【ひいては】と【しいては】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た読み方を持つ「ひいては」と「しいては」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ひいては」と「しいては」という言葉は、読み方は似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。

「ひいては」と「しいては」の違い

「ひいては」と「しいては」の違いを分かりやすく言うと、「ひいては」とは「最終的には」や「結局は」という意味で、「しいては」とは「強いる」という意味の違いです。

一つ目の「ひいては」は「最終的には」「結局のところ」「とどのつまり」などを意味する言葉です。漢字では「延いては」です。「延長」(読み方:えんちょう)という言葉に見て取れるように、「進めていった先」というイメージを持つと分かりやすくなります。

例えば「個々人が最良のプレーをすることが、ひいてはチームのためになるんだ」や「街のため、ひいては市民の皆さまのために職務に邁進してまいります」といったように使われるのが「ひいては」という言葉です。

二つ目の「しいては」は本来日本語にはない表現です。「しいては」は、「強いる」という言葉が「ひいては」と音が似ているために誤用されて生まれた言葉だと考えられています。

「強いる」は「嫌がることを無理に迫る、強制する」という意味です。「無理強いする」という言葉を思い出してみて下さい。例えば「犠牲を強いる」などのように使われます。

「しいては」という音は、例えば「犠牲を強いてはいけない」や「酒を無理に強いては、周囲を困らせていた」などのような表現で出てくることがないとは言い切れませんが、日本語としては滅多に聞かない音です。

「ひいては」の意味

「ひいては」とは、「最終的に」「結局は」などを意味しています。「物事を推し進めてゆくと」というニュアンスを持つのが「ひいては」という言葉です。実際、「ひいては」は漢字では「延いては」と表記されます。

例えば「君のため、ひいては皆のため」という文言は、君のためになることを推し進めてゆくと最終的には皆のためになる、という意味を持ちます。

「ひいては」という言葉は、基本的に「A、ひいてはB」という形で使われます。Aという物事の範囲が広がってBになる、という意味合いになります。例えば「個人が最高のパフォーマンスを見せることが、ひいてはチームの勝利につながる」というように使われます。

「ひいては」という言葉はやや堅い言葉なので、日常会話よりもビジネスシーンや論文、レポートなどで使われる傾向があります。書き言葉でも話し言葉でも使うことが出来ます。

「ひいては」の類義語としては、添加を意味する「さらに」、物事の範囲がさらに進むことを意味する「それに留まらず」などがあります。

「延いては」の延の字を使った別の言葉としては、病気や悪習など、悪いものが社会に広がることを意味する「蔓延」、予定されていた時間に遅れること、始まらないことを意味する「遅延」、火事が別の建物に燃え移ることを意味する「延焼」などがあります。

「しいては」の意味

「しいては」とは、嫌がることを無理にやらせることを意味する「強いる」が「ひいては」と混同されて生まれた日本語にはない言葉を意味しています。そのため「ひいては」は国語辞書に収録されていますが、「しいては」は載っていません。

「強いる」と「ひいては」の混同は、両者の音が似ているために生じたものです。そしてこの混同から「しいては」という意味のない言葉が生まれてしまいました。

「しいては」という音を持つ日本語は存在しません。「強いてはいけない」のように他の言葉とのつながりの中で「しいては」という音が出現する場合ならばありますが、独立した言葉としては「しいては」と読むものはありません。

また、同じような混同は別の言葉に関しても起こっています。例えば、急いで物事を処理しようとするとかえって失敗することを意味する「急いては事を仕損じる」という慣用句に関しても、「急いては」と「強いる」の混同が生じています。

「急いては」を「しいては」と読む人がいますが、正しくは「せいては」と読みます。「急ぐ」はやや古風に「急く」(読み方:せく)といいます。日常会話でよく使われる「せかされる」は「せく」の変化したものです。

「ひいては」の例文と使い方

1.業界トップの企業でおきた不祥事はその会社だけではなく、ひいては業界全体に悪影響を及ぼした。
2.生活リズムの改善は、ひいては健康につながることが今や常識となっている。
3.フランス革命は一国の内部に留まらず、ひいては世界中に影響を与えた。
4.働く人の待遇を良くすることが、ひいては会社の利益につながる。
5.この地域、ひいては日本全体の発展のために尽力してまいります。

この言葉がよく使われる場面としては、ある物事に留まらず、別の物事にも当てはまるということを表現したい時などが挙げられます。「ひいては」とは「物事を推し進めてゆくと、その先には」というような意味を持ち、接続詞的に使われます。

基本的に「A、ひいてはB」という形で使われて、BがAよりも規模や範囲が大きいということが含意されます。

「しいては」の例文と使い方

1.この頃「ひいては」や「急いては」を「しいては」と言い間違える人が多くなってきている。
2.上司は宴会で部下にお酒を強いては、毎度断られていた。
3.お酒の苦手な人に無理に強いてはいけないと思った。
4.嫌がる人をしいて誘うのはためらわれる。
5.どちらも悪いところがあるけれど、しいて言えば、君の方に配慮が足りなかったかな。

この言葉がよく使われる場面としては、間違えて「ひいては」を表現したい時などが挙げられます。「しいては」という言葉は日本語には本来存在しません。「強いる」と「ひいては」の混同から生まれたのが「しいては」という言葉です。

「しいては」と音が似ている正しい日本語としては、例文4や5の「しいて何々すれば」の「しいて」などが挙げられます。「強いる」の活用変化したものが「しいて」です。

また少し古風で常用外ですが「如く」(読み方:しく)という言葉もあります。「百聞は一見に如かず」という表現から分かるように、如くは「同等である」という意味です。「将棋の腕前で彼に如く者はいない」というように使われます。