【降参】と【降伏】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「降参」(読み方:こうさん)と「降伏」(読み方:こうふく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「降参」と「降伏」という言葉は、どちらも「相手に負けて従うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




降参と降伏の違い

降参と降伏の意味の違い

降参と降伏の違いを分かりやすく言うと、降参とは個人間の争いで負けて従うこと、降伏とは戦争で負けて従うことという違いです。

降参と降伏の使い方の違い

一つ目の降参を使った分かりやすい例としては、「ついに敵兵は両手を上げて降参した」「もう降参するしかないでしょう」「何でもかんでも値上がり続きで降参です」「泣きじゃくる子供に降参してお菓子を買ってしまった」などがあります。

二つ目の降伏を使った分かりやすい例としては、「降伏文書の調印が行われました」「大統領は事実上の無条件降伏を迫っています」「降伏応力の求め方を確認する」「降伏強さは材料の抵抗の尺度です」などがあります。

降参と降伏の使い分け方

降参と降伏という言葉は、どちらも相手に負けて従うことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

降参とは、相手が強いことを認めて戦いを終わらせることを意味し、比較的小さな争いや個人的な争い事に使用される言葉です。「値上がり続きで降参です」のように、やっかいな事柄にどうしようもなくて閉口することの意味も持っています。

降伏とは、戦闘に負けたことを認めて敵の意志に従うことを意味し、基本的には戦争などの大きな争いで使用される言葉です。降伏は、無条件または条件付きで行われます。また、「降伏応力」「降伏強さ」のような使い方で、降伏という言葉は建築に関する用語にもなっています。

つまり、降参とは個人間などの小さな争いについて用いられ、降伏とは戦争などの大きな争いに関して使われる言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

降参と降伏の英語表記の違い

降参も降伏も英語にすると「surrender」「yielding」「give up」となり、例えば上記の「両手を上げて降参する」を英語にすると「raise one’s arms in surrender」となります。

降参の意味

降参とは

降参とは、戦いに負けて服従することを意味しています。

その他にも、「手に負えずに投げ出すこと、まいること」の意味も持っています。

降参の使い方

「この状況では降参するしかない」「相手の降参を読んで自分も降参する」「降参した兵隊が白旗を振っているイラストを描く」などの文中で使われている降参は、「戦いに負けて服従すること」の意味で使われています。

一方、「息子の執念に降参してしまいそう」「猫がお腹をみせるのは降参のポーズです」「パワーカップルもマンション価格の高騰に降参している」などの文中で使われている降参は、「手に負えずに投げ出すこと」の意味で使われています。

降参とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。降参の「降」は高い所から下ることや負けて従うことを表し、「参」は相手のところへ行くことや疲れて弱ることを表す漢字です。

降参は日常的な個人単位で争う場面で用いられる

降参という言葉は、戦争など大きな争いごとの場面よりも、日常的な個人単位で争う場面で用いられる傾向があります。例えば、鬼ごっこなどの遊びや相手のしつこさなどに、「負けた」の意味で用いられることもあります。

降参の対義語

降参の対義語・反対語としては、外からの力にはりあうことを意味する「抵抗」などがあります。

降参の類語

降参の類語・類義語としては、攻め落とされることを意味する「陥落」、戦いに敗れて逃げ走ることを意味する「敗走」、戦うことをやめて降参することを意味する「投降」、解決する手段が全くないことを意味する「お手上げ」などがあります。

降伏の意味

降伏とは

降伏とは、戦いに負けたことを認めて、相手に従うことを意味しています。

その他にも、「建築用語で、金属材料などに応力を加えていくと現れる現象」の意味も持っています。

降伏の使い方

「日本は無条件降伏を受け入れた」「降伏文書調印式は戦艦ミズーリ号上で行われた」「ドイツ軍にパリが占領されフランスは降伏した」などの文中で使われている降参は、「戦いに負けたことを認めて相手に従うこと」の意味で使われています。

一方、「引張試験を行って降伏点を計算する」「鋼材の降伏点強度を測定する」「降伏比の求め方を教えてもらいました」などの文中で使われている降参は、「金属材料などに応力を加えていくと現れる現象」の意味で使われています。

降伏の漢字表記

降伏は「降服」とも書きますが、「降伏」と表記されることが多くなっています。

降伏の読み方

降伏の読み方は「こうふく」の他に「ごうぶく」とも読みますが、「ごうぶく」と読むと「仏などの力によって悪心邪気などを制止すること」という別の意味になるので注意してください。

降伏とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。降伏の「伏」は訓読みで「ふせる」「ふす」と読み、従わせることや服従させることを表します。

表現方法は「無条件降伏」

降伏を用いた日本語には「無条件降伏」があります。無条件降伏とは、文字通り「一切の条件をつけずに降伏すること」であり、相手の言うがままになんの条件もつけないで降伏することを表します。第二次大戦において日本やドイツ等は連合国に無条件降伏しました。

降伏の対義語

降伏の対義語・反対語としては、意志を貫くことや服従しないことを意味する「不屈」などがあります。

降伏の類語

降伏の類語・類義語としては、敵に城を攻め落とされることを意味する「落城」、他の意志や命令に従うことを意味する「服従」、支配下に入ることを意味する「帰順」、あきらめてやめることを意味する「ギブアップ」などがあります。

降参の例文

1.絶対に勝てないことが確定したら自主的に降参することは、カーリングの世界で求められる潔さの精神です。
2.日本は降参しないと教育されていたので、多くの日本人は終戦することに大きなショックを受けました。
3.降参や降伏の意志表明として白旗をあげることは、実は世界中で通用します。
4.英語には自信がありましたが、ネイティブ英語の速さには降参です。
5.沖縄生まれで暑さに強い方だと思っていましたが、今年の連日の猛暑には降参です。

この言葉がよく使われる場面としては、戦いや競争などに負けて敵に服従すること、手におえないで困りきることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「白旗をあげる」とは、降参することを意味する慣用句です。漢字で「白旗を揚げる」と書き、戦いや争いに負けたという意志を示すことを意味します。

降伏の例文

1.軍事力がある強国だと思っていたので、すぐに降伏するとは思わなかった。
2.第二次世界大戦を終結させるポツダム宣言は、日本に無条件降伏を求める声明でした。
3.1945年に日本が降伏した際の資料を、英語の原文で読んでみました。
4.降伏比は、建築用の鋼材などで検討されるパラメータの一つになっています。
5.より質の高い鋼鉄の材料を追及するには、降伏点をはじめとした物理的特性の理解が不可欠です。

この言葉がよく使われる場面としては、軍隊が敵対行動をやめ敵の権力下に置かれること、鉄筋など金属材に力を加えることにより現れる現象を表現したい時などが挙げられます。

例文4や例文5にある降伏は、建築用語として使用されています。「降伏比」とは金属材料の引張強さに対する降伏点応力の比率を意味し、「降伏点」は物体に力を加えた際に物体が持つ弾性の限界点を表します。

降参と降伏という言葉は、どちらも「相手に負けて従うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、個人的に負けて従うことを表現したい時は「降参」を、戦争で負けて従うことを表現したい時は「降伏」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター