同じ「あやしい」という読み方の「怪しい」と「妖しい」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「怪しい」と「妖しい」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
怪しいと妖しいの違い
怪しいと妖しいの意味の違い
怪しいと妖しいの違いを分かりやすく言うと、怪しいとは不可解な気持ちを表すこと、妖しいとは神秘的な感じがすることという違いです。
怪しいと妖しいの使い方の違い
一つ目の怪しいを使った分かりやすい例としては、「怪しい男が徘徊しているので外に出ないようにしよう」「予選突破の雲行きが怪しくなってきた」「彼の日本語は少し怪しい」「怪しい電話番号の電話は出ないようにしよう」などがあります。
二つ目の妖しいを使った分かりやすい例としては、「妖しい魅力のある男性はとても素敵です」「妖しく光るアクセサリーを購入した」「外国には妖しい輝きを放つ建造物があるらしい」「日本刀の妖しい魅力に惹かれた」などがあります。
怪しいと妖しいは同音の言葉なので間違えやすいですが、使い方は少し違っています。
怪しいは普通ではない事物に対して不可解な気持ちを表すことというマイナスなイメージを持って使う言葉に対して、妖しいは神秘的な感じがすることというプラスなイメージを持って使う言葉になります。
2010年以前は妖しいの「妖」が常用漢字外だったため、「妖しい」を「怪しい」と表記することが多かったのですが、2010年以降は「妖」が常用漢字になったため、「妖しい」とそのまま表記するのが一般的になりました。
怪しいと妖しいの英語表記の違い
怪しいを英語にすると「suspicious」「dubious」「strange」「fishy」「questionable」となり、例えば上記の「怪しい男が徘徊している」を英語にすると「A suspicious man is wandering around」となります。
一方、妖しいを英語にすると「mysterious」「mystic」となり、例えば上記の「妖しい魅力のある男性」を英語にすると「A man with a mysterious charm」となります。
怪しいの意味
怪しいとは
怪しいとは、普通ではない事物に対して不可解な気持ちを表すことを意味しています。
その他にも、正体が分からなくて気味が悪いこと、全面的には信用できないこと、行動や状況が疑わしいこと、良くない方に変わることという意味持っています。
怪しいの使い方
「怪しい物音がするので誰かいるのだろうか」「怪しい挙動の男性がいるので近づかないよういしよう」などの文中で使われている怪しいは、「普通ではない事物に対して不可解な気持ちを表すこと」「正体が分からなくて気味が悪いこと」の意味で使われています。
一方、「彼の言動は怪しい」「この商談の雲行きが怪しくなってきた」「あの二人は付き合っているか怪しい」などの文中で使われている怪しいは、「全面的には信用できないこと」「行動や状況が疑わしいこと」「良くない方に変わること」の意味で使われています。
怪しいは複数の意味がある言葉なのですが、、不可解な気持ちを表すことや疑わしいことなど、どの意味でもマイナスなイメージで使われています。また、様々な場面や状況で使える言葉なので、ビジネスシーンと日常生活の両方で見かけるでしょう。
「雲行きが怪しい」の意味
怪しいを使った有名な表現方法としては、「雲行きが怪しい」(読み方:くもゆきがあやしい)があります。雲行きが怪しいとは、天気が悪くなりそうなこと、揉め事が起こりそうな不穏な成り行きという二つの意味を持っています。
日常生活やビジネスシーンでよく使われている雲行きが怪しいは、揉め事が起こりそうな不穏な成り行きの意味です。
怪しいの類語
怪しいの類語・類義語としては、真実かどうか疑いたくなる様子のことを意味する「疑わしい」、物事が不明であることを怪しく思うことを意味する「訝しい」(読み方:いぶかしい)、本当かどうか疑わしいことを意味する「如何わしい」などがあります。
怪しいの怪の字を使った別の言葉としては、怪しく不思議なことを意味する「怪奇」、正体の分からない不思議な生き物を意味する「怪物」、化け物や幽霊などが出てくる気味の悪い話すのことを意味する「怪談」などがあります。
妖しいの意味
妖しいとは
妖しいとは、不思議な力があることや神秘的な感じがすることを意味しています。
妖しいの使い方
妖しいを使った分かりやすい例としては、「妖しい魅力のある女性に惚れてしまった」「この指には妖しく輝く宝石が埋まっている」「街の外れにあるあのお店は妖しい雰囲気があるので少し入りづらい」などがあります。
妖しいは不思議な力があることや神秘的な感じがすることなど、この世ならざるものというニュアンスで使うことが多いです。そのため、プラスのイメージで使われている言葉になります。
妖しいの「妖」という字が、常用漢字表に載っていないため、常用漢字である「怪」を用いた「怪しい」に置き換えるのが一般的でした。
しかし、2010年、29年ぶりに常用漢字が改訂され、「妖」という字が常用漢字になったため、「妖しい」と表記することが増えていきました。
妖しいの類語
妖しいの類語・類義語としては、現実にはありえないような不思議な事実のことを意味する「怪異」、神秘的な尊さを備えていること意味する「霊妙」、人知を超えた不思議なことを意味する「神妙」などがあります。
妖しいの妖の字を使った別の言葉としては、妖しくて普通ではないことを意味する「妖異」、妖しいほどになまめかしく美しいことを意味する「妖艶」、妖しい気配のことを意味する「妖気」、人の心を惑わすような美しさのことを意味する「妖美」などがあります。
怪しいの例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通ではない事物に対して不可解な気持ちを表すことを表現したい時などが挙げられます。
その他にも、正体が分からなくて気味が悪いこと、全面的には信用できないこと、行動や状況が疑わしいこと、良くない方に変わることを表現したい時に使います。
例文3は、良くない方に変わることの意味、例文2は正体が分からなくて気味が悪いことの意味で使っています。
妖しいの例文
この言葉がよく使われる場面としては、不思議な力があることや神秘的な感じがすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、この世ならざるものというニュアンスを表現したい時に妖しいと使います。
怪しいと妖しいどちらを使うか迷った場合は、普通ではない事物に対して不可解な気持ちを表現したい時には「怪しい」、神秘的な感じがすることを表現したい時には「妖しい」を使うといいでしょう。