似た意味を持つ「装着」(読み方:そうちゃく)と「着装」(読み方:ちゃくそう)と「着用」(読み方:ちゃくよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「装着」と「着装」と「着用」という言葉は、身に付けることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
装着と着装と着用の違い
装着と着装と着用の使い分け方
装着と着装と着用の違いを分かりやすく言うと、装着は衣服以外のものを身に付ける時のみに使い、着装は衣服や部品を取り付ける時に使い、着用は衣服を身に付ける時のみに使うという違いです。
装着と着装と着用の使い方の違い
装着という言葉は、「雪道を走るためにタイヤにチェーンを装着する」「子どもにシートベルトを装着させる」などの使い方で、衣服以外の器具などを身に付ける、取り付けることを意味します。
着装という言葉は、「着装は気温や湿度などの環境に応じて適切に行う必要がある」「諸外国の民族衣装の着装体験に参加する」などの使い方で、衣服を身に付けることを意味しますが、機械などの本体に付属品をつける時にも使われる言葉です。
着用という言葉は、「マスクの着用が義務付けられている」「メガネを着用しないと何も見えない」などの使い方で、衣服などを身に付けることを意味します。マスクや眼鏡も、この場合は衣服に準じたものとして扱われます。
そのため、装着は衣服以外を、着装と着用は衣服を身に付ける時に使います。また、着装は部品類などの取り付けを表現することができますが、着用は衣服のみの表現しかすることができません。これらが、装着、着装、着用の明確な違いです。
装着の意味
装着とは
装着とは、身に付けることを意味しています。また、部品を取り付けることも意味します。
表現方法は「装着する」「装着された」「装着される」
「装着する」「装着された」「装着される」などが、装着を使った一般的な言い回しです。
装着の使い方
装着を使った分かりやすい例としては、「雪が多いので帰省する際は冬用タイヤを装着する必要がある」「このおもちゃは電池が装着された状態でないと動きません」などがあります。
装着を使った言葉として、「装着液」「装着率」があります。
「装着液」の意味
一つ目の「装着液」とは、コンタクトレンズの装着をしやすくするためのもので、コンタクトレンズを着ける前にレンズそのものに液を垂らして使用します。あくまでレンズを着けやすくするためのもので、目薬ではないため直接目に点眼することはできません。
「装着率」の意味
二つ目の「装着率」とは、ある複数の対象が該当する装置やシステムなどを取り付けている比率を指す言葉です。ゲーム業界では、ゲーム機本体1台につき別売品がどのくらい売れているのかを示す指標を装着率と呼びますが、搭載率や設置率とも言います。
装着の対義語
装着の対義語・反対語としては、取り付けてあるものを外すことを意味する「取り外し」があります。
装着の類語
装着の類語・類義語としては、必要な機器などを取り付けることを意味する「装備」、目的のために機械などを備え付けることを意味する「装置」、必要な建物などを備え付けることを意味する「設備」、施設や機関などを設けることを意味する「設置」があります。
装着の装の字を使った別の言葉としては、銃砲に弾丸を詰めることを意味する「装填」(読み方:そうてん)、中に入れることを意味する「装入」、製本の仕上げとして表紙やカバーなどの体裁を整えることを意味する「装丁」などがあります。
着装の意味
着装とは
着装とは、衣服などを身に付けることを意味しています。その他にも、機械などに付属品を付けることも意味します。
また、着装という言葉は、浴衣や着物などの「着付け」と同じ意味で使われます。そのため、着付け技能コンクールは着装認定試験とも言います。
表現方法は「着装する」「七五三の着装」「快適な着装」
「着装する」「七五三の着装」「快適な着装」などが、着装を使った一般的な言い回しです。
着装の使い方
着装を使った分かりやすい例としては、「彼はタイヤにチェーンを着装するのが昔から苦手だ」「七五三の着装はプロの着付け師にお願いする予定だ」「着物の快適な着装を知りたい」などがあります。
着装を使った言葉として、「着装体」「着装図」があります。
「着装体」の意味
一つ目の「着装体」とは、土木建設や工事現場などで目にする保護ヘルメットの環ひも、ハンモック、ヘッドバンド、あごひもといった、頭とヘルメットを固定するための紐をまとめた呼ぶ時の名称です。これにより衝撃を緩和することができます。
「着装図」の意味
二つ目の「着装図」とは、身体の上に服を着せて描いた図を指す言葉です。洋裁を行う前にデザインを行う際に描くもので、服を着せる前に基本体といって何も来ていない人物をまずは描く必要があります。
着装の類語
着装の類語・類義語としては、衣服を身に付けることを意味する「着衣」があります。
着装の着の字を使った別の言葉としては、取り付けたり外したりすることを意味する「着脱」、物に色をつけることを意味する「着色」、吸い付くことを意味する「吸着」、ある場所や位置にぴったりとつくことを意味する「定着」などがあります。
着用の意味
着用とは
着用とは、衣服などを身に付けることを意味しています。
表現方法は「着用する」「着用させる」「着用して」
「着用する」「着用させる」「着用して」などが、着用を使った一般的な言い回しです。
着用の使い方
着用を使った分かりやすい例としては、「暑い夏は子供に帽子を着用させるようにしている」「マスクを着用するのが昔から苦手で鼻がムズムズしてしまう」「海に入る際は必ずウェットスーツを着用してください」などがあります。
着用を使った言葉として、「着用兜」「着用お被布」があります。
「着用兜」の意味
一つ目の「着用兜」とは、子どもが直接被ることができる兜の飾りです。通常の兜は4kg前後あり、子どもが頭に被るには負担が大きすぎます。着用兜は軽量で女性でも簡単に出し入れができるようになっています。
「着用お被布」の意味
二つ目の「着用お被布」とは、今日では七五三の3歳の女の子のお祝いに着る和服の羽織です。そもそも「被布」(読み方:ひふ)とは着物の上に羽織る上着の一種で、江戸時代末期に風流好みの男性が好んで着ていましたが、後々女性も着用するようになりました。
時代劇では大人の女性が着用している姿も見られますが、今では小さな女の子が着る袖なしの被布を指すことが大半です。また、被布は現在の着物コートの祖にあたります。
着用の類語
着用の類語・類義語としては、身に帯びることを意味する「佩帯」(読み方:はいたい)、着物の上から軽く掛けるようにして着ることを意味する「羽織る」があります。
着用の用の字を使った別の言葉としては、二人以上が共同で使うことを意味する「共用」確かなものと信じて受け入れることを意味する「信用」、役に立つことを意味する「有用」、非常に優れた働きを意味する「妙用」などがあります。
装着の例文
この言葉がよく使われる場面としては、衣服以外のものを身に付けることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「シートベルト」や例文2の「イヤホン」のように、身体の一部として長い時間着けている場合は、装着を着用に置き換えて使うこともでき、また着装に置き換えることもできます。
着装の例文
この言葉がよく使われる場面としては、衣服を身に付けたり、部品などを取り付けたりすることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「着装」は、和服の着付けにあたる言葉であるため、装着や装着に置き換えて使うことはできません。
着用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、衣服を身に付けること意味する時などが挙げられます。
基本的に人間が身に付けるものには着用を使うことができますが、例文3の「ドレス」は唯一素肌の上に纏う衣服であるため、装着や着装を置き換えて使うことはできません。
装着と着装と着用どれを使うか迷った場合は、衣服以外を取り付けることを表す場合は「装着」を、衣服や部品を取り付けることを表す場合は「着装」を、衣服を身に付けることを表す場合は「着用」を使うと覚えておけば間違いありません。