似た意味を持つ「提供」(読み方:ていきょう)と「供給」(読み方:きょうきゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「提供」と「供給」という言葉は、どちらも「与えること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
提供と供給の違い
提供と供給の意味の違い
提供と供給の違いを分かりやすく言うと、提供とは役立ててもらうために差し出すことを表し、供給とは必要に応じて与えることという違いです。
提供と供給の使い方の違い
一つ目の提供を使った分かりやすい例としては、「接客は形のないサービスを提供する仕事です」「人気アニメとのコラボメニューを提供します」「匿名で事件に関する情報提供がありました」「20秒の提供クレジットを放送する」などがあります。
二つ目の供給を使った分かりやすい例としては、「需要と供給のバランスを見極める」「需要曲線と供給曲線をグラフに示す」「電気契約の供給地点特定番号の調べ方を教えてください」「突然の供給にオタクが悶絶している」などがあります。
提供と供給の使い分け方
提供と供給という言葉は、どちらも物やサービスなどを相手に与えることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
提供とは、「情報提供」などの使い方で、金品やサービスなどを相手に役立てもらうために、自分が持っているものを差し出すことを意味します。また、「提供クレジット」のような使い方で、広告主がスポンサーになり、番組を提供することも表します。
供給とは、必要なものを与えることを意味し、「支援物資を供給する」のような使い方をします。また、経済用語として、市場の需要に応じて商品を出すことやその分量の意味もあります。市場では、需要と供給のバランスによって値段や取引量が決まります。
つまり、提供とは必要性ではなく相手の役に立つだろうという思いから物を差し出すことであり、供給とは相手の必要や要求に応じて物を与えることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
提供と供給の英語表記の違い
提供を英語にすると「offer」「proffer」「sponsoring」となり、例えば上記の「サービスを提供」を英語にすると「offer services」となります。
一方、供給を英語にすると「supply」「service」「provision」となり、例えば上記の「需要と供給」を英語にすると「supply and demand」となります。
提供の意味
提供とは
提供とは、金品・技能などを相手に役立ててもらうために差し出すことを意味しています。
その他にも、「広告主がスポンサーとなって、テレビ番組を視聴者に公開すること」の意味も持っています。
提供の使い方
「皆さまからの情報提供をお待ちしています」「安心安全な食事を提供する」「企業独自の提供価値とは何ですか」「専門的な英語教材を提供する出版社です」などの文中で使われている提供は、「金品や技能などを差し出すこと」の意味で使われています。
一方、「番組内で提供クレジットの掲載を開始しました」「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」などの文中で使われている提供は、「広告主がスポンサーとなってテレビ番組を公開すること」の意味で使われています。
提供の「提」は持ち出すこと、「供」は差し出して役立てることを表す漢字です。提供とは、相手に役立つように差し出すことを意味し、有料で差し出す場合も無料の場合も使うことができる言葉です。また、広告主がスポンサーとなってメディアを通じて視聴者に番組を公開することも意味します。
「提供価値」の意味
提供を用いた日本語には「提供価値」があります。提供価値とは、英語の「Value Proposition」を訳したマーケティング用語です。企業や組織として顧客あるいはステークホルダーに手渡せる、他が真似することのできない独自の価値を意味します。
提供の対義語
提供の対義語・反対語としては、物や金を受け取ることを意味する「受領」、金品を受け取っておさめることを意味する「領収」などがあります。
提供の類語
提供の類語・類義語としては、相手が欲する物品や利益などを与えることを意味する「供与」、金品をめぐみ与えることを意味する「恵与」、授け与えることを意味する「授与」、役立てることや提供することを意味する「供する」などがあります。
供給の意味
供給とは
供給とは、必要に応じて、物を与えることを意味しています。
その他にも、「販売のために商品を市場に出すこと、また、その数量」の意味も持っています。
供給の読み方
供給の読み方は「きょうきゅう」です。古くは「ぐきゅう」と読みましたが、現在では「きょうきゅう」と読むことが一般的です。
供給の使い方
「子どもたちに質の高い英語教育を供給する」「災害時に飲料水を供給する協定を結ぶ」「早急に支援物資の供給体制を立ち上げるべきです」などの文中で使われている供給は、「必要に応じて物を与えること」の意味で使われています。
一方、「夏野菜が供給過多となっています」「来年度のガス供給計画を作成いたしました」「市場で供給者が増えれば競争は激化します」などの文中で使われている供給は、「商品を市場に出すこと」の意味で使われています。
供給とは、要求あるいは必要に応じて物をまわし与えることを意味し、特に、販売や交換のため商品を市場に出すことを指します。供給の「供」は差し出して役立てること、「給」は当てがって足りるようにすることを表す漢字です。
「供給地点特定番号」の意味
供給を用いた日本語には「供給地点特定番号」があります。供給地点特定番号とは、電力小売全面自由化に伴い、電気を使用している地点を特定するために、全国一律で付番されている22桁の番号のことです。電気の契約先を変更する際に必要となる番号です。
供給の対義語
供給の対義語・反対語としては、ある物や事柄を必要とすることを意味する「需要」などがあります。
供給の類語
供給の類語・類義語としては、相手のためになるものを提供することを意味する「与える」、必要な物資を自力で獲得してまかなうことを意味する「自給」、需要と供給を意味する「需給」などがあります。
提供の例文
この言葉がよく使われる場面としては、資料や物品をさし出して相手の用にあてること、広告主がスポンサーとなり視聴者に番組を公開することを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「提供クレジット」とは、番組に出資した企業などの協賛スポンサーを明らかにするために入れられるクレジットのことです。
供給の例文
この言葉がよく使われる場面としては、求めに応じてあてがうこと、市場での交換や販売を目的として所有物を提供する行為を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「供給過多」とは、一般に需要より供給の方が多くなるというマイナスイメージの言葉ですが、オタク用語の「供給過多」は推しのグッズや公式の情報が多すぎて非常に嬉しいうポジティブなニュアンスがあります。
提供と供給という言葉は、どちらも「物やサービスなどを与えること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、役立ててもらうために差し出すことを表現したい時は「提供」を、必要に応じて与えることを表現したい時は「供給」を使うようにしましょう。