似た意味を持つ「あいにく」と「残念ながら」(読み方:ざんねんながら)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「あいにく」と「残念ながら」という言葉は、どちらも現実が思う通りでなかったことを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「あいにく」と「残念ながら」の違い
「あいにく」と「残念ながら」の意味の違い
「あいにく」と「残念ながら」の違いを分かりやすく言うと、「あいにく」は期待にそぐわない事や折り合いが悪い事を嘆く様子を意味していて、「残念ながら」は悔しく思いつつ事実が期待通りでなかったことを諦める様子を意味しているという違いです。
「あいにく」と「残念ながら」の使い分け方
「あいにく」という言葉は、漢字で表記すると「生憎」となります。言葉の意味としては「ああ憎らしい」という意味を持つ言葉です。憎らしいと思うほどに、期待していたようにならなかった場合や、都合が悪かった場合などにこの言葉を使います。
例えば「あいにく、天気が悪かった」「あいにく、彼は留守だった」というように使われます。これは「憎らしいことに、天気が悪かった」「憎らしいことに、彼は留守だった」という意味になります。
しかし、現実には「あいにく」という言葉を使用している際には「憎い」という感情が強いわけではありません。比喩的な表現で、「憎らしいと思ってしまうほどに」という意味の言葉です。
何か物事が予定通りにならなかった時などに、折り合いの悪さを嘆く意味を持って「あいにく」と使われるのだと覚えておくようにしましょう。
対する「残念ながら」というのは、「残念ではあるけれど」という意味の言葉です。意味合いとしては「あいにく」とよく似ていますが、「残念ながら」とする場合には、期待通りでなかった現実に対して諦めが付いている状態を示します。
「あいにく」とした場合には、期待にそぐわなかった結果に対して、嘆いたり諦めきれずに思ったりする気持ちが含まれますが、「残念ながら」とした場合には、すでに期待通りでない現実に対して諦めるような気持ちが含まれています。
「残念ながら」の「ながら」というのは、内容の矛盾する二つの事柄を繋ぐ意味を持つ言葉です。例えば「晴れ予報だったのに、残念ながら雨だった」というのは「晴れという現実を迎えるはずだったのに、実際は雨だった」という意味になります。
「あいにく」という表現を使う場合には、諦めきれない無念さが残っているような状態を示していて、「残念ながら」という表現を使う場合には「仕方ないか」という諦めが含まれているものだと考えるようにしましょう。
「あいにく」の意味
「あいにく」とは
「あいにく」とは、期待にそぐわない様子や、都合の悪い様子、折り合いが悪かった時の様子などを意味しています。
「あいにく」の漢字表記
「あいにく」は漢字で「生憎」と書くもので、「生憎」と漢字で表記する際、「生」という字は当て字であり、常用漢字表外の読み方です。
「あいにく」の由来
「あいにく」という言葉は本来は「あやにく」という発音の言葉でした。この「あやにく」という言葉の「あや」の部分に「生」という字を当て、「にく」の部分は「憎らしい」という意味を持って「憎」と書きます。
「あやにく」の「あや」というのは、「ああ」や「あら」などの感動詞を意味しています。つまり「あやにく」というのは「ああ憎らしい」という意味の言葉です。近世以後、意味はそのままに、読み方が「あいにく」と変化しました。
「あいにく」「生憎」という言葉は、「ああ憎らしい」と思わせるような状態を示す言葉であると覚えておくと良いでしょう。自分の期待や目的に合わず、憎らしいと思わせたり、都合や折り合いが悪くて憎らしいと思わせたりすることを意味します。
「あいにく」の使い方
「あいにく」という言葉は、物事に対しても人に対しても使うことの出来る言葉です。「今日は遠足なのに、あいにくの空模様だ」という風に使ったり、「彼女はあいにく留守だった」という風に使ったりします。
自分の思う通りにならずに、予定通りに進まなかったことに対して「ああ憎らしい」と思った時などに「あいにく」という言葉を使うのだと覚えておくようにしましょう。この言葉は、場合によっては目上の人や立場が上の人に対しても使える言葉です。
