似た意味を持つ「概ね」(読み方:おおむね)と「ほぼ」と「大体」(読み方:だいたい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「概ね」と「ほぼ」と「大体」という言葉は、全部もしくは完全に近い状態という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「概ね」と「ほぼ」と「大体」の違い
「概ね」と「ほぼ」と「大体」の意味の違い
「概ね」と「ほぼ」と「大体」の違いを分かりやすく言うと、「概ね」は8割方を表現する時に使い、「ほぼ」は9割方を表現する時に使い、「大体」は8割方や大まかな見積もりを表現する時に使うという違いです。
「概ね」と「ほぼ」と「大体」の使い方の違い
「概ね」という言葉は、「概ね21時には帰宅できるだろう」「概ね予定通りに事が進んでいる」などの使い方で、その状態が大部分を占める様子を意味します。
「ほぼ」という言葉は、「ほぼ24時間起きている気がする」「大掃除もほぼ終わりと言えるだろう」などの使い方で、全部あるいは完全に近い状態である様子を意味します。
「大体」という言葉は、「大体5kmくらいは走った」「大体彼はいつも怒ってばかりだ」などの使い方で、事の要点や数量などを大づかみに捉える様子や、元よりそうである様子を意味します。
「概ね」と「ほぼ」と「大体」の使い分け方
どの言葉も物事の程度を表す際に使われる言葉ですが、例えば「仕事が終わった」といった言葉と共に使うと意味が異なってきます。
「概ね仕事が終わった」という表現はまだ仕事は残っているものの8割程度は終了していることを表し、「ほぼ仕事が終わった」という表現は残されている仕事があまり無く、9割程度終了していることを表します。
一方、「大体仕事が終わった」という表現は「概ね仕事が終わった」と同じ程度を表しますため、三つの言葉を程度の大きい順番に並べると、「ほぼ」>「概ね」≧「大体」となります。
また、「大体」という言葉は、大まかに見積もった結果に対しても使われる言葉です。「大体の計画を立てる」という言葉を「概ねの計画」「ほぼの計画」といった表現に変えることはできません。
これらが、「概ね」、「ほぼ」、「大体」の明確な違いです。
「概ね」の意味
「概ね」とは
「概ね」とは、その状態が大部分を占める様子を意味しています。
表現方法は「概ね良好」「概ね満足」「概ね順調」
「概ね良好」「概ね満足」「概ね順調」などが、概ねを使った一般的な言い回しです。
「概ね」の使い方
「概ね」は「おおむね」という読み方をし、「大旨」と漢字で表記されることもありますが、この場合は「大旨のことは理解した」などのように大体の趣旨を意味する名詞として使われます。
副詞として使う際は「参加者は概ね男性だ」「アンケートでは概ね満足と答えた」などのように「概ね」もしくは「おおむね」と表記します。
日常生活ではあまり使われないものの、ビジネス間や、裁判の判例など公的文書にも使われる言葉です。しかし、明確な数値などを示しているわけではないため、曖昧で誤解を与えやすい表現となっています。
「概ね」の類語
「概ね」の類語・類義語としては、ほとんど全てに及ぶ様子を意味する「大抵」、細かいことにこだわらずに物事を済ませる様子を意味する「大まか」、全体にわたってということを意味する「おしなべて」などがあります。
「ほぼ」の意味
「ほぼ」とは
「ほぼ」とは、全部あるいは完全に近い状態である様子を意味しています。
「ほぼ」の漢字表記
「ほぼ」という言葉は基本的にひらがなで使われる言葉ですが、「略」や「粗」といった漢字が当てられることもありますが、常用漢字ではないため日常生活において使われることはありません。
表現方法は「ほぼ毎日」「ほぼ同じ」「ほぼ確実に」
「ほぼ毎日」「ほぼ同じ」「ほぼ確実に」などが、ほぼを使った一般的な言い回しです。
「ほぼほぼ」の意味
「ほぼほぼ」と二回重ねて使われることもあり、「ほぼ」一つで使われるよりもさらに完全に近い状態を意味します。日常生活はもちろんですが、国会議事録にも残されている言葉です。
しかし、2016年には新語大賞にも選出された言葉ですが、若年層にのみ定着しており、高年層では聞いたこともないという人もいる上、明確な数値を表しているわけではないため嫌煙する人もいる表現です。
「ほぼ」の対義語
「ほぼ」の対義語・反対語としては、打消しの言葉と共に使うことで完全な否定を意味する「全く」があります。
「ほぼ」の類語
「ほぼ」の類語・類義語としては、全般の傾向としてを意味する「総じて」、物事や事柄の大部分を意味する「大方」、全部とは言えないがそれに近い程度を意味する「ほとんど」、そうなることがほぼ確実である様子を意味する「九分九厘」などがあります。
「大体」の意味
「大体」とは
「大体」とは、物事の要点や数量などを大づかみに捉える様子を意味しています。細かい点を除いた主要な部分も意味します。
表現方法は「大体の時間」「大体の人」「大体でいい」
「大体の時間」「大体の人」「大体でいい」などが、大体を使った一般的な言い回しです。
「大体」の使い方
「大体」は、ビジネス上で程度を表す言葉としては口語的とされることから、「会費は大体5000円くらいだ」「大体の説明はしてもらった」などで使われる「大体」は「概ね」という言葉に置き換えて使われることです。
また、上の意味以外にも、「大体彼はいつも人を見下す」「大体皆働きたくないと感じているはずだ」などのように、総じてという意味や、元はと言えばという意味も持つ言葉です。
そのため、「大体彼はいつも人を見下す」を「概ね彼はいつも人を見下す」という表現に変えてしまうと、いつもではなく8割方を意味する「概ね」と「いつも」が矛盾する表現となってしまいます。
「大体」の対義語
「大体」の対義語・反対語としては、細部に至るまで詳しいことを意味する「詳細」、過不足なく一致する様子を意味する「丁度」があります。
「大体」の類語
「大体」の類語・類義語としては、全体の要点をまとめたものを意味する「概要」、事柄の全体のあらましを説明することを意味する「概説」、細部にこだわらず概略を判断する様子を意味する「おおよそ」、はじめからを意味する「もともと」などがあります。
「概ね」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その状態が大部分を占める様子を意味する時などが挙げられます。
どの例文の「概ね」も「大体」や「ほぼ」に置き換えて使うことができますが、「ほぼ」に置き換えて使う際はより完全な状態に近づくことを意味するため、程度が変わります。
「ほぼ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、全部あるいは完全に近い状態である様子を意味する時などが挙げられます。
例文2の「ほぼほぼ」とは、「ほぼ」を二つ重ねて強調する表現方法です。
「大体」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の要点や数量などを大づかみに捉える様子を意味する時などが挙げられます。
例文1と例文2は大きく見積もった結果を意味する言葉として「大体」が使われているため、「概ね」や「ほぼ」と言った言葉に置き換えて使うことはできませんが、例文3は程度を表すため置き換えて使うことができます。
「概ね」と「ほぼ」と「大体」どれを使うか迷った場合は、8割方を表す場合は「概ね」を、9割方を表す場合は「ほぼ」を、8割方や大まかな見積もりを表す場合は「大体」を使うと覚えておけば間違いありません。