【帳消し】と【相殺】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「帳消し」(読み方:ちょうけし)と「相殺」(読み方:そうさい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「帳消し」と「相殺」という言葉は、どちらも清算することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「帳消し」と「相殺」の違い

「帳消し」と「相殺」の違いを分かりやすく言うと、「帳消し」は感情や評価などが無効になる場合に使う、「相殺」はプラスとマイナスが打ち消し合う場合に使うという違いです。

一つ目の「帳消し」を使った分かりやすい例としては、「借金の一部を帳消しにしてもらった」「過去の失敗を帳消しにして新たにスタートする」「取引先が債務を帳消しにする合意を示した」などがあります。

二つ目の「相殺」を使った分かりやすい例としては、「会社は売掛金と買掛金を相殺して処理した」「損害賠償額を既存の債務と相殺する」「貸しと借りを相殺することで精算する」などがあります。

「帳消し」と「相殺」はどちらも清算することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「帳消し」は「今回の失敗でこれまでの努力が帳消しになってしまった」のように、それまで積み重ねてきた評価・成果・感情などが、ある出来事によって無駄になってしまう場合に使う言葉になります。

主に、感情・努力・信頼・評価といった抽象的なものに使われやすいのが特徴です。

一方、「相殺」は「赤字と黒字が相殺され、最終的な利益はゼロになった」のように、プラスとマイナスが互いに打ち消し合う場合に使う言葉です。主に、お金・数字・損得・利害関係・要素など、より具体的・計算的な場面で用いられます。

つまり、感情や評価などが無効になる場合に使うのが「帳消し」、プラスとマイナスが打ち消し合う場合に使うのが「相殺」と覚えておきましょう。

「帳消し」を英語にすると「nullify」 「wipe out」 「invalidate」となり、例えば「今回の失敗でこれまでの努力が帳消しになってしまった」を英語にすると「That single failure wiped out all of his previous efforts」となります。

一方、「相殺」を英語にすると「offset」 「counterbalance」 「cancel out」となり、例えば「赤字と黒字が相殺され、最終的な利益はゼロになった」を英語にすると「The losses and gains were offset, resulting in zero profit」となります。

「帳消し」の意味

「帳消し」とは、互いに差し引いて損得がなくなることを意味しています。

「帳消しにする」「帳消しになる」などが、「帳消し」を使った一般的な言い回しになります。

「帳消し」を使った分かりやすい例としては、「一度の失敗でこれまでの努力が帳消しになってしまった」「大口のクレームによって会社の信用が帳消しになる恐れがある」「今回のトラブルでこれまでの評価が帳消しになりました」などがあります。

「帳消し」はそれまで積み上げてきた成果や評価、効果などが、ある出来事によって無効になることを意味する言葉です。

「帳消し」を簡単に言うならば、プラスの結果や価値が、マイナスの要因によってなくなってしまう状態を指しています。例えば、何年もまじめに働いてきたにもかかわらず一度の不祥事で解雇されれば、それまでの努力は「帳消しになった」といえます。

そのため、「帳消し」は努力・信頼・実績・好意など、積み重ねの要素があるものに対してよく使われます。また、多くの場合、マイナスのイメージを伴うというのが特徴です。

「帳消し」の類語・類義語としては、すべて無効にすることを意味する「無効化」、物事を白紙の状態に戻すことを意味する「白紙に戻す」、それまでのことをなかったことにする「水に流す」などがあります。

「相殺」の意味

「相殺」とは、差し引いて互いに損得がないようにすることを意味しています。

「相殺する」「相殺される」などが、「相殺」を使った一般的な言い回しになります。

「相殺」の読み方は「そうさい」です。誤って「そうさつ」と読まないように気をつけましょう。

「相殺」を使った分かりやすい例としては、「売掛金と買掛金を相殺して支払いを簡略化した」「損失を利益で相殺することで、全体の赤字を防ぐことができた」「請求額と返金額を相殺して差額だけを支払いました」などがあります。

「相殺」は、互いに反対の性質をもつもの同士を差し引いて、結果をゼロまたは小さくすることを意味する言葉です。

「相殺」を簡単に言うならば、プラスとマイナス、あるいは同程度の価値をもつものを打ち消し合って、差額だけを残すことを指しています。例えば、10万円の請求と10万円の返金があれば、それらは「相殺」されて、実際の支払いはゼロになります。

そのため、「相殺」は主にお金や数値、メリット・デメリットなど、具体的に差し引きが可能なものに対して使われます。また、会計や法律、ビジネスの場面でよく用いられるのが特徴です。

「相殺」の類語・類義語としては、差し引くことを意味する「控除」、価値を打ち消すことを意味する「相殺消去」、釣り合いを取ることを意味する「バランスを取る」などがあります。

「帳消し」の例文

1.彼の不用意な発言によって、これまで築いた信頼関係がすべて帳消しになってしまいました。
2.長年続けてきた努力も、たった一度の大きな失敗で完全に帳消しになってしまいました。
3.今まで積み重ねてきた実績が、この問題によって帳消しになる可能性があります。
4.一連のトラブルが発覚したことで、これまでの評価は帳消しになってしまいました。
5.不注意な行動が原因で、今回の成果は残念ながらすべて帳消しになってしまいます。

この言葉がよく使われる場面としては、互いに差し引いて損得がなくなることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「帳消し」は感情や評価などが無効になる場合に使う言葉です。

「相殺」の例文

1.今回の利益は前回の損失と相殺され、最終的な収支はほぼゼロになりました。
2.交通費の増加分は経費削減によって相殺される見込みとなっています。
3.プラス要素とマイナス要素が相殺されたため、結果は変わりませんでした。
4.為替の影響で損失は発生しましたが、別の収入で相殺されました。
5.昇給分は税金の増加によって相殺されてしまいました。

この言葉がよく使われる場面としては、差し引いて互いに損得がないようにすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「相殺」はプラスとマイナスが打ち消し合う場合に使う言葉です。

「帳消し」と「相殺」はどちらも清算することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、感情や評価などが無効になる場合に使うのが「帳消し」、プラスとマイナスが打ち消し合う場合に使うのが「相殺」と覚えておきましょう。

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