似た意味を持つ「帰着」(読み方:きちゃく)と「帰宅」(読み方:きたく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「帰着」と「帰宅」という言葉は、どちらも「帰ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
帰着と帰宅の違い
帰着と帰宅の意味の違い
帰着と帰宅の違いを分かりやすく言うと、帰着とは帰り着くことを表し、帰宅とは家に帰ることを表すという違いです。
帰着と帰宅の使い方の違い
一つ目の帰着を使った分かりやすい例としては、「無事にホテルに帰着することができました」「被災地より救護班が帰着しました」「出発地と帰着地が別になることがあります」「いつまでたっても帰着点がみえません」「結局いずれも無効であると帰着した」などがあります。
二つ目の帰宅を使った分かりやすい例としては、「明日は6時に帰宅する予定です」「子どもが英語の塾から帰宅しました」「息子は帰宅部なので家でダラダラしています」「帰宅困難者対策のガイドラインを策定しました」などがあります。
帰着と帰宅の使い分け方
帰着と帰宅という言葉は、どちらもある場所から移動してどこかに帰ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
帰着とは、帰り着くことを意味します。「自宅に帰着する」「ホテルに帰着する」のような使い方で、帰り着く先は限定されない表現です。また、「無効であると帰着した」のような使い方で、ある結論に落ち着くことの意味も持ちます。
帰宅とは、自宅に帰ることを意味し、帰り着く先は家に限定される表現です。「会社に帰宅する」「公園に帰宅する」のような使い方はできません。上記例文にある「帰宅部」とは、学校で特定の部活動に所属せずに帰宅する生徒の俗称です。
つまり、帰着とは帰り着くこと全般を表し、帰宅とは家に帰ることを表現する言葉です。また、帰着という言葉には、いろいろの過程を経て最終的に落ち着くことの意味があることも、二つの言葉の明確な違いになります。
帰着と帰宅の英語表記の違い
帰着を英語にすると「return」「reduction」「conclusion」となり、例えば上記の「無事に帰着する」を英語にすると「return in safety」となります。
一方、帰宅を英語にすると「returning home」「coming home」「going home」となり、例えば上記の「6時に帰宅する」を英語にすると「go home at 6 o’clock」となります。
帰着の意味
帰着とは
帰着とは、帰り着くことを意味しています。
その他にも、「いろいろの過程を経て、最終的に落ち着くこと」の意味も持っています。
表現方法は「家に帰着」「帰着する」
「家に帰着」「帰着する」などが、帰着を使った一般的な言い回しです。
帰着の使い方
「第一班がもうすぐ帰着の予定です」「夜10時20分に営業所で帰着点呼を完了しました」「帰着時間を正確に記録してください」「帰着日によって追加代金が発生する場合があります」などの文中で使われている帰着は、「帰り着くこと」の意味で使われています。
一方、「英語教育の問題は教師の質に帰着する」「最後は程度問題に帰着することもあります」「議論の帰着点が見えません」などの文中で使われている帰着は、「いろいろの過程を経て、最終的に落ち着くこと」の意味で使われています。
帰着とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。帰着の「帰」は元の所に戻ること、しかるべき所に落ち着くことを表し、「着」はある場所に行き着くことを表す漢字です。
「帰着点」の意味
帰着を用いた日本語には「帰着点」があります。帰着点とは、「帰着点を見失う」のような使い方で、議論や話し合いなどで導かれた結論の部分を意味します。また、「動作の帰着点」のような使い方で、最終的にたどり着くところの意味もあります。
帰着の対義語
帰着の対義語・反対語としては、目的地に向かって出かけることを意味する「出発」などがあります。
帰着の類語
帰着の類語・類義語としては、ひとまわりして元の所に帰ることを意味する「回帰」、最終的にある結論や結果に落ち着くことを意味する「帰結」、物事が最終的に落ち着くことや行き着くところを意味する「帰趨」などがあります。
帰宅の意味
帰宅とは
帰宅とは、自分の家に帰ることを意味しています。
表現方法は「帰宅する」「帰宅した」「帰宅します」
「帰宅する」「帰宅した」「帰宅します」などが、帰宅を使った一般的な言い回しです。
帰宅の使い方
帰宅を使った分かりやすい例としては、「帰宅後は英語の宿題をやります」「日本のビジネスマンは帰宅時間が遅い」「認知症の高齢者は帰宅願望が強い」「空港からタクシーに乗って帰宅の途につく」などがあります。
その他にも、「台風で帰宅難民になってしまった」「常に帰宅支援マップを持ち歩いています」「福島には今も居住できない帰還困難区域があります」「東京都は帰宅困難者対策条例を制定しました」などがあります。
帰宅の「宅」は訓読みで「いえ」と読み、人が住む建物や自分が住んでいる家を表します。もとの所に戻ることを表す「帰」と結びつき、帰宅とは、自分が住んでいる家に帰ることを意味します。家ではない場所に着くことには使用できない言葉です。
「帰宅困難者」の意味
帰宅を用いた日本語には「帰宅困難者」があります。帰宅困難者とは、自然災害などで公共交通機関がまひし、自宅が遠距離にあって帰宅できない人を意味します。「帰宅難民」とも言い、被災当日に自宅へ帰れない帰宅断念者」と、遠距離を歩いて帰らねばならない「遠距離徒歩帰宅者」があります。
帰宅の対義語
帰宅の対義語・反対語としては、自宅や勤め先などから出かけることを意味する「外出」などがあります。
帰宅の類語
帰宅の類語・類義語としては、家に帰ることを意味する「帰家」、郷里に帰ることを意味する「帰省」、妻や奉公人などが実家に帰ることを意味する「里帰り」、自宅へ帰ることや自宅への帰り道をたどることを意味する「家路につく」などがあります。
帰着の例文
この言葉がよく使われる場面としては、帰り着くこと、議論や物事の経過などが最終的にある点に落ち着くことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある帰着は、帰り着くことの意味で用いられています。例文3から例文5の帰着は、議論や物事の経過などが最終的にある点の意味で使われています。
帰宅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、家に帰ることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「帰宅時間」とは、外出先から家に着いた時刻を意味します。外出先から家に向かうために出発した時の時間ではありません。例文5にある「帰宅ラッシュ」とは、会社や学校から帰宅するために、平日の夕方から夜にかけて道路や交通機関が混雑する現象のことです。
帰着と帰宅という言葉は、どちらも「帰ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、帰ることや物事が最終的に落ち着くことを表現したい時は「帰着」を、家に帰ることを表現したい時は「帰宅」を使うようにしましょう。