似た意味を持つ「天真爛漫」(読み方:てんしんらんまん)と「天衣無縫」(読み方:てんいむほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「天真爛漫」と「天衣無縫」という言葉は、どちらも「飾り気がなく無邪気な人柄」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
天真爛漫と天衣無縫の違い
天真爛漫と天衣無縫の意味の違い
天真爛漫と天衣無縫の違いを分かりやすく言うと、天真爛漫とは無邪気な人柄のみを表し、天衣無縫とは無邪気な人柄だけでなく自然で美しい文章も表すという違いです。
天真爛漫と天衣無縫の使い方の違い
一つ目の天真爛漫を使った分かりやすい例としては、「子どもの天真爛漫な笑顔に癒される」「天真爛漫な女性に惹かれます」「末っ子は天真爛漫に育ちました」「天真爛漫な人は物事に対して素直です」などがあります。
二つ目の天衣無縫を使った分かりやすい例としては、「自作のショートストーリーが天衣無縫と評された」「あの人は自由奔放で天衣無縫な言動が多い」「笑顔に天衣無縫のお人柄が滲み出ている」などがあります。
天真爛漫と天衣無縫の使い分け方
天真爛漫と天衣無縫という言葉は、どちらも「飾ったり気取ったりせず、明るさと無邪気さのあふれ出ているさま」という共通の意味を持ちます。この意味で使用されている「天真爛漫な女性」「天衣無縫な言動」の天真爛漫と天衣無縫は、互いに置き換えて使っても意味は通じます。
さらに天衣無縫という言葉は、「文章や詩歌がわざとらしくなく自然に作られていて巧みなこと」の意味も持っています。この意味は「天真爛漫」にはないので、「自作のショートストーリーが天衣無縫と評された」の天衣無縫は、天真爛漫という言葉に置き換えることはできません。
つまり、天真爛漫は主に人の性格を表しますが、天衣無縫は人の性格だけでなく文章や詩歌を評価する時にも使用されます。二つの言葉を比べると、天真爛漫よりも天衣無縫の方が多くの意味を持ち、幅広く使えうことができる四字熟語であると言えるでしょう。
天真爛漫と天衣無縫の英語表記の違い
天真爛漫も天衣無縫も英語にすると「innocent」「simplicity」となり、例えば上記の「天真爛漫な笑顔」を英語にすると「innocent smile」となります。
天真爛漫の意味
天真爛漫とは
天真爛漫とは、飾ったり気どったりせず、ありのままであること、無邪気で微笑ましくなるようなさまを意味しています。
天真爛漫の使い方
天真爛漫を使った分かりやすい例としては、「彼女の魅力は天真爛漫な性格と明るい笑顔です」「父は天真爛漫にゲームを楽しんでいた」「ビオラの花言葉は天真爛漫です」「天真爛漫な彼は幼少期を英語圏で過ごしました」などがあります。
その他にも、「天真爛漫な人は明るく素直な性格です」「天真爛漫な女性は男性からモテます」「天真爛漫は悪く言うと幼稚ですね」「兄は天真爛漫でちゃらんぽらんな人です」「人付き合いが良いのは天真爛漫な女子の特徴です」などがあります。
天真爛漫の「天真」は自然のままで飾りけのないことを表し、「爛漫」は花が咲き乱れているさまや光り輝くさまを表します。天真爛漫とは、飾らず自然のままの姿があふれ出ているさま、生まれつきの素直な心そのままで、明るく純真で無邪気なさまの意味をもつ四字熟語です。
天真爛漫は褒め言葉として使う
天真爛漫という言葉は、基本的には誉め言葉として使用されています。しかし、使い方次第では嫌味として、「子供っぽい」「物事の感じ方が鈍い」「人の気持を考えない」など悪い意味で捉えることもできる言葉です。使う時には、語弊が生じないように注意しましょう。
天真爛漫の対義語
天真爛漫の対義語・反対語としては、心が曲がっていて悪知恵が働き人にこびへつらうことを意味する「奸佞邪知」などがあります。
天真爛漫の類語
天真爛漫の類語・類義語としては、心が清らかで飾り気のないことを意味する「純真無垢」、素直で悪気がないことや偽りや作為がないことを意味する「無邪気」、邪念や私欲のないことを意味する「純粋」などがあります。
天衣無縫の意味
天衣無縫とは
天衣無縫とは、天人の衣服には縫い目のあとがないことから、詩や文章などに技巧のあとが見えず自然であって完全無欠で美しいことを意味しています。
その他にも、「人柄が飾り気がなく純真で無邪気なさま、天真爛漫なこと」の意味も持っています。
天衣無縫の使い方
「愛と孤独を綴った天衣無縫の名作である」「金賞に選ばれた和歌は天衣無縫であった」「織田作之助は天衣無縫な文章を書いた」などの文中で使われている天衣無縫は、「文章などが完全無欠で美しいこと」の意味で使われています。
一方、「あの人は若い頃から天衣無縫でした」「無邪気でピュアな祖母は天衣無縫の極みです」「天衣無縫な人柄の彼女は悪口など言ったことがありません」などの文中で使われている天衣無縫は、「天真爛漫なこと」の意味で使われています。
天衣無縫とは、天人や天女の着物には縫い目がないことです。転じて、詩文などが、余計な修飾がなく、自然でわざとらしくなく完成されていることを意味する四字熟語です。また、人柄が純真で、まったく嫌みがないさまも意味します。
天衣無縫の語源
天衣無縫という言葉の語源は、中国の古典「霊怪録」に由来します。郭翰かくかんという青年が庭にでて涼みながら寝ていると、空から天女が降りてきました。郭翰が天女の服に縫い目がないことを不思議に思って尋ねると、「天人の衣は針と糸を使わずに作るのです」と答えたそうです。
天衣無縫の対義語
天衣無縫の対義語・反対語としては、経験豊富で悪賢いことを意味する「狡猾老獪」などがあります。
天衣無縫の類語
天衣無縫の類語・類義語としては、傷のない黄金のかめのように完全で欠点のないことを意味する「金甌無欠」、性質などが純粋で偽りや邪心がないことを意味する「純一無雑」、素直で可愛らしいことを意味する「純情可憐」などがあります。
天真爛漫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、うわべを飾ったところが少しもなく、ありのままであることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「天真爛漫」と「天然」の違いは、天真爛漫は明るく素直な性格であるポジティブな意味合いが強く、天然は周囲の人と少しズレているというネガティブな意味合いがある点にあります。
天衣無縫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、作品や人柄に作為が見えずごく自然な感じであること、無邪気な感じで好ましいさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の天衣無縫は、作品に作為が見えず自然な感じであることの意味で用いられています。例文3から例文5の天衣無縫は、人柄が無邪気で好ましいさまの意味で使用されています。
天真爛漫と天衣無縫という言葉は、どちらも「飾り気がなく無邪気な人柄」を表します。さらに「天衣無縫」には、文章や詩歌がごく自然にできあがっていて完全で美しいことの意味もあることを覚えておきましょう。