【悲壮感】と【悲愴感】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「ひそうかん」という読み方の「悲壮感」と「悲愴感」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「悲壮感」と「悲愴感」という言葉は、どちらも悲しいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




悲壮感と悲愴感の違い

悲壮感と悲愴感の意味の違い

悲壮感と悲愴感の違いを分かりやすく言うと、悲壮感とは悲しい中にも雄々しく立派なところがあること、悲愴感とは悲しく痛ましいことという違いです。

悲壮感と悲愴感の使い方の違い

一つ目の悲壮感を使った分かりやすい例としては、「悲壮感が漂う音楽を聴いています」「悲壮感溢れる話を聞かせました」「先日離婚した後輩から悲壮感が溢れている」「彼女は悲壮感が全く無いので素敵です」などがあります。

二つ目の悲愴感を使った分かりやすい例としては、「悲愴感が漂う小説が私のお気に入りです」「会社をクビになった彼からは悲愴感を感じる」「ケガをして高校最後の大会に出場できない友人からは悲愴感が溢れている」などがあります。

悲壮感と悲愴感はどちらも悲しいという共通するニュアンスを持っているのですが、悲壮感は悲しみの中でも勇ましく立派であるのに対して、悲愴感は悲しいことをより強調しているというのが違いになります。

そのため、悲壮感はプラスのイメージで使われることもあるのですが、悲愴感はマイナスのイメージでしか使われない言葉です。

悲壮感と悲愴感の英語表記の違い

悲壮感を英語にすると「sense of despair」となり、例えば上記の「悲壮感が漂う」を英語にすると「There is a sense of despair」となります。

一方、悲愴感を英語にすると「pathetic」「sorrow」「sad」となり、例えば上記の「彼からは悲愴感を感じる」を英語にすると「I feel sad from him」となります。

悲壮感の意味

悲壮感とは

悲壮感とは、悲しい中にも雄々しく立派なところがあることを意味しています。

悲壮感の使い方

悲壮感を使った分かりやすい例としては、「悲壮感漂う表情が微笑ましいです」「昨日買ったゲームは悲壮感がない」「悲壮感溢れる決意をしました」「悲壮感漂うクラシックにハマっています」などがあります。

その他にも「彼は悲壮感が溢れている」「この現場には悲壮感が漂っている」「悲壮感がある話を聞くのが好きです」「何度失敗しても挑戦する姿に悲壮感を感じました」「連敗中のチームは悲壮感が漂っている」などがあります。

悲壮感は悲しい中にも雄々しく立派なところがあることを意味しているため、悲しい状態であってもプラスなイメージで使わることもあります。また、悲壮感という言葉はスポーツシーンでよく見かけるはずです。

悲壮感の類語

悲壮感の類語・類義語としては、痛みや圧迫感で肉体的に我慢できないことを意味する「苦しい」、精神的にも肉体的にも我慢できないくらい苦しいことを意味する「辛い」、肉体に痛みや苦しみを感じることを意味する「痛い」などがあります。

悲壮感の壮の字を使った別の言葉としては、身体が元気で丈夫なことを意味する「強壮」、物事の規模が大きくて立派なことを意味する「豪壮」、若くて意気盛んなことを意味する「少壮」、勇ましく元気なことを意味する「勇壮」などがあります。

悲愴感の意味

悲愴感とは

悲愴感とは、悲しく痛ましいことを意味しています。

悲愴感の使い方

悲愴感を使った分かりやすい例としては、「先日離婚した友人から悲愴感が溢れている」「試験に落ちて心配していたのだがすでに悲愴感はなかった」「新型ウイルスの流行によりバイトをクビになった弟から悲愴感を感じる」などがあります。

悲愴感は悲しく痛ましいことを意味しているため、マイナスのイメージしか持っていない言葉になります。

表現方法は「悲愴感が漂う」「悲愴感が溢れる」「悲愴感が満ちる」

悲愴感を使ったよくある表現としては、「悲愴感が漂う」「悲愴感が溢れる」「悲愴感が満ちる」などがあります。

悲愴感の類語

悲愴感の類語・類義語としては、あまりに悲しくて心が痛むことを意味する「悲痛」、深い悲しみや心配ごとに心を痛めることを意味する「沈痛」などがあります。

悲愴感の愴の字を使った別の言葉としては、悲しみ痛むことを意味する「凄愴」(読み方:せいそう)、悲しみに心を痛めることを意味する「愴然」、香気が立ちのぼって人の心を恐れおののかすことを意味する「焄蒿悽愴」(読み方:くんこうせいそう)などがあります。

悲壮感の例文

1.犯人が立て籠もった大学は、非常に閑散とした悲壮感の漂う現場となっています。
2.昨日借りたドキュメンタリー映画は、悲壮感が溢れていました。
3.会社の上司が先日離婚したが、悲壮感が漂っていない。
4.メンバーから悲壮感を全く感じないのが凄く良いなと思う。
5.今日買った新作ゲームは悲壮感が足りなかったので、あまり感情移入できなかった。
6.優勝一歩手前で戦いに敗れたという悲壮感が、チーム全員の心を支配していた。
7.仕事を全力全身でやるとどうしても悲壮感が出ちゃうので、6割の力でこなすことが肝要だ。
8.物語では、主人公が運命に翻弄されているが、それを受け入れている感じがするから悲壮感はあまりない。
9.今日は早く家に帰って、悲壮感漂うクラシックを聴きながら、ウイスキーでも飲みたい気分だ。
10.日本社会が悲壮感に満ちた状況でも、我々は希望を見失わずに生きていかなければならない。

この言葉がよく使われる場面としては、悲しい中にも雄々しく立派なところがあることを表現したい時などが挙げられます。

悲壮感は悲しい時に使う言葉なのですが、悲しみの中でも勇ましく立派である時に使うため、プラスのイメージを持っています。

悲愴感の例文

1.すでに解散されているが、悲愴感という3人組音楽ユニットがあったのを覚えている。
2.新型コロナウイルスの流行によって収入がなくなったので、将来に対する悲愴感を感じました。
3.息子は長年飼っていたペットが亡くなってしまったため、悲愴感に満ちている。
4.新型コロナウイルスの蔓延によって会社が倒産した友人からは、悲愴感が溢れていた。
5.東京オリンピック延期により、代表内定が取り消された選手からは悲愴感が漂っている。
6.彼はいつもポジティブに考えるので、あまり悲愴感がなくて好感が持てます。
7.戦争に負けて明日はどうなるかわからない身だが、それでももう空襲を恐れなくてもいいので、悲愴感というものがなかった。
8.私はその歌手の悲愴感をむき出しにした歌い方が苦手なので、すぐにチャンネルを変えてしまいます。
9.記者は事故現場の悲惨さを目の当たりにし、悲愴感が胸を締め付けた。
10.東日本大震災の被災地の姿を思い出すと、今でも悲愴感がよみがえってくる。

この言葉がよく使われる場面としては、悲しく痛ましいことを表現したい時などが挙げられます。

悲愴感はさらに悲しいことを表現したい時に使うため、上記の例文のようにマイナスなイメージを持って使われます。

悲壮感と悲愴感どちらを使うか迷った場合は、悲しい中にも雄々しく立派なところがあることを表現したい場合は「悲壮感」を、悲しく痛ましいことを表現したい場合は「悲愴感」を使うようにしましょう。

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