似た意味を持つ「引力」(読み方:いんりょく)と「重力」(読み方:じゅうりょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「引力」と「重力」という言葉は、どちらも「物体の間で互いに引き合う力」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
引力と重力の違い
引力と重力の違いを分かりやすく言うと、引力とは物体同士が引き合う力という広い概念、重力とは地球と地球上の物体の間で働く具体的な力という違いです。
一つ目の引力を使った分かりやすい例としては、「ニュートンは万有引力の法則を発見しました」「潮の満ち引きの原因は月の引力です」「天体引力の影響で地球が変形する」「月の引力と巨大地震の関係性を調べる」などがあります。
二つ目の重力を使った分かりやすい例としては、「重力波の観測が世界で初めて成功した」「重力による時間の遅れを計算する」「重力が量子レベルに作用している」「大西洋上で大陸規模の巨大な重力場の異常を検知しました」などがあります。
引力と重力という言葉は、どちらも物体の間で互いに引き合う力を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
引力とは、二つの物体どうしが互いに引き合う力を意味します。質量をもつすべての物体の間に働く万有引力、電荷どうしの間に働く電気力、分子の間に働く分子間力などがあります。引力は、様々な物体間で作用する普遍的な力の総称であり、より広い概念の言葉です。
重力とは、地球上の物体に働く、地球の万有引力と地球自転による遠心力との合力を意味します。この重力は、物体の重量として私たちが感じているものです。重力は、地球に限られたローカルで具体的な力を指します。
つまり、引力とは様々な物体間に作用する力の概念であり、重力とは地球と地球上の物体の間で作用する具体的な力です。二つの言葉を比べると、重力よりも引力の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
引力も重力も英語にすると「gravitation」「gravitational force」となり、例えば上記の「万有引力」を英語にすると「universal gravitation」となります。
引力の意味
引力とは、二つの物体が互いに引き合う力を意味しています。
引力を使った分かりやすい例としては、「引力の原理に着目して研究を進める」「ニュートンは引力の正体を解き明かした」「引力の反対は斥力です」「地球上の物体にも地球の引力が働きます」「正負が反対の粒子の間に引力が働く」などがあります。
その他にも、「太陽の引力圏を脱出する速度を計算する」「引力はなぜ発生するのだろう」「地球の引力圏を脱して人工惑星となる」「キングギドラの引力光線は破壊力がある」「宇宙が引力を発生させる仕組みを考察する」などがあります。
引力の読み方は「いんりょく」です。誤って「いんりき」「ひきぢから」などと読まないようにしましょう。
引力とは、二つの物体が及ぼし合う力のうち、物体を互いに近づけるような向きに働くものを意味します。引力の「引」は力を加えて手前に引き寄せること、「力」は物に備わる働きや勢いを表す漢字です。
引力を用いた日本語には「万有引力の法則」があります。「万有引力の法則」とは、イギリスの物理学者ニュートンによって発見された法則です。物体に働く引力は質量の積に比例し、距離の2乗に反比例すると説明しました。アインシュタインの重力理論が出るまで、完全無欠の法則と考えらました。
引力の対義語・反対語としては、二つの物体間で互いにしりぞけ合うように働く力を意味する「斥力」(読み方:せきりょく)などがあります。
引力の類語・類義語としては、物体が円運動をするとき中心に向かってはたらく力を意味する「求心力」、物体に働く力の作用線が一定点を常に通るような力を意味する「中心力」、人や機械が有する物を動かす力を意味する「パワー」などがあります。
重力の意味
重力とは、地球上の物体が地球から受ける引力で、物体の重さの原因となっている力を意味しています。
重力を使った分かりやすい例としては、「重力加速度について習いました」「重力の求め方を知っていますか」「慣性モーメントをIGとし重力加速度をgとします」「重力式擁壁は自重によって土圧を支持する型式です」などがあります。
その他にも、「重力の正体をわかりやすく説明します」「重力波は巨大な天体が激しく動くときに発生します」「Googleに重力をかけてみました」「重力単位系の特徴を教えてください」「重力が変化するパズルゲームにハマっています」などがあります。
重力とは、地球上の物体が地球による万有引力によって引かれる力を意味します。地球との間に働く引力と、地球の自転による遠心力との合力を表します。重力の「重」は訓読みで「おもい」と読み、目方がおもいことを表す漢字です。
重力を用いた日本語には「重力加速度」があります。重力加速度とは、物体が重力をうけて真下に落下する場合の加速度を意味します。記号gで表わされ、毎秒約9.8メートルの割合で起きる速度変化です。
重力の対義語・反対語としては、重力がないことを意味する「無重力」などがあります。
重力の類語・類義語としては、機械などを動かす力を意味する「動力」、惰性の勢いを意味する「惰力」、円の中心から遠ざかる向きに働く力を意味する「遠心力」、液体の表面に沿って働く張力を意味する「表面張力」などがあります。
引力の例文
この言葉がよく使われる場面としては、互いに引き合う力を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「引力圏」とは、二つの天体の引力が作用し合う場合、一方の引力が他方の引力より強く作用する範囲のことです。
重力の例文
この言葉がよく使われる場面としては、地上で物体を地球に引く力として認識された基本力の一つを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「重力波」とは、物体が動くと周囲の空間がゆがみ、波のように宇宙に広がっていく現象のことです。
引力と重力という言葉は、どちらも「物体同士が引き合う力」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物体同士が引き合う広い概念を表現したい時は「引力」を、地球と地球上の物体の間で働く具体的な力を表現したい時は「重力」を使うようにしましょう。