似た意味を持つ「拒否」(読み方:きょひ)と「拒絶」(読み方:きょぜつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「拒否」と「拒絶」という言葉は、どちらも受け入れないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
拒否と拒絶の違い
拒否と拒絶の意味の違い
拒否と拒絶の違いを分かりやすく言うと、拒否よりも拒絶の方が、頑なに受け入れない態度を表すという違いです。
拒否と拒絶の使い方の違い
一つ目の拒否を使った分かりやすい例としては、「不当な要求は断固拒否します」「顔写真の掲載を拒否された」「立ち退き要求を拒否したい」「契約締結を拒否する意向だ」「大統領は即時退陣を拒否した」などがあります。
二つ目の拒絶を使った分かりやすい例としては、「拒絶反応を起こさないための薬です」「父との面会を拒絶する」「あの人のしゃべり方に拒絶反応してしまう」「拒絶査定不服審判を請求する」などがあります。
拒否と拒絶という言葉は、どちらも要求や命令などを受け入れないことを表します。拒否とは、要求や提案を聞き入れないで断ることを意味し、拒絶とは、相手の頼みや要求を拒むことを意味します。
拒否と拒絶の使い分け方
二つの言葉はほぼ同じ意味を持つため、使い分けが難しい言葉ですが、あえて違いを言うならば受け入れられない度合いでしょう。拒絶と拒否という言葉を比べると、拒絶の方が強く頑なに拒むことを表し、受け入れられない度合いが大きい言葉です。
拒絶という言葉の「絶」には、「絶大」や「絶対」のように、「この上なく、非常に」という意味があります。程度の大きさを表し、拒絶とは絶対に拒否するという頑なな態度を表現する言葉なのです。
拒否と拒絶の英語表記の違い
拒否も拒絶も英語にすると「refusal」「rejection」「denial」となり、例えば上記の「断固拒否」を英語にすると「an emphatic denial」となります。
拒否の意味
拒否とは
拒否とは、要求や提案を聞き入れないで断ることを意味しています。
表現方法は「拒否する」「拒否反応」「断固拒否」
「拒否する」「拒否反応」「断固拒否」などが、拒否を使った一般的な言い回しです。
拒否の使い方
拒否を使った分かりやすい例としては、「祖父は施設への入所を頑なに拒否する」「作家は小説の映画化を断固拒否しているようだ」「子供の登校拒否に悩む家庭が増えている」「犬が散歩を拒否して檻から出ない」などがあります。
その他にも、「被告人は供述拒否権がある」「株主は拒否権を行使した」「あなたが任命を拒否する権利はない」「体に拒否反応が起きてしまう」「面会交流は拒否できるのか」「好きな人から着信拒否された」などがあります。
拒否とは、願いや要求を聞き入れないで断ることや、決議や決定に同意しないことを意味します。デートの申し出を断ったり、学校に行くのを嫌がったり、という日常のシーンから、契約更新を打ち切ったり、提案を受け入れずに拒んだりする、というビジネスシーンにまで使われる言葉です。
「供述拒否権」の意味
拒否という言葉を用いた日本語には「供述拒否権」があります。黙秘権とも言い、刑事訴訟で被告人や被疑者が、裁判官や捜査官の質問に対して自分に不利な供述を拒否できる権利のことです。取調べに際しては、供述拒否権の告知が義務付けられています。
拒否の対義語
拒否の対義語・反対語としては、相手からの提案や申し入れなどを受け入れることを意味する「受諾」、相手の意見や希望などを聞いて受け入れることを意味する「承諾」、依頼や要求などを聞き入れることを意味する「承知」などがあります。
拒否の類語
拒否の類語・類義語としては、承知しないことや承知できないことを意味する「不承知」、不承知らしい様子を意味する「難色」、裁可しないことや許可が出ないことを意味する「拒否」、申入れや主張などを受け入れないで拒むことを意味する「退ける」などがあります。
拒絶の意味
拒絶とは
拒絶とは、相手の頼みや要求をこばむことを意味しています。
表現方法は「拒絶する」「拒絶される」「拒絶反応」
「拒絶する」「拒絶される」「拒絶反応」などが、拒絶を使った一般的な言い回しです。
拒絶の使い方
拒絶を使った分かりやすい例としては、「特許出願について拒絶査定を受ける」「依然として拒絶理由が存在する」「対人関係で拒絶反応してまう」「他人に拒絶された時の対処法を知りたい」などがあります。
その他にも、「移植の拒絶反応をコントロールする」「会社側は団体交渉を拒絶する意向だ」「迷惑な郵便物は受取拒絶する」「小切手の支払が拒絶された」「彼女は被拒絶感が強い人だ」などがあります。
拒絶とは、要求や希望について拒み、話し合いや交渉などに全く応じようとしないことを意味します。拒絶という言葉の「拒」は相手を寄せつけないこと、「絶」は関係を断ち切ることや拒むことを表します。
「拒絶査定」の意味
拒絶という言葉を用いた日本語には「拒絶査定」があり、特許出願などの審査で使われる言葉です。審査時に出願内容に拒絶理由が見つかり、出願人による意見書や補正によっても拒絶理由が解消しない場合に与えられます。「拒絶査定」に不服がある場合、拒絶査定不服審判の請求を行うことが出来ます。
拒絶の対義語
拒絶の対義語・反対語としては、依頼や申し入れを快く承諾することを意味する「快諾」、相手の言うことを承知してそれに従うことを意味する「承服」、喜んで受け入れることを意味する「歓迎」などがあります。
拒絶の類語
拒絶の類語・類義語としては、すげなくはねつけることを意味する「一蹴」、要求や願いなどを手厳しく断ることを意味する「突っ撥ねる」、受け入れられないとして押しのけ退けることを意味する「排斥」、相手の申し入れを断ることを意味する「謝絶」などがあります。
拒否の例文
この言葉がよく使われる場面としては、願いや要求を承知しないで断ることを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文3にある「拒否反応」は、ある物事や人を心理的・生理的に受け付けないことを意味し、「拒絶反応」とも言います。例文4の「登校拒否」とは、心理的な理由によって子どもが登校を拒むことです。文部省では、学校嫌いを理由に年間50日以上欠席した生徒を登校拒否児と定義しています。
拒絶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の要求や希望を拒むこと、はねつけ否定することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある郵便物の受け取りを拒絶する場合、「受取拒絶」と書いたうえで押印し郵便局に戻すと差出人に返還してもらえます。例文2にある「拒絶反応」とは、臓器移植などの際に移植片を拒んで宿主から追い出そうとする働きを意味し、「拒否反応」とも言います。
拒否と拒絶という言葉は、どちらも要求や命令などを受け入れないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、より強く頑なに受け入れないことを表現をしたい時は「拒絶」を使うようにしましょう。