同じ「かんしん」という読み方の「関心」と「感心」と「寒心」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「関心」と「感心」と「寒心」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
関心と感心と寒心の違い
関心と感心と寒心の意味の違い
関心と感心と寒心の違いを分かりやすく言うと、関心は興味があることを表現する時に使い、感心は心を動かされたことを表現する時に使い、寒心は不安や恐れを感じたこと表現する時に使うという違いです。
関心と感心と寒心の語源の違い
関心の関には、つながりを持つこと、関わることといった意味があります。そのため、関心という言葉は、対象の事物と自身の心につながりや興味を持つことや、気に掛けるという能動的な意味になります。
感心の感には、外部のものに触れて心が動くことや心の動きといった意味があります。そのため、感心という言葉は、何か働きかけられたものによって心が動かされるという受動的な意味になります。
寒心の寒には、身震いする、ぞっとするといった意味があります。そのため、寒心は身震いするような恐ろしい気持ちを意味します。
これらが関心、感心、寒心の明確な違いです。関心と感心は能動的か受動的の違いがあるもののプラスのイメージを付与する言葉ですが、寒心はマイナスのイメージしかないため注意しましょう。
関心の意味
関心とは
関心とは、ある物事に特に心を惹かれ、注意を向けることを意味しています。
表現方法は「関心が高まる」「関心を持つ」「関心がある」
「関心が高まる」「関心を持つ」「関心がある」「関心を抱く」「関心を呼ぶ」などが、関心を使った一般的な表現方法です。
関心を使った言葉として「関心表明」や「関心経済」があります。
「関心表明」の意味
一つ目の「関心表明」とは、見逃すことができない事態に発生した際に、その進展を注意深く見守っていることを、当事者に対して明確に伝えることを意味する言葉です。
また、事業を実施する団体に対して、その事業に関心があることや融資を検討することを表明するという意味の金融用語でもあります。
「関心経済」の意味
二つ目の「関心経済」とは、人々の関心や注目をどのくらい浴びているのかという度合いが経済的な価値を持つという考え方を意味する言葉です。1997年にアメリカの社会学者であるゴールドハーバーによって提唱され、アテンション・エコノミーとも呼ばれます。
インターネットが普及で情報量が飛躍的に増えたことにより、情報そのものの価値が低下することになった今日では、情報の優劣よりも注目を集めること自体が重要とされ、商品と金銭の交換ではなく、注目が金銭に代わるものになっているという考え方です。
関心の対義語
関心の対義語・反対語としては、関心がないことや興味を持たないことやその様子を意味する「無関心」があります。
関心の類語
関心の類語・類義語としては、心を配ることを意味する「配慮」、何かを見たり聞いたりして興味がわくことを意味する「感興」(読み方:かんきょう)、今後どうなるか関心や期待を持って見守ることを意味する「嘱目」(読み方:しょくもく)などがあります。
関心の関の字を使った別の言葉としては、二つ以上の物事が互いにかかわりあうことを意味する「関係」、ある物事に関係することを意味する「関与」、ある事柄と他の事柄との間につながりがあることを意味する「関連」などがあります。
感心の意味
感心とは
感心とは、立派な行為や優れた技量に心を動かされることを意味しています。その他にも、心に深く感じることや、あきれることも意味します。
表現方法は「感心する」「感心させられる」「感心しない」
「感心する」「感心させられる」「感心しない」などが、感心を使った一般的な表現方法です。
感心は目上の人には失礼
感心という言葉には、他の優れた部分を褒めるといったニュアンスがあります。また、あきれることや相手を皮肉る際にも使われる言葉であることもあって、目上の人に使うのは失礼であるとされています。
本来は感動することを意味する言葉ではあり言葉として間違いではありませんが、目上の人に使う場合は違う表現である「感動する」「感銘を受ける」「脱帽する」「目を見張る」などに変えて使うようにしましょう。
感心の慣用句
感心の意味を含んだ言葉として「感に堪えない」があります。非常に感動してそれを表に出さずにはいられないという意味を持つ慣用句です。「感に堪える」という表現は打消しの語が使われていませんが同じ意味として使われます。
感心の類語
感心の類語・類義語としては、愛して懐かしみ慕うことを意味する「愛慕」、褒めたたえることを意味する「称賛」、敬い慕うことを意味する「仰望」(読み方:ぎょうぼう)、心掛けや行動などが健気である様子を意味する「殊勝」などがあります。
感心の対義語
感心の対義語・反対語としては、劣ったものとみなして馬鹿にすることを意味する「軽蔑」、期待外れでがっかりすることや、その結果希望を持てなくなることを意味する「失望」があります。
感心の感の字を使った別の言葉としては、強く心に感じて気持ちがたかぶることを意味する「感激」、強く心に感じることや身に染みて感じることを意味する「痛感」、何かが起こりそうだと前もって感じることを意味する「予感」などがあります。
寒心の意味
寒心とは
寒心とは、恐れや不安からぞっとすることを意味しています。
寒心の読み方
寒心は「かんしん」と読みますが「かんじん」と読むこともできます。
「寒心に堪えない」の意味
寒心を使った言葉として「寒心に堪えない」があります。この言葉の「堪えない」とは、その気持ちが強くなって仕方ないことを意味する言葉です。そのため「寒心に堪えない」という表現で、非常に心配でたまらないことを意味する慣用表現になります。
「寒心に堪えない」の寒心を、感心に置き換えて「感心に堪えない」とすることはできません。似たような慣用句に「感に堪えない」という言葉がありますが全く違う意味を持つため、混同しないようにしましょう。
また、「堪えない」を耐えないに置き換えることもできません。感情を表面に出さないという意味が含まれている「堪えない」を使うようにしましょう。
寒心の類語
寒心の類語・類義語としては、恐ろしさや寒さ、興奮などのために体や手足が震えることを意味する「慄き」、恐怖や緊張、寒さなどのために体が震えることを意味する「わななき」、恐ろしくて体が震えることを意味する「戦慄」(読み方:せんりつ)があります。
寒心の寒の字を使った別の言葉としては、寒さの程度や冷たい空気を意味する「寒気」ひえびえとして寒いことを意味する「寒冷」、ぞくぞくとする寒気を意味する「悪寒」(読み方:おかん)、貧しくさむざむとしていることを意味する「貧寒」などがあります。
関心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、興味を持つことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「関心を持つ」とは、興味を抱くことと同じ意味になるため、心を動かされることを意味する「感心」と置き換えて「感心を持つ」とすることはできません。
例文2の「関心事」とは、特に興味を引かれている事柄を意味する言葉で、「かんしんじ」と読みます。「かんしんごと」ではないので注意しましょう。
感心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心を動かされることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「感心もひとしお」のひとしおは、いっそう、ひときわを表す副詞で、この場合はいっそう感心することを意味する表現になります。
例文3の「感心しきり」とは感心している状態がしばらく続いている状態を意味する表現です。そのため、物事に興味を持つことを意味する「関心」に置き換えて「関心しきり」とすることはできません。
寒心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、恐れる気持ちを意味する時などが挙げられます。
例文3の「寒心に堪えない」の堪えないとは、非常に心配でたまらないことや、不安で仕方がないことを意味する慣用表現になります。
関心と感心と寒心どれを使うか迷った場合は、興味を持つことを表す場合には「関心」を、心が惹かれたり動かされることを表す場合は「感心」を、恐れや不安を感じている様子を表す場合は「寒心」を使うと覚えておけば間違いありません。