【矛盾】と【二律背反】と【パラドックス】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「矛盾」(読み方:むじゅん)と「二律背反」(読み方:にりつはいはん)と「パラドックス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「矛盾」と「二律背反」と「パラドックス」という言葉は、どれも辻褄の合わない様子を表現するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使用される傾向があります。



矛盾と二律背反とパラドックスの違い

矛盾と二律背反とパラドックスの違いを分かりやすく言うと、矛盾は二つの物事の辻褄が合わないこと、二律背反は正反対の意味の二つの命題がどちらも正しいこと、パラドックスは正しいようで間違いなこと、または間違いなようで正しいことを意味しているという違いです。

一つ目の矛盾という言葉は、中国の「韓非子」に基づく故事成語です。どんなものでも貫くことのできる「矛」(読み方:ほこ)と、どんなものからでも身を守ることのできる「盾」(読み方:たて)という謳い文句を唱える商人に、まさに矛盾を突き付けるという話です。

矛盾している状態とは、辻褄の合わない主張が同時にされていることを意味します。別の人に日常的に意地悪を働いている人が、自分が意地悪された時に不平不満を言うようなことを、「矛盾した態度」と言うことも出来ます。

残り二つの二律背反とパラドックスは、正確には矛盾ではないですが、矛盾という言葉を知っているとそれぞれの意味の違いが分かりやすくなります。

二律背反という言葉の意味は、漢字の成り立ちから考えると分かりやすくなります。二律背反という言葉の「律」(読み方:りつ)という字は、「規則」や「法則」のことを意味しています。二律なので、二つの規則があります。

二律背反という言葉では、ここでの二つの規則のことを、ふつう、「命題」(読み方:めいだい)と言います。命題とは、「AはBである」というような形の、物事を「定義」(読み方:ていぎ)する文のことです。それらが「背反」(読み方:はいはん)しています。

この背反という字は、お互いに食い違っているということを意味していますが、辻褄が合わないというよりは、二律背反という言葉では、相反する二つの物事が正しさを譲り合うことが出来ないという意味合いが強く出ています。

つまり、二律背反という言葉は、「AはBである」と「AはCである」という二つの命題にどちらも正しい根拠があり、しかも両方の根拠が同じぐらい正しいので、どちらかを否定することができず、両方成り立つことを認めなければならないことを意味します。

「あちらをたてればこちらがたたず」という言葉を考えると、二律背反という言葉のイメージが湧きやすくなりますが、「あちらをたてればこちらがたたず」が取捨選択という意味と通じているのに対して、二律背反はどちらかを取ることが出来ないような状況です。

最後のパラドックスは、英語の「paradox」のカタカナ表記です。「パラドクス」と書かれることもあります。漢字にすると「逆説」(読み方:ぎゃくせつ)となります。正しいようでいて間違い、間違いのようで正しいという意味が、漢字だとはっきり分かります。

逆接のという言葉は、主に「逆説的」という形で使われます。例えば、日本語のことわざの「負けるが勝ち」「急がば回れ」などは逆説的表現だと言うことができます。

例えば、世界各国が自衛のために防衛費を増やすことが逆に国際的緊張を高めるが、防衛費をゼロにすることは危機管理上できないことを意味する「安全保障のジレンマ」などは、パラドクシカルな状況ということが出来ます。

パラドックスは、条件と結果との間に何らかの食い違いがある矛盾と考えると分かりやすいでしょう。自衛のために拳銃を合法化する(条件)→それを使った犯罪の発生確率が上がる(結果)というようなことも、パラドックスの例として挙げることができます。

矛盾の意味

矛盾とは、辻褄の合わないことが同時に主張されたり、行われたりすることを意味しています。「同時に」という点が重要です。別々の人同士の意見の相違は矛盾ではありません。ある人が辻褄の合わないことを言った場合、発言は矛盾しています。

例えば「ダイエットしなきゃいけない」と言いながら大食いをする人は、矛盾したことを言っています。また「宿題を自分の力で写す」というのも、矛盾していると考えることが出来ます。

矛盾した行動を取る人は、時として非難されます。それは発言や行動に首尾一貫性がないからです。また、矛盾した言葉は面白おかしいという点で、笑いのネタとして機能する場合もありますし、その滑稽さからスラングのように定着しているものもあります。

矛盾の同義語として、「自家撞着」(読み方:じかどうちゃく)があります。矛盾とほぼ同じ意味ですが、矛盾は言動の間での食い違いを意味していて、自家撞着は以前の言動に反する行いをするという、動作の意味合いが強い言葉です。

自家撞着の具体例としては、例えば、「民主主義を目指した大衆運動が結果、帝国主義国家を生み出した、フランス革命の自己撞着」というようなものが考えられます。「裏目に出る」と近いですが、自家撞着は論理的な文脈で使用される傾向があります。

そのほか、「矛盾撞着」(読み方:むじゅんどうちゃく)という言葉もありますが、意味は矛盾と変わりません。

二律背反の意味

二律背反とは、正反対の意味の二つの命題の根拠がどちらも同じくらい正しく、どちらか一方に決定することができず、両方認めなければいけない状態のことを意味しています。

ややこしい意味ですが、それもそのはずで、二律背反という言葉は、主に哲学の分野で使われるアンチノミーという言葉の訳語で、日常生活ではほとんど使われない傾向があります。

二律背反では、命題「AはBである」が二つあり、反対のことが言われているため、同時には成立しません。これだけだと矛盾のようですが、ふつう、矛盾と二律背反とは意味が異なります。

