【確保】と【捕獲】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「確保」(読み方:かくほ)と「捕獲」(読み方:ほかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「確保」と「捕獲」という言葉は、どちらも「手に入れること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




確保と捕獲の違い

確保と捕獲の意味の違い

確保と捕獲の違いを分かりやすく言うと、確保とは物や人を手に入れて離さないことを表し、捕獲とは生き物や船を捕まえることを表すという違いです。

確保と捕獲の使い方の違い

一つ目の確保を使った分かりやすい例としては、「社内システムで会議室を確保する」「チューブを用いた確実な気道確保法をご紹介します」「当局は身柄確保のために捜索チームを結成した」「登山で役立つロープを使った確保技術を習得する」などがあります。

二つ目の捕獲を使った分かりやすい例としては、「狩猟鳥獣の捕獲数の統計を公表する」「建物に入り込んでいたクマが捕獲されました」「この区域では捕獲が禁止されています」「領海上で敵国の船舶や貨物を捕獲する」などがあります。

確保と捕獲の使い分け方

確保と捕獲という言葉は、どちらも手に入れることや捕まえることを表し、音の響きが似ている言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。

確保とは、手に入れて離さないことを意味します。「食料を確保する」「犯人の身柄確保」「席を確保する」のような使い方で、物や人あるいは場所などに対して使用する言葉です。また、「ロープを使った確保技術」のように、転落や滑落を防止することを意味する登山用語にもなっています。

捕獲とは、何かを手に入れるために捕まえることを意味します。主に動物をいけどることを表し、野生動物を捕獲するための入れ物を「捕獲器」と言います。また、「敵国の船舶を捕獲する」のような使い方で、交戦国が敵または中立国の船舶や貨物を没収することも意味する国際法律上の言葉です。

つまり、確保とは手に入れて離さないことを意味し、物や人に対して使用される言葉です。一方の捕獲とは手に入れることや捕まえることを意味し、動物や人に使う言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

確保と捕獲の英語表記の違い

確保を英語にすると「security」「guarantee」「belay」となり、例えば上記の「会議室を確保する」を英語にすると「secure a meeting room」となります。

一方、捕獲を英語にすると「capture」「catch」「seizure」となり、例えば上記の「捕獲数」を英語にすると「capture number」となります。

確保の意味

確保とは

確保とは、確実に手に入れること、失わないようにしっかりと保つことを意味しています。

その他にも、「人のからだをしっかりつかまえること、自由に行動させないこと」「登山者がロープを使って自分や仲間の転落や滑落を防止すること、ビレー、ジッヘル」の意味も持っています。

表現方法は「確保する」「時間を確保」「犯人確保」

「確保する」「時間を確保」「犯人確保」などが、確保を使った一般的な言い回しです。

確保の使い方

「少子化の影響で人材を確保できない」「このメールは確保済みドメインに属しています」「情報処理安全確保支援士試験に合格しました」「住宅瑕疵担保責任の履行を確保する」などの文中で使われている確保は、「確実に手に入れること」の意味で使われています。

一方、「犯人の身柄を確保する」「犯人確保のために突入した」などの文中で使われている確保は「人のからだをしっかりつかまえること」の意味で、「隊員を確保しながら安全に山を登る」の文中で使われている確保は「登山者が転落や滑落を防止すること」の意味で使われています。

確保とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。確保の「確」は固く決めて動かないさまを表し、「保」はしっかりと持ち続けることを表す漢字です。

「情報処理安全確保支援士」の意味

確保を用いた日本語には「情報処理安全確保支援士」があります。情報処理安全確保支援士とは、2016年に創設されたサイバーセキュリティ分野の国家資格です。情報処理安全確保支援士は、情報システムに関するセキュリティの確保や、情報セキュリティインシデントの管理や対応などを担います。

確保の対義語

確保の対義語・反対語としては、投げ捨てて顧みないことを意味する「放棄」などがあります。

確保の類語

確保の類語・類義語としては、たもち続けることを意味する「保持」、全面的に自分の支配下に置くことを意味する「掌握」、自分の所有にすることを意味する「占有」、人の身体に直接力を加えて身柄を拘束することを意味する「逮捕」などがあります。

