまとめサイトは見ていて面白い」などがあります。
ジンクスは英語で「jinx」と表記され、「演技の悪いもの」「不運」「不吉」といった意味を持ちます。英語では縁起の悪いもののみに用いられていることから、日本のメディアなどではどちらかと言えば縁起の悪い内容に対して使われることがあります。
キツツキ科に分類されるアリスイが首を180度回転させて真後ろを向き、その姿が不吉だと捉えられていたことから、この鳥のギリシア語表記である「Iynx」が由来となって「jinx」という語が生まれたという説があります。
日本では、縁起の悪い数字である忌み数が日常生活におけるジンクスとして知られており、タピオカが社会現象となった後は不景気をもたらす出来事が起こるといった経済面でのジンクスが存在するなど、基本的には科学的根拠はなく、経験則で言い伝えられています。
ただし、「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」という天候に関するジンクスのように、晴天でなければツバメにとって餌となる虫が低めに飛ぶといった裏付けがなされているものや、形が似ているからお互いに影響し合うという類感魔術的なものも多くあります。
ジンクスの対義語
ジンクスの対義語・反対語としては、物事に対してよい結果をもたらそうとするための行いを意味する「験担ぎ」(読み方:げんかつぎ)があります。
ジンクスの類語
ジンクスの類語・類義語としては、神仏やその他の不可思議なものの威力を狩りて災いなどを起こしたり除く術を意味する「まじない」夢見が悪くて不吉な予感がすることを意味する「夢騒がし」などがあります。
迷信の意味
迷信とは
迷信とは、社会的に実害を引き起こすような道徳に反する知識や信仰を意味しています。
その他にも、誤って信じることを意味する言葉として使われています。
表現方法は「迷信を吹き込まれている」「迷信を信じる」
「迷信を吹き込まれている」「迷信を信じる」などが、迷信を使った一般的な言い回しです。
迷信の使い方
「丙午の女性に対する迷信のせいで出生率が低下した時代がある」「迷信打破を試みなければいつまでも男女の差が埋まらない」などの文中で使われている迷信は、「実害を引き起こすような信仰」の意味で使われています。
一方、「彼は根も葉もないうわさを聞いて迷信することが多々ある」「悪いうわさを迷信するほどの信頼関係だったと知ってショックを受けた」などの文中で使われている迷信は、「誤って信じること」の意味で使われています。
迷信は、人々に信じられている事柄でですが、合理的な根拠はないものがほとんどです。その行為や出来事によって物事が上手く進んだなどの成功体験がきっかけとなり、「朝の蜘蛛は縁起がいい」「茶柱が立つと縁起が良い」などの言い伝えが生まれました。
後に、「秋茄子は嫁に食わすな」「夜に爪を切ってはいけない」など、身近な不安の解消や日常的に安心を得るために迷信が用いられるようになり、現代にも言い伝えられています。ただし、実際に信じる人はほとんどいないとも言われています。
迷信の対義語
迷信の対義語・反対語としては、正しい信仰を意味する「正信」(読み方:しょうしん)があります。
迷信の類語
迷信の類語・類義語としては、因果関係の証明が困難である言い習わしを意味する「俗信」、都市化の進んだ現代において口承される噂話を意味する「都市伝説」、その行いが悪い結果になると言われている事柄を意味する「タブー」などがあります。
ジンクスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、縁起のよい言い伝えや縁起の悪い言い伝えを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2のように縁起の悪いものに対して使われるだけでなく、例文3から例文5のように縁起の良いものに対しても使われています。
迷信の例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会的に実害を引き起こすような道徳に反する知識や信仰を意味する時などが挙げられます。
今日では例文3や例文4のように、単純に不合理である言い伝えに対して使われていることがほとんどです。
また、例文5のように誤って信じることを意味する言葉としても使われています。
ジンクスと迷信は、どちらも「科学的な根拠に基づかない言い伝え」を表します。どちらを使うか迷った場合は、縁起の良い言い伝えを表す場合は「ジンクス」を、実害を引き起こす言い伝えを表す場合は「迷信」を使うと覚えておけば間違いありません。