似た意味を持つ「感慨深い」(読み方:かんがいぶかい)と「考え深い」(読み方:かんがえぶかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「感慨深い」と「考え深い」という言葉は、どちらも似た読み方をするという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
「感慨深い」と「考え深い」の違い
「感慨深い」と「考え深い」の意味の違い
感慨深いと考え深いの違いを分かりやすく言うと、感慨深いは「心」にしみじみと感じられる様子のことであり、考え深いは物事を深く考えて「思考」を巡らせる様子のことであるという違いです。
「感慨深い」と「考え深い」の使い分け方
感慨深いと考え深いは、その読み方が似ているため、混同されがちですが、全く違う意味を持っている言葉なので、使用する際には注意が必要です。感慨深いというのは「心」の動きであり、考え深いというのは「思考」の動きのことです。
感慨深いという言葉は、しみじみとした心の動きのことを意味しています。何かに感動をしたり、歴史を感じて切なくなったりするような、言葉で言い尽くせない心の動きについて「感慨深い」と表現します。
感慨深いというのは、「感慨無量」(読み方:かんがいむりょう)という四字熟語や、この四字熟語を省略した「感無量」(読み方:かんむりょう)という言葉と似ている意味を持っている言葉です。
何事かの出来事に対して、深く身に染みて感じ、心の中のしみじみとした思いに浸ることを感慨深いと表現するのだと覚えておくようにしましょう。これはあくまで、個人の感情であり、主観的な思いを表現する言葉です。
一方の、考え深いというのは、思慮深いという言葉と同じような意味を持つ言葉です。深く考えを巡らせる様子や、良識や知識が豊富であり、多角的に物事を考えられる人について「考え深い人」という表現を使ったりします。
このように、考え深いというのは、感慨深いとは違い、他者が客観的に見た時に使用する表現であると言えます。稀に自分自身のことを「私は考え深いタイプです」というように評価することもありますが、ほとんどが客観的な評価によるところの表現です。
考え深いという言葉は、知的な深みを持っている人や、他の人よりも更に先を見通して考えを巡らせることが出来る人に対して使われる表現です。一般的には良い意味で使用される言葉であると覚えておくようにしましょう。
「感慨深い」の意味
「感慨深い」とは
感慨深いとは、しみじみと心に感じる度合いがとても強いことを意味しています。感慨深いというのは、「感慨が深い」という言葉を形容詞として使用している言葉です。「感慨」という状態が深みを増しているという意味になります。
この感慨というのは、「感慨無量」(読み方:かんがいむりょう)などの四字熟語でも使用されている言葉です。「感慨」は、心に深く感じて、しみじみとした気持ちになることを意味しています。
主に、感動を表す時や、切なさや思い出深い気持ちを持った時に使用される言葉です。日本語特有の曖昧な心境のことであり、趣深い感情の表現であると言えます。感慨深いというのは、この趣深いと同じような意味を持つ言葉です。
「感慨深い」の使い方
感慨深いという表現を使用した場合、これは心の中の切なさや感動、情感が溢れて、しみじみと深く心に感じている様子を示しています。感慨深いという言葉を使う程度というのは、その人それぞれに異なるものです。
例えば、ある人は卒業式などで感慨深い気持ちになるのかもしれませんし、ある人は子供の成人式などで感慨深い気持ちになるかもしれません。個々人の思い入れの深さによって、感慨深い気持ちを抱くタイミングは違うものです。
このように、感慨深いというのは、あくまでも個人的な感情の一種だと考えると分かりやすいでしょう。他者から見て「あの人は今、感慨深い気持ちになっているよ」という表現が出来るものではありません。
あくまでも、個人の心の動きを表現する言葉であると覚えておくようにしましょう。
表現方法は「感慨深いものがある」「感慨深いです」「感慨深い文章」
「感慨深いものがある」「感慨深いです」「感慨深い文章」などが、感慨深いを使った一般的な言い回しです。
「感慨深い」の語源
感慨の「慨」という字は、心を揺さぶる思いで一杯になるという意味を持つ漢字です。感情が心の中で溢れている様子が「感慨」だと考えると分かりやすいでしょう。
「感慨深い」の類語
感慨深いの類語・類義語としては、しみじみとした気持ちになることを意味する「感無量」があります。
感慨の「慨」という字を使った別の単語としては、憤り嘆く様子や、嘆き憂える様子を意味する「慨然」、ひどく腹を立てることを意味する「憤慨」、世の中のありさまについて不満をもち、腹をたてることを意味する「慨世」などがあります。
「考え深い」の意味
「考え深い」とは
考え深いとは、何かの物事について深く考えを巡らせる様子のことを意味しています。考え深いというのは、思慮深いという言葉と同じような意味で使用される言葉です。「考えが深い」という言葉を形容詞的に使用しているものであると言えます。
「考え深い」の使い方
考え深いというのは、考えや思考が深いところまで及んでいるということを表現する言葉です。例えば「彼は考え深い人だ」「あの人はさっきから考え深い顔つきをしている」などのように使用されます。
この考え深いという言葉は、自分自身に対して使うよりも、他者が客観的に見た時に使用することの多い言葉です。「私は考え深い人間です」という風にも使われることもありますが、それよりも「彼は考え深い人だ」と使われることのほうが多いものです。
この考え深いというのは、思考力が深い、人よりも先まで見通して考えることが出来る、簡単に理解を示さないというような意味を持っている言葉です。慎重であり、多角的に物事を考えられる人であるというような意味合いを持ちます。
考え深いというのは、ほとんどが良い意味で使用される言葉です。知的な深みを持っているという意味であったり、配慮や良識のある人であるということを表現する場合に使用されます。
しかし、ごく稀に「彼は考え深いから、簡単に良いとは言ってくれないよ」というように、皮肉的な表現で、頑固な人、腰の重い人、などのようなマイナスの意味で使用されることもあります。
表現方法は「考え深い人」「考え深い表情」「考え深い顔つき」
「考え深い人」「考え深い表情」「考え深い顔つき」などが、考え深いを使った一般的な言い回しです。
「考え深い」の類語
考え深いの類語・類義語としては、物事について深くじっくりと考え込むことを意味する「思慮深い」があります。
考え深いの「考」という字を使った別の単語としては、工夫して考え出すことを意味する「考案」、念を入れてよく考えることを意味する「熟考」、能力や人柄などをよく調べて適格者を選び出すことを意味する「選考」などがあります。
「感慨深い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心にしみじみと深く感じ入っている様子を表現したい時などが挙げられます。この感慨深いという言葉は、あくまでも個人の感情の一種であり、他者がその度合いを明確に理解できるものではありません。
感慨深いという感情は、個人の思い入れの深さから湧き出てくるものです。例えば、他者から見て「きっと彼は感慨深いものがあるだろう」というように推察することは出来ても、本人がどの程度の感慨を持っているのかはその人自身にしか分かりません。
感慨というのは、日本人らしい趣深い感情表現の一種であり、個人的なしみじみとした心の動きであると覚えておくようにしましょう。
「考え深い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かの物事について、知的な深みを持ってよく考えを巡らせる様子を表現したい時などが挙げられます。この考え深いという言葉は、他者から客観的に見た際に使用されることの多い言葉です。
考え深いという言葉を使用する際には、主に良い意味で他者を評価する際に使います。例文2のように尊敬している人を表現する際に使ったりする表現です。または、他者から見て「考え深い表情」などのように表現されたりします。
一般的には良い意味で使用される言葉ですが、言い方によっては、少し皮肉めいた言葉に聞こえてしまう場合があるので、注意が必要です。不必要に他者を傷つけることのないように使うようにしましょう。