似た意味を持つ「至れり尽くせり」(読み方:いたれりつくせり)と「心尽くし」(読み方:こころづくし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」という言葉は、どちらも相手のことを考えて行うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の違い
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の意味の違い
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の違いを分かりやすく言うと、「至れり尽くせり」とは配慮が行き届いて申し分がないこと、「心尽くし」とは真心を込めてすることという違いです。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の使い方の違い
一つ目の「至れり尽くせり」を使った分かりやすい例としては、「至れり尽くせりの接待だ」「至れり尽くせりの毎日が続いて欲しい」「至れり尽くせりなサービスに甘えてしまいました」「そのホテルのサービスは至れり尽くせりでした」などがあります。
二つ目の「心尽くし」を使った分かりやすい例としては、「心尽くしの手料理を振る舞う」「訪ねてきた息子の彼女のために心尽くしのお茶を入れる」「あなたがしてくれた心尽くしが嬉しかったです」「上司の心尽くしによって山形への転勤を免れた」などがあります。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の使い分け方
「至れり尽くせり」と「心尽くし」は類語ですが、使い方に少し違いがあります。
「至れり尽くせり」は配慮が行き届いて申し分がないことを意味しており、相手から気を遣ってもらった時に使うのが一般的です。一方、「心尽くし」は相手のために真心を込めてすることを意味しており、料理や催しで使うことが多いです。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」の英語表記の違い
「至れり尽くせり」を英語にすると「perfect」となり、例えば上記の「そのホテルのサービスは至れり尽くせりでした」を英語にすると「The Hotel gave us perfect service」となります。
一方、「心尽くし」を英語にすると「kindness」「consideration」「solicitude」となり、例えば上記の「上司の心尽くしによって山形への転勤を免れた」を英語にすると「Thanks to the kindhearted help of my boss, I escaped being transferred to Yamagata」となります。
「至れり尽くせり」の意味
「至れり尽くせり」とは
「至れり尽くせり」とは、配慮が行き届いて申し分がないことを意味しています。
「至れり尽くせり」の使い方
「至れり尽くせり」を使った分かりやすい例としては、「この部屋にはパソコンもゲーム機もあって至れり尽くせりだ」「彼は来日した外国人に対して至れり尽くせりの対応をしました」「至れり尽くせりとはまさにこのことです」などがあります。
「至れり尽くせり」の由来
「至れり尽くせり」は細かいところまで行き届くことを意味する「至る」と、他の者のために精一杯働いたり努力したりすることを意味する「尽くす」が合わさり、配慮が行き届いて申し分がないことの意味で使われるようになりました。
また、「至れり尽くせり」は中国の思想家の荘子(読み方:そうし)が書いた斉物論(読み方:せいぶつろん)が由来とも言われています。
斉物論の中に「至れり尽くせり。以て加うべからず」という一文があり、これ以上何かを加える必要がない完璧な状態という意味で使われていました。
「至り尽くせり」は誤り
「至れり尽くせり」を使う上で注意しなければならないのは、「至り尽くせり」としないことです。間違って使わないように気をつけましょう。
「至れり尽くせり」の類語
「至れり尽くせり」の類語・類義語としては、相手の身になってその人のために何かをすることを意味する「親切」、 あれこれと気をつかうことを意味する「気遣い」、心を配ることを意味する「配慮」などがあります。
「心尽くし」の意味
「心尽くし」とは
「心尽くし」とは、真心を込めてすることを意味しています。
表現方法は「お心尽くしの品をお贈りいただき」「心尽くしの贈答品」
「お心尽くしの品をお贈りいただき」「心尽くしの贈答品」「心尽くしのおもてなし」などが、「心尽くし」を使った一般的な言い回しになります。
「心尽くし」の使い方
「心尽くし」を使った分かりやすい例としては、「母の心尽くしの弁当を持って試合会場へ向かう」「お心尽くしの品をありがとうございます」「叔母さんの心尽くしの料理が食卓に並んでいる」などがあります。
「心尽くし」は相手のために真心を込めてすることやできる限りのことを行ったことを意味している言葉で、主に料理や催しなどで用いることが多いです。
「心尽くし」は相手への感謝の気持ちで使う言葉なので、自分の行動ついて使うことはできないと覚えておきましょう。
「心尽くし」の類語
「心尽くし」の類語・類義語としては、細かいところまで心が行き届いて親切なことを意味する「懇切」(読み方:こんせつ)、細かいところまで注意が行き届いていてとても手厚くて親切なことを意味する「懇切丁寧」(読み方:こんせつていねい)などがあります。
「至れり尽くせり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、配慮が行き届いて申し分がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「至れり尽くせり」はプラスのイメージで使われることが多いです。
「心尽くし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、真心を込めてすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「心尽くし」は「おもてなし」や「料理」という言葉と一緒に使われることが多いです。
「至れり尽くせり」と「心尽くし」という言葉は、どちらも相手のことを考えて行うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、配慮が行き届いて申し分がないことを表現したい時は「至れり尽くせり」を、真心を込めてすることを表現したい時は「心尽くし」を使うようにしましょう。