捕獲の意味

捕獲とは

捕獲とは、動物などを捕らえること、いけどることを意味しています。

その他にも、「国際法上、戦時に交戦国の軍艦が敵国または中立違反の船舶を取り押さえること、海上捕獲」の意味も持っています。

捕獲の読み方

捕獲の読み方は「ほかく」です。誤って「ほご」「ぶかく」などと読まないようにしましょう。

捕獲の使い方

「野生動物を捕獲して育てることは違法ですか」「捕獲したクジラを引き揚げて解体する」「外来魚の捕獲率を計算する」などの文中で使われている捕獲は、「動物などを捕らえること」の意味で使われています。

一方、「捕獲は交戦国に認められる交戦権の一つです」「戦争状態のもとでの捕獲や拿捕を掲げる」「横須賀に捕獲審検所が開設されました」などの文中で使われている捕獲は、「海上捕獲」の意味で使われています。

捕獲とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため文脈により意味を判断しましょう。捕獲の「捕」は訓読みで「つかまえる」と読み、逃げようとするものをとりおさえることを意味し、「獲」は訓読みで「える」と読み、手に入れることを意味します。

「捕獲審検所」の意味

上記例文にある「捕獲審検所」とは、交戦国が、海上における捕獲の効力の有無を確定するために設ける特別の裁判所を意味します。日本においては、日清戦争から戦時に限って横須賀や佐世保に捕獲審検所が設けられました。

捕獲の対義語

捕獲の対義語・反対語としては、束縛されたりいるものを解きはなして自由にすることを意味する「解放」などがあります。

捕獲の類語

捕獲の類語・類義語としては、逃げようとするものをとりおさえるを意味する「捕まえる」、暴れ動くものを押さえて動けないようにするを意味する「取り押さえる」、軍艦などが他国の船舶などをその支配下におくことを意味する「拿捕」などがあります。

確保の例文と使い方

1.忙しくても自分の時間を確保するために、常に物事の優先順位を意識しています。
2.労働基準法は雇用者の休憩時間を定めていますが、休憩場所の確保までは触れていません。
3.銀座の高級腕時計店で起きた強盗事件で、犯人確保の瞬間をカメラが捕らえていました。
4.英語教育を強化するためには、確かな指導者と適切な教材の確保が不可欠です。
5.全身を使って登るような岩場を安全に上り下りするためには、まず三点確保のスキルを身に付けてください。

この言葉がよく使われる場面としては、手に入れてしっかり保ち手離さないこと、登山でザイルなどを用いて自分や仲間の身体の安全を保つことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、確保の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「時間を確保」「場所の確保」「犯人確保」などがあります。例文5にある「三点確保」とは、四肢のうち三肢で体を支えることを意味する登山用語です。

捕獲の例文と使い方

1.アライグマやハクビシンを捕獲するには、市町村に申請して鳥獣捕獲許可を取得してください。
2.昨年度の海面漁業の捕獲量は約320万トンで、前年度より1パーセント減少しました。
3.近所の野良猫を保護するために、よく現れる場所に捕獲器を設置することにしました。
4.英語の先生は、アメリカザリガニを素手で直接捕獲して怪我をしてしまったようです。
5.抑留した私有船舶のうち捕獲が禁じられている船舶は、抑留する正当な事由がなくなった時点で解放されます。

この言葉がよく使われる場面としては、捕らえること、いけどること、取り押さえること、敵国の船舶などを取り押さえることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、捕獲の慣用的な言い回しには「捕獲する」「捕獲量」「捕獲器」などがあります。例文3にある捕獲と保護の違いは目的です。捕獲は取り押さえることが目的ですが、対象の安全を図ることが目的になります。

確保と捕獲という言葉は、どちらも「手に入れること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物や人を手に入れて離さないことを表現したい時は「確保」を、生き物や船を捕らえることを表現したい時は「捕獲」を使うようにしましょう。

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