同じ「ひっし」という読み方の「必死」と「必至」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「必死」と「必至」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
必死と必至の違い
必死と必至の意味の違い
必死と必至の違いを分かりやすく言うと、必死とは全力を尽くすこと、必至とは必ずそうなることという違いです。
必死と必至の使い方の違い
一つ目の必死を使った分かりやすい例としては、「必死に努力するべきです」「明日は英語のテストなので必死に勉強しています」「エサが欲しくて必死すぎる猫が可愛い」「命あるものは平等に必死です」「必死問題集を買って将棋の勉強をしています」などがあります。
二つ目の必至を使った分かりやすい例としては、「少子化対策をしなければ倒産は必至だ」「あまりの可愛さに悶絶必至です」「追加関税は日本経済への影響必至である」「やみつき必至の一押しグルメを紹介します」「将棋は詰みより必至が大事である」などがあります。
必死と必至の使い分け方
必死と必至という言葉は、どちらも「ひっし」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
必死とは、「命あるものは必死です」のような使い方で、必ず死ぬことを意味します。転じて、決死の覚悟で力を尽くすこと、生死を顧みず全力をそそぐことを表し、「必死に努力する」「必死すぎる」のような使い方をすることが多くなっています。
必至とは、文字通り「必ず至る」ことを意味し、必ずそうなること、そうなることが避けられないことを表します。「完売必至」とは、必ず売れてしまうだろうことを意味し、品切れする可能性が高いこと表現しています。
つまり、必死とは死ぬ覚悟をもって全力を尽くすこと、必至とは必ずそうなることを意味します。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。
ただし、必死と必至という言葉は、将棋の世界でも使用されており、どちらも「相手がどのように受けても詰みを逃れることができない状況」を意味します。将棋用語としての必死と必至は、互いに置き換えて使うことができることに注意しましょう。
必死と必至の英語表記の違い
必死を英語にすると「inevitable death」「desperate」「brinkmate」となり、例えば上記の「必死に努力する」を英語にすると「try desperately」となります。
一方、必至を英語にすると「inevitable」「foregone」「necessary」となり、例えば上記の「倒産は必至だ」を英語にすると「bankruptcy is inevitable」となります。
必死の意味
必死とは
必死とは、必ず死ぬことを意味しています。
その他にも、「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと、死に物狂い」「将棋で、次に必ず王将が詰む、受ける方法がない状態、また、その差し手」の意味も持っています。
必死の読み方
必死の読み方は「ひっし」です。誤って「ひつし」「ひつしに」などと読まないようにしましょう。
必死の使い方
「人は必死であることを忘れるな」「必死なのだから人生を楽しもう」「自分も必死であることを意識しよう」などの文中で使われている必死は、「必ず死ぬこと」の意味で使われています。
一方、「明日から必死のパッチで頑張る」「必死チェッカーもどきの使い方を教えてください」の文中で使われている必死は「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと」の意味で、「この必死問題集で強くなりました」の文中で使われている必死は「将棋で、次に必ず王将が詰む状態」の意味で使われています。
必死とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと、死に物狂い」の意味で用いられています。必死という言葉は、文字通り「必ず死ぬこと」を意味しますが、転じて、死ぬ覚悟で全力を尽くすことを表します。
表現方法は「必死のパッチ」
必死を用いた日本語には「必死のパッチ」があります。「必死のパッチ」とは、ある事に全力を尽くして頑張ることを意味し、主に関西地方で使われている表現です。「必死のパッチ」の語源は諸説ありますが、将棋の用語を由来とするのが有力です。
必死の対義語
必死の対義語・反対語としては、ほどほどのところで終わってほしいさまを意味する「いい加減」、手続きや手間を故意に省くことを意味する「手抜き」などがあります。
必死の類語
必死の類語・類義語としては、死ぬ覚悟で物事をすることを意味する「命懸け」、死をも覚悟して物事を行うことを意味する「決死」、命を捨てる覚悟で事に当たることを意味する「捨て身」、命がけで事に当たることを意味する「一生懸命」などがあります。
必至の意味
必至とは
必至とは、必ずその事がやってくること、そうなるのは避けられないことを意味しています。
その他にも、「将棋で、次に必ず王将が詰む、受ける方法がない状態、また、その差し手」の意味も持っています。
必至の読み方
必至の読み方は「ひっし」です。同じ読み方をする熟語に「必死」や「筆紙」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
必至の使い方
「次も英語で赤点を取ったら落第は必至だ」「売り切れ必至のアイデア商品を紹介します」「必至滅度の願は阿弥陀仏の四十八の願いの一つです」などの文中で使われている必至は、「必ずその事がやってくること」の意味で使われています。
一方、「将棋は必至を解けば強くなります」「早く必死手筋を覚えたいです」「やさしい必至問題を出題します」などの文中で使われている必至は、「将棋で、次に必ず王将が詰む、受ける方法がない状態、また、その差し手」の意味で使われています。
必至とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「必ずその事がやってくること、そうなるのは避けられないこと」の意味で用いられています。必死の「至」は訓読みで「いたる」と読み、ある段階や状態になることを表す漢字です。
表現方法は「必至滅度の願」
上記例文にある「必至滅度の願」とは、仏教用語で、浄土往生した者に必ず仏のさとりを得させるという願いを意味します。「必至滅度の願」は阿弥陀仏の四十八の願いの中の一つで、「第十一願」を指します。
必至の対義語
必至の対義語・反対語としては、何の因果関係もなく予期しないことが起こることを意味する「偶然」などがあります。
必至の類語
必至の類語・類義語としては、必ずそうなることを意味する「必然」、確かで間違いのないさまを意味する「確実」、どういう場合でも必ずを意味する「絶対」、避けようがないことを意味する「不可避」、どんなことがあってもを意味する「何が何でも」などがあります。
必死の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生きる見込みのないこと、死を覚悟して全力を尽くすこと、将棋で受けの手がなく詰みとなってしまうさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の必死は、死を覚悟して全力を尽くすことの意味で用いられています。例文5にある必死は将棋用語として使用されており、「必至」と書き換えることができます。
必至の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必ずその事が到来すること、必ずそうなること、将棋で受けの手がなく詰みとなってしまう状態を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の必至は、必ずそうなることの意味で用いられています。例文5にある必至は将棋用語として使われており、「必死」と書き換えることができます。
必死と必至という言葉は、どちらも「ひっし」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、全力を尽くすことを表現したい時は「必死」を、必ずそうなることを表現したい時は「必至」を使うようにしましょう。