【見参】と【推参】と【参上】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「見参」(読み方:げんざん)と「推参」(読み方:すいさん)と「参上」(読み方:さんじょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「見参」と「推参」と「参上」という言葉は、訪問することという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




見参と推参と参上の違い

見参と推参と参上の意味の違い

見参と推参と参上の違いを分かりやすく言うと、見参は目上の人が目下の人に会うことを表現する時にも使い、推参は招かれていないのに訪問することを表現する時に使い、参上は目上の人に会うことのみを表現する時に使うという違いです。

見参と推参と参上の使い方の違い

見参という言葉は、「見参したいと思ったが日を改めることにする」「後々取引先への見参に備えて準備する」などの使い方で、目上の人を訪問することを意味します。

推参という言葉は、「推参に及んだことお詫び申し上げます」「推参者と呼ばれても仕方のない状態である」などの使い方で、招かれていないにも関わらず訪問することを意味します。そこから転じて、無礼という意味もつくようになりました。

参上という言葉は、「近々参上させて頂く旨を伝えるメールを送った」「直ちに参上致します」などの使い方で、目上の人のもとに行くことを意味します。

見参と推参と参上の使い分け方

見参と参上は目上の人を訪問することが本来の意味ですが、見参には目上の人が目下の人に会う場合も意味します。その場合には尊敬語として使うため、使われ方が他の語と変わってきます。

また、推参は、訪問することを意味する言葉ですが、相手に対して無礼であることを意味する言葉でもあるため、他の二語とは訪問の意味合いが変わってきます。これらが、見参、推参、参上の明確な違いです。

見参の意味

見参とは

見参とは、参上して目上の人に対面することを意味しています。その他にも、目上の人が目下の者に会うことも意味します。

見参の読み方

見参は「げんざん」という読み方をしますが、「けんざん」「げざん」「げんぞう」とも読むことができます。意味はどれも「げんざん」と同じです。

見参の由来

もとは貴族の世界での公式行事など宴会に出席することを意味する言葉でしたが、やがて武士の時代になり鎌倉時代中期に入ってからは、武士が主君に謁見して臣従の意を示すことを指すようになりました。

これが転じて、目上の人に会うことや、目上の人が目下の人に会うことを意味するようになりました。

表現方法は「ただいま見参」「ここに見参」「見参する」

「ただいま見参」「ここに見参」「見参する」などが、見参を使った一般的な言い回しです。

「見参の板」「壁見参」の意味

見参を使った言葉として、「見参の板」「壁見参」があります。

一つ目の「見参の板」とは、平安京の天皇の私的区域である内裏のうちの一つ、清涼殿にある釘付けをしない床板を指す言葉です。

1枚だけ釘付けをしないことで、誰かがその板を踏むと音が鳴る仕掛けになっており、鳴板とも言われています。見参する人がこの階段を上ったことから「見参の板」という名前が付きました。

二つ目の「壁見参」とは、相手となる者がいないのにあたかもいるかのように振る舞うことを意味する言葉です。

推参の意味

推参とは

推参とは、自分の方から出かけていくことを意味しています。その他にも、招かれていないのに人を訪問することを詫びる気持ちを込めて使うことがあります。

表現方法は「推参つかまつる」「推参なり」「推参仕り候」

「推参つかまつる」「推参なり」「推参仕り候」などが、推参を使った一般的な言い回しです。

「推参者」の意味

推参を使った言葉として、「推参者」があります。これは、出しゃばりな人や無礼者を意味する言葉です。招かれてもいないのに訪問することが転じて、出しゃばることや差し出がましいことを意味することになった「推参」に「者」がついた表現です。

推参の類語

推参の類語・類義語としては、人に対して礼に欠けた振る舞いをすることを意味する「失敬」、行儀が悪いことを意味する「不行儀」、礼儀に背くことを意味する「非礼」、無作法なことを意味する「不躾」があります。

