似た意味を持つ「無色」(読み方:むしょく)と「透明」(読み方:とうめい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無色」と「透明」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
無色と透明の違い
無色と透明の違いを分かりやすく言うと、無色とは色が付いていないさま、透明とは透けて見えるさまという違いです。
一つ目の無色を使った分かりやすい例としては、「バケツに特徴的な臭気のある無色の液体が入っています」「粘り気がある無色鉱物を見つけました」「政治的にも宗教的にも無色なものでなければならない」などがあります。
二つ目の透明を使った分かりやすい例としては、「透明度の高い海を求めて沖縄にやって来ました」「100均で透明シール帳をたくさん買うつもりです」「透明性ガイドラインに沿って情報公開しています」などがあります。
無色と透明という言葉は、色彩に関して「無色透明」とセットで使用されることが多くありますが、意味や使い方には違いがあります。
無色とは、文字通り「色が無い」ことであり、何色にも属していないことを意味します。無色は色が付いていない状態であり、無色である物質には水や酸素などがあります。また、「政治的に無色」のような使い方で、比喩的に特定の考え方にとらわれていない状態も意味します。
透明とは、透き通って向こう側がよく見えることを意味します。具体的には、ガラスやプラスチックなどは透明な素材であり、無色であることも赤や青などの色がついている場合もあります。「無色透明」とは、色が無く透き通っている状態を言います。
つまり、無色とは色が付いていない状態であり、透明とは透き通って向こうが見える状態のことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
無色を英語にすると「colorless」「achromatic」「neutral」となり、例えば上記の「無色の液体」を英語にすると「a colorless liquid」となります。
一方、透明を英語にすると「transparence」「pellucidity」「clear」となり、例えば上記の「透明度」を英語にすると「the degree of transparency」となります。
無色の意味
無色とは、色が付いていないことを意味しています。
その他にも、「特定の主義・党派に偏らないこと」の意味も持っています。
「無色透明のゴミ袋をストックしています」「先輩に無色鉱物の覚え方を教えてもらいました」「石英は無色で不規則に割れる鉱物です」などの文中で使われている無色は、「色がついていないこと」の意味で使われています。
一方、「司法は無色透明の性格をもっています」「無色な第3者機関により検証されるべきだ」「無色透明で中立的な立場を貫く」などの文中で使われている無色は、「特定の主義や党派に偏らないこと」の意味で使われています。
無色の読み方は「むしょく」です。同じ読み方をする熟語に「無職」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
無色とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。無色の「無」は訓読みで「ない」と読み、存在しないことを表し、「色」は光の波長の違いによって目の受ける種々の感じを表します。
無色を用いた日本語には「無色鉱物」があります。火成岩を構成する鉱物のうち、鉄やマグネシウムを含まず無色か白色をした鉱物の総称です。石英や長石などがあります。「珪長質鉱物」(読み方:けいちょうしつこうぶつ)とも言います。
無色の対義語・反対語としては、色がついていることを意味する「有色」などがあります。
無色の類語・類義語としては、純粋に白いことや混じりもののないことを意味する「真っ白」、匂いや臭みがないことを意味する「無臭」、争っているいずれの側にもつかないことや中立を意味する「ニュートラル」などがあります。
透明の意味
透明とは、透き通って向こうがよく見えること、透き通って濁りのないことを意味しています。
その他にも、「物体が光をよく通すこと、光が物質中を通過するとき吸収される度合いが小さいこと」の意味しています。
「透明人間をテーマにした映画を観ました」「透明ケースの商品一覧をチェックする」「バイト中は透明ピアスをしています」「英語の先生は透明感のある声をしている」などの文中で使われている透明は、「透き通って向こうがよく見えること、透き通って濁りのないこと」の意味で使われています。
一方、「透明度の高い海と低い海の違いを知っていますか」「透明光ファイバーの開発に成功しました」などの文中で使われている透明は、「物体が光をよく通すこと、光が物質中を通過するとき吸収される度合いが小さいこと」の意味で使われています。
透明の読み方は「とうめい」です。誤って「とおめい」「とうみょう」などと読まないようにしましょう。
透明とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。透明の「透」は訓読みで「すける」と読み、物を通して向こう側が見えることを表し、「明」は光があってあかるいさまを表す漢字です。
透明を用いた日本語には「透明人間」があります。透明人間とは、姿や形が目に見えず声だけ聞こえるという、SFなどに登場する空想上の人間です。英国の作家ウェルズの小説から広まりました。比喩的用法で、影の薄い人を指す言葉として用いられることもあります。
透明の対義語・反対語としては、透明でないことや光を通さないで吸収してしまう状態を意味する「不透明」などがあります。
透明の類語・類義語としては、なかば透き通っているさまを意味する「半透明」、光や放射線などが物体の内部を通り抜けることを意味する「透過」、布地などが透けて見えるさまを意味する「透け透け」、曇りがなく澄んでいるさまを意味する「クリア」などがあります。
無色の例文
この言葉がよく使われる場面としては、色がついていないこと、色をつけないこと、意見などが一方に偏っていないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある無色は、「色がついていないこと」の意味で用いられています。例文5の無色は、「意見などが一方に偏っていないこと」の意味で使われています。
透明の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物が透き通って向こう側が見えること、物体が光をよく通すことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「透明感」とは、透き通って見えるように感じさせる状態を意味し、くすみがなく明るい肌を表しています。
無色と透明という言葉は、似ていますが意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、色が付いていない状態を表現したい時は「無色」を、透けて見える状態を表現したい時は「透明」を使うようにしましょう。