二律背反のもっとも有名な例である、哲学者イマヌエル・カントのもので考えると、二律背反が矛盾と違うことが分かりやすくなります。カントは4つのアンチノミーを提示しましたが、ここではその1つを使って考えていきます。

カントの時代、世界に果てがあるのかないのかというのが、大きな問題となっていました。そんな時カントは、「世界は時間的に始まりと終わりがあり、空間的に限定される」と「世界は時間的にも空間的にも限定されている」という二律背反を提示しました。

この二律背反でカントが言いたかったこと、つまり意図が、二律背反という言葉の意味にとって重要です。カントは、ごく簡単に言ってしまえば、どちらが正しいことなのかは決定できないのだから、争っても無益であると説いたのです。

ここで矛盾の意味を確認しておくと、矛盾とはある人の意見や言動に首尾一貫性がないことです。カントは、別々の人々がそれぞれ一貫性をもって主張している、相反する二つの主張に、少なくとも彼の時代の観測技術やデータでは決着がつけられないと説いたのです。

結論としては、矛盾の場合をごく簡単に考えれば、ある人が前後で食い違ったことを言って一貫性がないことを意味していて、二律背反の場合は、主張Aの人と主張Bの人が、それぞれどちらも正しいので、どちらかに決めることができない時のことを言います。

パラドックスの意味

パラドックスとは一見正しいようで実は間違っている、逆に間違っているようで正しいことを意味しています。

逆説の類義語に「逆理」(読み方:ぎゃくり)があります。逆理もパラドックスの訳語なので意味は似ていますが逆理の方がパラドックスという言葉のイメージに近いです。「負けるが勝ち」は逆説ですが、パラドックスかというと違和感があります。

パラドックスないし逆理というのは、ある種の「推論」(読み方:すいろん)のことを意味する言葉です。推論というのは、例えば「AはBである」「BはCである」ゆえに「AはCである」という三段論法のようなもののことを言います。

パラドックスという推論は、正しく考えを進めているように見えながら結論が矛盾すること、結論が事実としては受け入れがたいのに、それを導いた過程の内には否定するものが見つからないもののことを意味しています。

例えば有名なタイムパラドックスに、「アキレスと亀」というものがあります。ごく簡単に言うと、とても足の速いアキレスはのろのろと進む亀に絶対に追いつけないというパラドックスです。

このパラドックスは、結論に至るまでの道のり(この道のりのことを、「論証過程」(読み方:ろんしょうかてい)と言います。)では一貫性があり論理的に間違ってはいないのですが、それを認めるとアキレスが亀に追いつけないという結論に達することになります。

矛盾の例文

1.その物語は設定に矛盾があるが、むしろそこが面白い。
2.彼の言葉は矛盾だらけだった。
3.矛盾点を突くと、彼は言葉に詰まった。

この言葉がよく使われる場面としては、ある人や物事の首尾一貫性のなさを表現したい時などが挙げられます。発言や物事のつじつまの合わなさを指摘することによって、問題があるということが意味されています。

例文3のように、議論している相手の主張の矛盾点を突くと、相手は主張のよりどころを失います。こうした相手の状況を指して、矛盾の類義語である「自家撞着」という言葉を使うことも出来ます。

この言葉の意味を知っておくだけで、自分の主張や考えていることが正しいか正しくないかどうかを気に留める習慣が身に付きます。もちろん例文1のように、矛盾していることが逆に良い場合もありますが、矛盾という事態は出来る限り避けるべきものです。

二律背反の例文

1.彼は二つの信条の間で二律背反に陥った。
2.世界情勢の二律背反的状況が気がかりだ。
3.カントの有名な「純粋理性の二律背反」についての課題が出された。

この言葉がよく使われる場面としては、お互いに正しい二つの物事の間で、どちらを選ぶこともできないことを表現したい時などが挙げられます。この言葉が使われる時には、例文1のように、「膠着」(読み方:こうちゃく)状態になることもしばしばです。

二律背反という言葉はあまり一般的な状況で使われる言葉ではなく、使われるのは「衒学的」(読み方:げんがくてき)表現が好まれる文脈のことが多いです。一般的には、「ジレンマ」や「板挟み」という言葉を使って同じ状況が表せることも多いです。

とはいえ、この言葉の意味と使い方を知ることは、物の見方と考え方を広げてくれますし、書き言葉で使えると文章が引き締まりますので、ぜひ覚えておくといいでしょう。

パラドックスの例文

1.筋力をつけるにはそれを休ませることも必要だというのは、一種のパラドックスだ。
2.パラドクシカルに響くかもしれないが、それは事実である。
3.「私は嘘つきです」というのは、俗に嘘つきのパラドックスと言われているほど、有名なパラドックスだ。

この言葉がよく使われる場面としては、正しく見えるけれども間違っていること、間違って見えるけれども正しいことを表現したい時などが挙げられます。例文1は、筋力をつけるためにはひたすらトレーニングをするという正しさが、見かけだと言われています。

例文2のように、「パラドクシカルに思われるが」や「逆説的に聞こえるが」と言った表現は、評論文などで多く見かけるものです。文の論旨の目印になるので、意味を取り違えないようにしておきたいです。

パラドックスという言葉には推論という意味合いが含まれるので、矛盾よりもややこしい事態を指してることが多く、また、様々なパラドックスが発見されては議論されるということが繰り返されてきました。見つけることは難しいですが、意味は覚えておきましょう。

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