【判明】と【発覚】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「判明」(読み方:はんめい)と「発覚」(読み方:はっかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「判明」と「発覚」という言葉は、どちらも「明らかになること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




判明と発覚の違い

判明と発覚の意味の違い

判明と発覚の違いを分かりやすく言うと、判明とは事実が明らかになること、発覚とは悪事が明らかになることという違いです。

判明と発覚の使い方の違い

一つ目の判明を使った分かりやすい例としては、「新たな事実が判明しました」「選挙の結果は深夜までに判明する見通しです」「AI技術には弱点や限界があることが判明しています」「病院で重度の貧血であることが判明した」などがあります。

二つ目の発覚を使った分かりやすい例としては、「経理担当の不正が発覚しました」「国家を揺るがす陰謀が発覚した」「ひょんなことから不祥事は発覚するものです」「パートナーの不倫が発覚したら証拠を集めましょう」などがあります。

判明と発覚の使い分け方

判明と発覚という言葉は、どちらも物事が明らかになることや正体を現すことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

判明とは、事実などが明らかになること、はっきりとわかることを意味します。多くは、調査や事態の経過などによって明らかになった事柄について用いられる言葉です。明らかになった事柄の良し悪しに関わらず使用することができます。

発覚とは、わざと隠していた秘密や悪事などが明るみに出ることを意味します。明らかになった事柄が悪い内容であるものに用いられ、不正や犯罪に関して使用されることが多いマイナスイメージの言葉です。単純に明らかになった事柄について使うことは誤用になります。

つまり、判明とは調査などによって事実が明らかになることを表し、発覚とは隠していた悪事などが明るみに出ることを表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

判明と発覚の英語表記の違い

判明を英語にすると「determination」「turnout」「proving」となり、例えば上記の「事実が判明する」を英語にすると「prove true」となります。

一方、発覚を英語にすると「detection」「revelation」「disclosure」となり、例えば上記の「不正が発覚する」を英語にすると「reveal injustice」となります。

判明の意味

判明とは

判明とは、明らかになること、はっきりとわかることを意味しています。

その他にも、「論理学で、概念の内包が明確なこと」の意味も持っています。

判明の使い方

「女性遺体の身元が判明しました」「最適な英語の学習時間が判明した」「どう考えてみても判明しません」「英語の必要性は次第に判明するだろう」などの文中で使われている判明は、「はっきりとわかること」の意味で使われています。

一方、「判明性はデカルト哲学における真理の基準です」「観念の明晰判明について論じる」「明晰なもの以外に何も含まない認識を判明とする」などの文中で使われている判明は、「論理学において概念の内包が明確なこと」の意味で使われています。

判明とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「明らかになること、はっきりとわかること」の意味で用いられています。判明の「判」は訓読みで「わける」「わかる」と読み、はっきりさせることを表し、「明」は事をあきらかにするさまを表す漢字です。

表現方法は「明晰判明」

判明を用いた日本語には「明晰判明」(読み方:めいせきはんめい)があります。明晰判明とは、デカルトが用いた言葉であり、確実な認識の指標となる性質を意味します。明晰判明に対立するのが「曖昧」で、混乱した認識であると定義しています。

判明の対義語

判明の対義語・反対語としては、はっきりわからないことや明らかでないことを意味する「不明」などがあります。

判明の類語

判明の類語・類義語としては、不明な点を探ってはっきりさせることを意味する「解明」、道理や真理をつきつめて明らかにすることを意味する「究明」、罪や不正を糾問し真相を明らかにすることを意味する「糾明」などがあります。

発覚の意味

発覚とは

発覚とは、隠していた悪事や陰謀などが明るみに出ることを意味しています。

発覚の使い方

発覚を使った分かりやすい例としては、「自動車メーカーの検査不正が発覚した」「発覚するまで何度もお金を着服しました」「年齢詐称はいつか発覚するだろう」「浮気が発覚したときの対処法を教えます」などがあります。

その他にも、「社内で横領事件が発覚しました」「ビジネスホテルでの密会が発覚した」「英語のカンニングが発覚するとは思わなかった」「会社で業務上横領が発覚したらどうすればよいですか」などがあります。

発覚の「発」は訓読みで「あばく」と読み、隠れていたものなどを明るみに出すことを表す漢字です。人に気づかれることを表す「覚」と結びつき、発覚とは、隠していたことなどが表に出ることを意味します。基本的には、秘密にしておきたい悪事について用いる言葉です。

発覚は誤用されることが多い言葉

発覚は、誤用されることが多い言葉です。本来は隠しておきたいことがばれてしまったような場合に用いるものであり、隠そうとしていない事柄が明るみになったことを「発覚」と表現することは不適切です。そのため、「病気が発覚した」「妊娠発覚」などは間違った使い方になります。

「発覚部屋」は誤用

発覚を用いた誤った表現には「発覚部屋」があります。正しくは「八角部屋」であり、元横綱の北勝海が創設した相撲部屋のことです。

発覚の対義語

発覚の対義語・反対語としては、事の真相などを故意に覆い隠すことを意味する「隠蔽」(読み方:いんぺい)などがあります。

発覚の類語

発覚の類語・類義語としては、隠していたことが表沙汰になることを意味する「ばれる」、秘密や悪事など隠していたことが表に現れることを意味する「露見」、 隠れているものを外にあらわしだすことを意味する「露呈」、秘密などをあばいて明るみに出すことを意味する「暴露」などがあります。

判明の例文

1.海外旅行で英語力が判明するまで、彼はパーフェクトな人だと思っていました。
2.今回のアンケート調査で、結婚後にお金の使い方に大きな変化があることが判明しました。
3.新しい総理大臣の経済政策が判明し、ビジネス環境が変わることへの期待が高まっています。
4.いつもゴロゴロしている息子は病気であることが判明し、怠け癖ではないことがわかりました。
5.パソコンがウイルス感染した原因はなんなのかを判明するのは至難の業です。

この言葉がよく使われる場面としては、事態の推移や調査によって事実がはっきりすること、明らかになることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、判明という言葉は、日常会話からビジネスシーンまで幅広い場面で用いられています。

発覚の例文

1.入社手続きの段階で、学歴詐称や経歴詐称が発覚することがあります。
2.ビジネス実務法務検定試験で、スマートフォンを利用したカンニングが発覚しました。
3.殺虫剤の誤用による中毒事故が発覚したメーカーは、マスコミ対応に追われています。
4.とある病気で入院していた祖父は、手術中の医療ミスが発覚した直後に亡くなりました。
5.会計不正に関するリスク管理マニュアルには、早期発見の方法から発覚後の対応まで詳細に書いてあります。

この言葉がよく使われる場面としては、隠していた罪悪や陰謀などがあらわれることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある発覚と発見の違いは、発覚は隠していた悪事が明るみになることである一方、発見は単純に何かを見つけることである点です。

判明と発覚という言葉は、どちらも「明らかになること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、事実が明らかになることを表現したい時は「判明」を、悪事が明るみになることを表現したい時は「発覚」を使うようにしましょう。

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