似た意味を持つ「揶揄」(読み方:やゆ)と「比喩」(読み方:ひゆ)と「暗喩」(読み方:あんゆ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「揶揄」と「比喩」と「暗喩」という言葉は、どれも「ゆ」と読む漢字が共通していますが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。
揶揄と比喩と暗喩の違い
揶揄と比喩と暗喩の意味の違い
揶揄と比喩と暗喩の違いを分かりやすく言うと、揶揄は相手をからかうことを表現する時に使い、比喩は例えることを表現する時に使い、暗喩はあるものを他のもので表現する時に使うという違いです。
揶揄と比喩と暗喩の使い方の違い
揶揄という言葉は、「友人を揶揄するのは程ほどにした方がいい」「家族に揶揄されることに慣れてきてしまった」などの使い方で、相手をからかうことを意味します。
比喩という言葉は、「彼の比喩表現は言葉が綺麗だ」「比喩を用いて説明を行う」などの使い方で、ある物事を借りて表現することを意味します。
暗喩という言葉は、「この場面は過去の動乱を暗喩する場面だ」「彼女の暗喩的な言動は周りを混乱させることがある」などの使い方で、そのものの特徴を直接他のもので表現することを意味します。
揶揄と比喩と暗喩の使い分け方
暗喩は比喩方法の一つで、「君は太陽だ」といった「まるで」「ように」などの言葉を含まない比喩表現を指す言葉です。そのため、比喩という言葉の中に暗喩の意味が含まれることになります。
一方、揶揄は、比喩や暗喩のように何かを例えることを意味しているわけではなく、単に相手をからかうことや皮肉ることを意味します。
これらが、揶揄、比喩、暗喩の明確な違いです。
揶揄の意味
揶揄とは
揶揄とは、からかうことを意味しています。
表現方法は「揶揄する」「揶揄される」「揶揄う」
「揶揄する」「揶揄される」「揶揄う」などが、揶揄を使った一般的な言い回しです。
揶揄の読み方
揶揄という言葉は「やゆ」という読み方をしますが、「邪揄」という表記をすることもあります。どちらの表記でも意味や読み方は全く同じです。
また、「揶揄う」と送り仮名を付けて表記することで「からかう」という読み方になりますが常用漢字ではない上、「からかう」と一般的な辞書で調べても漢字表記は記載されていません。漢字検定1級レベルの当て字とされています。
揶揄を表すことわざ
揶揄する時に使われる言葉として、「鰯の頭も信心から」ということわざがあります。本来は、一度信じたものはどのようなものでも有難く、尊いものだと思えることを意味しますが、物事を頑なに信じる人を揶揄する際に使われます。
この他にも、特に女性を揶揄するようなことわざが多く、姑からして憎い嫁に秋茄子を食わせるなということを意味する「秋茄子は嫁に食わすな」、女性の執念が深いことを意味する「女の一念岩をも通す」などがあります。
揶揄の類語
揶揄の類語・類義語としては、あざけり笑うことを意味する「嘲笑」(読み方:ちょうしょう)、あざけり笑うことを意味する「嗤笑」(読み方:ししょう)、人を馬鹿にしてからかうことを意味する「愚弄」があります。
比喩の意味
比喩とは
比喩とは、ある物事を類似または関係する他の物事を借りて表現することを意味しています。
比喩の読み方
比喩は「ひゆ」という読み方をしますが、もとは「譬喩」という表記がされてていましたが、どちらの表記でも意味や読み方は全く同じです。
「比喩法」の意味
比喩を使った言葉として、「比喩法」があります。「比喩法」とは、物事を直接描写せずに、例えを使って理解しやすいようにして表現する方法です。具体例として、例えだけを示して間接的に推察させる方法である「諷喩」(読み方:ふうゆ)などがあります。
他にも、ことわざや人の言葉を例えに使い言いたいことを間接的に表現する方法の「引喩」、ある事物を表すのにそれと深い関係の物で置き換える方法の「換喩」、全体と部分との関係に基づいた「提喩」、そして直喩と隠喩を含めた6種類が比喩法に当たります。
こういった比喩方法は世界各国でも使われていますが、日本人が美味しいものを食べた時に使う「頬が落ちる」という比喩表現は他の国では使われませんし、日本では「誰かに熊を背負わせる」という誰かを混乱させることを例えたドイツの表現は使いません。
古いものであれば、古代メソポタミアの『ギルガメッシュ叙事詩』や『新約聖書』などでも比喩表現が見られています。
比喩の類語
比喩の類語・類義語としては、二つの事物を直接比較して示す方法である直喩の別の言い方である「明喩」、現実の様子を規模を小さくして地図に端的に表したものを意味する「縮図」、物事の姿や性質などを言い表わす「形容」があります。
暗喩の意味
暗喩とは
暗喩とは、そのものの特徴を直接他のもので表現する方法を意味しています。
暗喩の読み方
暗喩は「あんゆ」という読み方をし、隠喩(読み方:いんゆ)と同じように使われる言葉です。
暗喩の使い方
暗喩も隠喩も「ような」「ごとし」のような言葉を一緒に使わずに、直接たとえ話をしていることがわからないように例え方を指す言葉です。
暗喩表現が使われている言葉として、時間が貴重であることを意味する「時は金なり」、苦労することや力を尽くすことを意味する「骨を折る」などがあります。前者は時間と金銭は同義にはならず、後者は実際に骨が折れているわけではありません。
暗喩の対義語
暗喩の対義語・反対語としては、二つの事物を直接に比較して示すものを意味する「直喩」、直喩や明喩を意味する「シミリ」があります。
暗喩の類語
暗喩の類語・類義語としては、隠喩を意味する「隠喩」、暗喩や隠喩を意味する「メタファー」があります。
揶揄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他をからかうことを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2のような「揶揄される」という表現を、からかわれるという言葉に置き換えることはできますが、「揶揄われる」という表記はしません。
比喩の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かを例えることを意味する時などが挙げられます。
どの比喩という言葉も、揶揄に置き換えて使うことはできません。また、比喩の方法によっては暗喩という言葉にも置き換えて使うことはできません。
暗喩の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのものを他のもので表現することを意味する時などが挙げられます。
例文1のように、小説などの文章だけではなく、動作のような視覚的表現で例える場合にも暗喩という言葉を使うことができます。
揶揄と比喩と暗喩どれを使うか迷った場合は、からかうことを表す場合は「揶揄」を、例えることを表す場合は「比喩」を、他のもので表現することを表す場合は「暗喩」を使うと覚えておけば間違いありません。