【天下の宝刀】と【伝家の宝刀】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た日本語の「天下の宝刀」(読み方:てんかのほうとう)と「伝家の宝刀」(読み方:でんかのほうとう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「天下の宝刀」と「伝家の宝刀」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「天下の宝刀」と「伝家の宝刀」の違い

「天下の宝刀」は「伝家の宝刀」の間違い

「天下の宝刀」と「伝家の宝刀」の違いを分かりやすく言うと、「天下の宝刀」とは「伝家の宝刀」の間違った使い方、「伝家の宝刀」とはいざという時に出す切り札のことです。

「天下の宝刀」は誤字

一般的には「天下の宝刀」という言葉は存在しません。漢字の成り立ちや読み方が似ていることから、「伝家の宝刀」のことを間違えて「天下の宝刀」を使っている人がほとんどです。

「伝家の宝刀」は正しい日本語

正しい言葉である「伝家の宝刀」を使った分かりやすい例としては、「伝家の宝刀は抜いたら終わりです」「彼の伝家の宝刀と言えば切れ味のあるドリブルです」「伝家の宝刀だからこそ滅多に使われない」「まだ伝家の宝刀が残っています」などがあります。

「伝家の宝刀」という言葉はあっても、「天下の宝刀」という言葉は存在しません。同時に「伝家の宝刀」という単語の意味について「いざという時に出す切り札のこと」と覚えておきましょう。

「伝家の宝刀」の英語表記

「伝家の宝刀」を英語にすると「trumps」「last resort」「a sword treasured」となり、例えば上記の「まだ伝家の宝刀が残っています」を英語にすると「I still hold some trumps」となります。

「天下の宝刀」の意味

「天下の宝刀」とは

「天下の宝刀」とは、「伝家の宝刀」の間違った使われ方です。

「天下の宝刀」と間違えやすい理由

「天下の宝刀」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、「伝家の宝刀」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。

また、「天下」は一国全体や全世界のことを意味しているので、宝物として大切にしている刀のことを意味している「宝刀」と合わさり、全世界の中でも名高い宝刀と勘違いして覚えている人も多いようです。

文化庁が発表した平成24年度に行われた国語に関する世論調査では、本来の言い方である「伝家の宝刀」を使う人が54.6%、本来の言い方ではない「天下の宝刀」を使う人が31.7%という結果が出ています。

上記の世論調査からも分かるように、「天下の宝刀」と「伝家の宝刀」を間違えて覚えている人が多いです。正しい日本語は「伝家の宝刀」と覚えておきましょう。

「天下の宝刀」の天下の意味

「天下の宝刀」の「天下」とは、全世界のこと、一国全体のこと、世の中のこと、一国の政治のこと、権力を握って思うままに振る舞うこと、この上ないこと、江戸時代の将軍のことをなど、様々な意味を持つ言葉です。また、「宝刀」は宝物として大切にしている刀のことを意味しています。

「天下」と「宝刀」はどちらも辞書に載っている言葉ですが、二つ言葉が合わさった「天下の宝刀」という言葉は辞書に載っていないので、間違って使わないようにしましょう。

「伝家の宝刀」の意味

「伝家の宝刀」とは

「伝家の宝刀」とは、いざという時に出す切り札のことを意味しています。

「伝家の宝刀」の使い方

「伝家の宝刀」を使った分かりやすい例としては、「彼の伝家の宝刀と言えば急降下するカーブだろう」「危機的状況だけれど伝家の宝刀があるのでまだなんとかなるだろう」「師匠から伝家の宝刀であるカットボールの投げ方を教わった」などがあります。

その他にも、「伝家の宝刀である土下座を使うにはまだ早いだろう」「このピンチを乗り越えるために伝家の宝刀を抜くしかないだろう」「とてつもない伝家の宝刀を持っていても使わなければ意味ありません」などがあります。

「伝家の宝刀」の由来

「伝家の宝刀」とは、本来、家に代々伝わる大切な刀の意味を持つ言葉です。そのため普段は使わずに、命を懸けた戦いや、負けられない戦いにのみ使われていました。そのことが転じて、いざという時に出す切り札という意味で比喩的に使われるようになったのが由来になります。

「伝家の宝刀」は誤用で使われることが増えた

「伝家の宝刀」は、いざという時に出す切り札のことを意味しているので滅多に使うものではありません。しかし、現代においてその人が繰り出す必殺技や得意技という誤用で用いられることが増えました。

例を挙げると、アニメや漫画のキャラクターが敵役に対して使う必殺技のことを「伝家の宝刀」と言ったり、野球のピッチャーが最も得意とする変化球のことを「伝家の宝刀」と言い、三振を取った場面では「伝家の宝刀のカーブが決まった」のように実況されています。

本来は間違って覚えられた使い方ですが、多くの人が使っているため正しい意味になってきています。そのため、「伝家の宝刀」をその人が繰り出す必殺技や得意技の意味で使っても問題ありません。

表現方法は「伝家の宝刀を抜く」「伝家の宝刀は抜かない」「伝家の宝刀抜いたら終わり」

「伝家の宝刀」を使った言い回しとしては、「伝家の宝刀を抜く」「伝家の宝刀は抜かない」「伝家の宝刀抜いたら終わり」などがあります。

「伝家の宝刀」の類語

「伝家の宝刀」の類語・類義語としては、必ず効果があると期待されるとっておきの技のことを意味する「必殺技」、とっておきの最も有力な手段のことを意味する「切り札」、物事の真偽や勝負事での勝ち負けを決定する手段や方法のことを意味する「決め手」などがあります。

「天下の宝刀」の例文

1.天下の宝刀という言葉は存在しないので、おそらく伝家の宝刀の言い間違いだろう。
2.伝家の宝刀という言葉はいざという時に出す切り札のことで、天下の宝刀という言葉はない。
3.天下の宝刀という言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.天下の宝刀の土下座を使う時がきたという言葉を使う人はいるが、正しくは伝家の宝刀の土下座を使う時がきたです。
5.この状況を打破するには伝家の宝刀を抜くしかないという言葉はあるが、この状況を打破するには天下の宝刀を抜くしかないという言葉はない。

この言葉がよく使われる場面としては、「伝家の宝刀」という言葉を間違えて「天下の宝刀」と表現している時などが挙げられます。

「天下の宝刀」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「伝家の宝刀」を間違えて使っている可能性が高い言葉です。

「天下の宝刀」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「天下の宝刀」ではなく、「伝家の宝刀」と表現するのが正しい使い方です。

「伝家の宝刀」の例文

1.彼の伝家の宝刀と言えば沈んで落ちるシンカーだろう。そのシンカーを軸に奪三振王を取ったほどだ。
2.彼の伝家の宝刀であるフリーキックが見事に決まり、逆転に成功しました。
3.この頃とても冷たい彼女に、伝家の宝刀とも言うべき夜景が綺麗なレストランでごちそうをすることにした。
4.仕事で大きなミスをしてまったので、伝家の宝刀とも言える土下座を使う時がきた。
5.伝家の宝刀は抜いたら終わりな気がするので、まだ使わないでおこう。

この言葉がよく使われる場面としては、いざという時に出す切り札のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、いざという大事な場面において使う言葉になります。特に、例文1や例文2のようなスポーツなどの勝負ごとにおいてよく使わる言葉です。

「天下の宝刀」と「伝家の宝刀」どちらを使うか迷った場合は、「天下の宝刀」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「伝家の宝刀」を使うようにしましょう。

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