似た意味を持つ「激しい」(読み方:はげしい)と「厳しい」(読み方:きびしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「激しい」と「厳しい」という言葉は、どちらも程度が普通ではないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「激しい」と「厳しい」の違い
「激しい」と「厳しい」の意味の違い
「激しい」と「厳しい」の違いを分かりやすく言うと、「激しい」は受け手が必要ではない、「厳しい」は受け手が必要であるという違いです。
「激しい」と「厳しい」の使い方の違い
一つ目の「激しい」を使った分かりやすい例としては、「激しい調子で彼は怒鳴り散らしました」「選挙戦がいよいよ激しさを増してきました」「この辺りは交通が激しいので気をつけてください」「とても激しい雨でした」などがあります。
二つ目の「厳しい」を使った分かりやすい例としては、「先方が厳しい要求を突き付けてきました」「我が国は厳しい国際情勢の立場にいます」「彼女の両親はしつけが厳しいです」「今日は寒さが厳しいので暖房をつけよう」などがあります。
「激しい」と「厳しい」の使い分け方
「激しい」と「厳しい」はどちらも程度が普通ではないことを意味する表現ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「激しい」は勢いが大変強いことを意味している言葉で、受け手が必要ではない表現になります。
一方、「厳しい」は程度が著しいことを意味しており、受け手が必要な表現というのが違いです。
分かりやすく言うと、「激しい」は受け手が必要ではないので、「今日は激しい雨だ」の言い回しで使うことができます。
一方、「厳しい」は受け手が必要な言葉なので、「今日は厳しい雨だ」の言い回しで使うことはできず、「今日は厳しい雨なので家に居よう」のように、受け手が必要な表現になります。
「激しい」と「厳しい」の英語表記の違い
「激しい」を英語にすると「violent」「extreme」「intense」となり、例えば上記の「とても激しい雨でした」を英語にすると「That was extremely heavy rain」となります。
一方、「厳しい」を英語にすると「strict」「severe」「terrible」となり、例えば上記の「今日は寒さが厳しい」を英語にすると「The coldness is terrible today」となります。
「激しい」の意味
「激しい」とは
「激しい」とは、勢いが大変強いことを意味しています。その他にも、程度が度を過ぎて甚だしいこと、行われる回数が驚くほど多いことの意味も持っています。
表現方法は「激しい動き」「激しい勢い」
「激しい動き」「激しい勢い」などが、「激しい」を使った一般的な言い回しになります。
「激しい」の使い方
「両親からの激しい反対に遭いました」「激しい風雨が続いています」などの文中で使われている「激しい」は、「勢いが大変強いこと」の意味で使われています。
一方、「最近激しい腹の痛みに悩まされています」「この会社は人の出入りが激しいです」などの文中で使われている「激しい」は、「程度が度を過ぎて甚だしいことや行われる回数が驚くほど多いこと」の意味で使われています。
「激しい」は複数の意味を持つ形容詞でどの意味でも使われています。形容詞とは、物事の状態や性質がどのようであるかを表現する際に使う言葉になります。
「激しい」は「彼は気性が激しい」などのように人に対して使うこともあれば、「この場所は出入りが激しい」などのように空間に対しても使うことができます。
「激しい」の特徴
「激しい」はプラスのイメージやマイナスのイメージの評価を含まないというのが特徴です。量の面よりも、勢いが強いということを表わすことに重きを置いていると覚えておきましょう。
「激しい」の対義語
「激しい」の対義語・反対語としては、気持ちが落ち着いていて物静かなことを意味する「穏やか」があります。
「激しい」の類語
「激しい」の類語・類義語としては、度を超していることを意味する「ひどい」、びっくりするほど程度が甚だしいことを意味する「すごい」、物事の程度が甚だしいことを意味する「きつい」などがあります。
「厳しい」の意味
「厳しい」とは
「厳しい」とは、厳格で少しの緩みも許さないことを意味しています。その他にも、いい加減な対処が許されないこと、自然現象などの程度が著しいこと、物事の状態が緊迫していることの意味も持っています。
表現方法は「厳しいです」「厳しい状況」
「厳しいです」「厳しい状況」などが、「厳しい」を使った一般的な言い回しになります。
「厳しい」の使い方
「練習が厳しいので途中で辞める部員も多いです」「仕事の依頼が中々こないので生活が厳しいです」などの文中で使われている「厳しい」は、「厳格で少しの緩みも許さないことやいい加減な対処が許されないこと」の意味で使われています。
一方、「今年の冬は厳しい寒さが続いています」「昨今の国際情勢がとても厳しいです」などの文中で使われている「厳しい」は、「自然現象などの程度が著しいことや物事の状態が緊迫していること」の意味で使われています。
「厳しい」は複数の意味を持つ形容詞です。
「厳しい」は日常生活やビジネスシーンなど、様々な場面において使うことができる言葉になります。そのため、人の態度、気温、気候、条件、試験、競争、表情、情勢などの様々な状況で使えると覚えておきましょう。
「厳しい」の特徴
「厳しい」は本当に無理な場合に使われるというのが特徴です。例えば、「このままの成績では卒業するのは厳しいだろう」とした場合、このままでは卒業するのは無理だということを強調した表現になります。
「厳しい」の対義語
「厳しい」の対義語・反対語としては、悪い影響を与えないことを意味する「優しい」があります。
「厳しい」の類語
「厳しい」の類語・類義語としては、困難や危険な事態が予想されることを意味する「険しい」、規律や道徳に厳しく不正や怠慢を許さないことを意味する「厳格」、過酷なことを意味する「シビア」、厳しすぎることを意味する「過酷」などがあります。
「激しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勢いが大変強いことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、程度が度を過ぎて甚だしいこと、行われる回数が驚くほど多いことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2は勢いが大変強いこと、例文3と例文4は程度が度を過ぎて甚だしいこと、例文5は行われる回数が驚くほど多いことの意味で使っています。
「厳しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、厳格で少しの緩みも許さないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、いい加減な対処が許されないこと、自然現象などの程度が著しいこと、物事の状態が緊迫していることを表現したい時に使います。
例文1と例文2は厳格で少しの緩みも許さないこと、例文3はいい加減な対処が許されないこと、例文4は自然現象などの程度が著しいこと、例文5は物事の状態が緊迫していることの意味で使っています。
「激しい」と「厳しい」はどちらも程度が普通ではないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、受け手が必要でないのが「激しい」、受け手が必要なのが「厳しい」と覚えておきましょう。