表現方法は「あいにくの天気」「あいにくの雨」「あいにくの雨模様」
「あいにくの天気」「あいにくの雨」「あいにくの雨模様」などが、あいにくを使った一般的な言い回しです。
「あいにく」の類語
「あいにく」の類語・類義語としては、物事に最も適した時期でないことを意味する「タイミングが悪い」、巡り合わせが悪い事を意味する「運が悪い」、タイミングが悪くて世間から認められていないことを意味する「不遇」などがあります。
「残念ながら」の意味
「残念ながら」とは
「残念ながら」とは、物足りなくはあるけれど、悔しく無念に思うものではあるが、ということを意味しています。「残念」という名詞に「ながら」という言葉が合わさった複合語であり、この「ながら」というのは、内容の矛盾を表すものです。
「残念ながら」という言葉を成り立ちで考えると「残念」と「ながら」に分けられます。この「ながら」というのは、漢字で表記するところの「乍ら」であり、これは内容の矛盾する二つの事柄を繋ぐという意味を持ちます。
矛盾する二つの事柄を繋ぐというのは「~にもかかわらず」や「~ではあるが」というような言葉で表現されるという意味です。つまり、「残念ながら」というのは、「残念であるにもかかわらず」「残念ではあるが」という意味になります。
「残念」という言葉だけで考えると、この言葉は、何かを物足りなく感じること、諦めきれないこと、悔しく思うこと、無念に思うこと、などの意味があります。
「残念ながら」の使い方
「残念ながら」は、「物事を物足りなく感じるけれど」「悔しく思うにもかかわらず」「無念ではあるが」という意味の言葉です。そして、「残念ながら」の後に続く言葉は、ほとんどの場合が目の前にある事実です。
例えば「残念ながら、今日は雨模様だ」「残念ながら、彼は今日来られないようだ」などのように使用します。これはつまり「無念ではあるけれど、今日は雨模様だ」「物足りなく感じるけれど、彼は今日来られない」というような意味になるということです。
このように「残念ながら」というのは、事実は期待通りではないけれど、という意味を持つ言葉であると覚えておくようにしましょう。期待通りでない現実を諦めて受け入れている状態です。また「残念ながら」は場合によっては目上の人にも使える表現です。
表現方法は「残念ながら行けません」「残念ながら欠席させていただきます」
「残念ながら行けません」「残念ながら欠席させていただきます」などが、「残念ながら」を使った一般的な言い回しです。
「残念ながら」の類語
「残念ながら」の類語・類義語としては、残念であることを意味する「遺憾ながら」「遺憾にも」、慈しむ心がないことを意味する「無情にも」、タイミングが悪いことを意味する「折り悪く」などがあります。
「あいにく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、期待や目的にそぐわないことを表現したい時や、都合や折り合いが悪かったことを表現したい時などが挙げられます。あいにくというのは、漢字で「生憎」と書きます。
「あいにく」という言葉は、「ああ憎らしい」という意味の言葉が短い言葉に省略されたものです。自分の思っていた通りにならなかった場合や、都合がつかなかった時などに使用される言葉であると覚えておくようにしましょう。
「あいにく」という言葉は、敬語とセットで使用することで、目上の人や立場が上の人に対しても使える言葉です。ビジネスシーンなどでも、例文5のような形で使用されることがあります。
「残念ながら」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物足りなくは思うけれど、無念には思うものの、というような事実が期待通りではないことを表現したい時などが挙げられます。思っていた通りに事が進まなかった場合に「残念ながら」という表現を使います。
「残念ながら」という言葉は、「残念」という名詞に「ながら」という言葉が付随した複合語です。この「ながら」というのは、「~にもかかわらず」「~ではあるが」という意味を持つ言葉です。
「残念ではあるが」というようなニュアンスの言葉であると考えると分かりやすいでしょう。事実が期待通りではなかったことに対する諦めの気持ちなどが含まれている言葉です。