参上の意味

参上とは

参上とは、目上の人のところに行くことを意味しています。

表現方法は「参上する」「明日参上いたします」「ヒーロー参上」

「参上する」「明日参上いたします」「ヒーロー参上」などが、参上を使った一般的な言い回しです。

参上の使い方

参上という言葉は、見参や推参と同じくらいアニメや時代劇などで主人公などのヒーローらがその場に登場する時に使われる台詞です。

しかし、参上という言葉は本来謙譲語であるため、自分がへりくだって身分が上の相手を立てる時に使います。そのため、悪者を敬うような物言いはふさわしくなく、皮肉とも取ることができます。

ただし、悪者に苦しめられていた人々に対してや、その物語を見たり聞いたりする人に対する謙譲語として機能していると捉えることもできます。

参上の類語

参上の類語・類義語としては、城に参上することを意味する「登城」(読み方:とじょう)、貴人の傍に奉仕することを意味する「伺候」(読み方:しこう)、人を訪ねることを意味する「訪問」、人が訪ねてくることを意味する「来訪」があります。

見参の例文

1.いずれ社長に何らかの形で見参しなければならないと考えている。
2.来る見参の機会に備えて、今は資料などをきちんと整理しておこうと思った。
3.上司に見参して今回のプロジェクトの成果の報告を行った。
4.商店街では落書き事件が多発しており、うちの店のシャッターにも「ここに見参!」などと書かれてとても困っているところだ。
5.初雪見参とは平安時代に初雪が降った日に群臣が宮中へ参内することをいう、いわば儀式のようなものだ。
6.戦国時代に奴隷として連れてこられたアフリカ人の男があの信長に見参したというのだから歴史のロマンを感じた。

この言葉がよく使われる場面としては、目上の人を訪問することを意味する時などが挙げられます。

まれに見参は、目上の人が目下の人を訪問することを意味するため、謙譲語ではなく尊敬語で使われることがありますが、例文は全て謙譲語であるため、参上という言葉に置き換えて使うことができます。

推参の例文

1.唐突に推参したこと、申し訳ございません。
2.深夜の推参となってしまったため、相手に迷惑を掛けてしまったに違いない。
3.無礼も省みずに社長を推参した彼に賛否両論挙がっている。
4.事前のアポイントもとらず、こんな深夜に推参するかたちになりまして、誠に申し訳ありません。
5.突然の推参で迷惑かと存じますが、どうしても今日中にお伝えせねばならない件がありまして取り急ぎ参りました。
6.「突然に推参いたしましたのは、折り入ってお願いがありまして・・・」と封書を手渡し、カクカクシカジカと経緯を説明し始めた。

この言葉がよく使われる場面としては、招かれていないのに相手を訪問することを意味する時などが挙げられます。

出しゃばることや無礼であることを意味する言葉でもある推参を、見参や参上に置き換えて使うことはできません。

参上の例文

1.万が一何かございましたらすぐに参上致しますので、いつでもお申し付けください。
2.先日頂いた茶菓子を持参してそちらに参上いたします。
3.本日はお預かりした伝言をお伝えするために参上した次第です。
4.今回のプロジェクトの詳細につきましては、後日資料を持参したうえ、御社に参上しご説明したいと存じます。
5.本来であれば参上いたすべきところなのですが、あいにく当日は別件の打ち合わせが入っているためメールにて失礼いたします。
6.帝に気に入られた女は参上の要請を何度も断ってきたが、再三の説得の末ついには折れて宮中に参上した。

この言葉がよく使われる場面としては、目上の人のところに行くことを意味する時などが挙げられます。

参上という言葉は、訪問するという意味で使われることが多いため、「伺う」という言葉に置き換えて使うこともできます。また、謙譲語の見参に置き換えて使うこともできます。

見参と推参と参上どれを使うか迷った場合は、目上の人が目下の人に会うことも表す場合は「見参」を、無礼である訪問を表す場合は「推参」を、目下の人が目上の人に会うことのみを表す場合は「参上」を使うと覚えておけば間違いありません。

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