似た意味を持つ「別途」(読み方:べっと)と「別個」(読み方:べっこ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「別途」と「別個」という言葉は、どちらも別であることを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
別途と別個の違い
別途と別個の意味の違い
別途と別個の違いを分かりやすく言うと、別途とは別の方法を表し、別個とは別の物事を表すという違いです。
別途と別個の使い方の違い
一つ目の別途を使った分かりやすい例としては、「それについては別途検討する必要がある」「別途積立金のメリットを会計士に確認する」「後日、別途ご連絡いたします」「別途工事費がかかります」などがあります。
二つ目の別個を使った分かりやすい例としては、「それらは切り離して別個に扱うべきだ」「土地と建物を別個の不動産として扱う」「それぞれ別個の立場で議論する」「シリーズ本を別個に出品する」などがあります。
別途と別個の使い分け方
別途と別個という言葉は、言葉の響きが似ており、どちらも「別であること」を表す言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
別途とは別の方法や用途を意味し、連絡や検討などの言葉と組み合わさり、別の連絡方法や検討手段などを表す時に用いられます。一方、別個とは別のものであることや、一つ一つ切り離されていることを意味し、独自性のある案件や問題、現象、人格などの物事に用いられる言葉です。
二つの言葉の違いとして、別途は方法や用途を表し、別個は物事を表すと覚えておけば良いでしょう。
別途と別個の英語表記の違い
別途も別個も英語にすると「separate」「different」「another」となり、例えば上記の「別途検討する」を英語にすると「consider it separately」となります。
別途の意味
別途とは
別途とは、別の方法や用途を意味しています。
別途の使い方
別途を使った分かりやすい例としては、「パスワードは別途メールにてお送りします」「上司に相談して別途連絡します」「持ち帰って別途検討いたします」「継続利用には別途ライセンス契約が必要です」「交通費は別途支給する」などがあります。
その他にも、「別途積立金の一部を取り崩して運用する」「別途の目的に役立てます」「別途の策を考えよう」「個々の事情については別途ご相談ください」「消費税が別途かかります」「土日は別途料金がかかります」などがあります。
別途という言葉の「別」とは違うことや異なることを表し、「途」とは道筋や方法、手段を表します。別途は、別の道や他の方面の意味も持ちますが、昨今では、別の方法や使い方の意味で用いられています。
表現方法は「別途検討」「別途確認」「別途支給」「別途料金」
「別途検討」「別途確認」「別途支給」「別途料金」「別途連絡」のように、名詞と組み合わせて副詞的に用いられることが多くあります。
「別途連絡」の意味
「別途連絡」とは、「別の方法で、改めて連絡します」の意味で、ビジネスシーンで多用される表現です。
「別途積立金」の意味
別途を用いた日本語には「別途積立金」があり、使い道を特定せずに留保した積立金のことを意味します。特に、企業内に留保した利益のうち特定の積立目的を指定せずに、どの用途目的にも充当できるように留保したものを指します。
別途の対義語
別途の対義語・反対語としては、同じ方法や手段を意味する「同法」、すべてが同じで例外がないことを意味する「一律」などがあります。
別途の類語
別途の類語・類義語としては、ほかの方法や種類を意味する「別口」、別の方法や別のやり方を意味する「別法」、他とはっきり区別して扱うことを意味する「特別」、普通とは違う別の扱いがなされるさまを意味する「格別」などがあります。
別個の意味
別個とは
別個とは、別のものであることを意味しています。
その他にも、一つ一つ切り離されていることの意味も持っています。
表現方法は「別個のもの」「別個の事情」「別個に売る」
「別個のもの」「別個の事情」「別個に売る」などが、別個を使った一般的な言い回しです。
別個の使い方
「みんな別個の人格を持っている」「好みに合わせて一人一人に別個のものを配布する」「契約書とは別個独立の書面が必要です」「北加賀方言は金沢弁とは別個だ」などの文中で使われている別個は、「別のものであること」の意味で使われています。
一方、「それぞれ別個な問題として議題にあげる」「内容を切り離して別個で考えてみよう」「仕事とプライベートを別個に扱う」などの文中で使われている別個は、「一つ一つ切り離されていること」の意味で使われています。
別個という言葉は、他と切り離されて、ひとつの内容やまとまりをもっていることと捉えれば良いでしょう。他と切り離して独自のものであること、あるまとまりから一つ一つ他と切り離された個別のもの、という二つの意味を持ちます。
別個とは、性質上、他とは一緒にできないというような事件、問題、現象、人格などに用いられることが多い言葉です。
別個の対義語
別個の対義語・反対語としては、同じであることや一つのものであることを意味する「同一」、一つにまとめることや区別のないことを意味する「一緒」、あるひとまとまりの物事のすべての部分を意味する「全体」などがあります。
別個の類語
別個の類語・類義語としては、ある物事と他の物事との区別を意味する「別」、全体を構成しているものを切り離した一つ一つを意味する「個別」、順を追って一つ残らず取り上げていくことを意味する「逐一」、いくつかあるうちの一つ一つを意味する「個個」などがあります。
別途の例文
この言葉がよく使われる場面としては、別の仕方、別の方法を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「別途料金が発生します」とは、商品代金とは別に商品設置のための料金が発生することを表します。例文2では、出荷時期になったら配送に関する案内を改めてメールにて連絡することを「別途メール」と表現しています。
別個の例文
この言葉がよく使われる場面としては、別のものであること、一つ一つ切り離されていることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の別個は、「別のものであること」の意味で使われています。例文3から例文5にある別個は「一つ一つ切り離されていること」の意味で使われています。
別途と別個という言葉は、どちらも異なることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、別の仕方や別の方法を表現をしたい時は「別途」を、別のものや一つ一つに切り離されていることを表現したい時は「別個」を使うようにしましょう。