似た意味を持つ「おみそれしました」と「恐れ入りました」(読み方:おそれいりました)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おみそれしました」と「恐れ入りました」という言葉は、どちらも相手の才能や手腕などに気づかないでいることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「おみそれしました」と「恐れ入りました」の違い
「おみそれしました」と「恐れ入りました」の意味の違い
「おみそれしました」と「恐れ入りました」の違いを分かりやすく言うと、「おみそれしました」とは行き会ってもその相手に気づかないこと、「恐れ入りました」とは相手の好意などに対してありがたいと思うことという違いです。
「おみそれしました」と「恐れ入りました」の使い方の違い
一つ目の「おみそれしました」を使った分かりやすい例としては、「随分お美しくなられておみそれしました」「部長のボウリングの腕前がこれ程とはおみそれしました」などがあります。
二つ目の「恐れ入りました」を使った分かりやすい例としては、「社長のゴルフの腕前には恐れ入りました」「先程の鋭いご指摘には恐れ入りました」「今回の勝負も恐れ入りました」などがあります。
「おみそれしました」と「恐れ入りました」の使い分け方
「おみそれしました」と「恐れ入りました」はどちらも相手の才能や手腕などに気づかないでいることを表す言葉で、この意味で使う場合は互いに置き換えることができます。
分かりやすい例を挙げると、「課長の野球の腕前がこれ程とはおみそれしました」「課長の野球の腕前がこれ程とは恐れ入りました」のようにどちらを当てはめても問題ありません。
また、「おみそれしました」は行き会ってもその相手に気づかないこと、「恐れ入りました」は相手の好意などに対してありがたいと思うことの意味も持っており、こちらの場合は意味が異なっているので、使い分ける必要があるのが違いになります。
「おみそれしました」も「恐れ入りました」も日本語特有の表現なので近い表現があるものの、直訳した英語はありません。
「おみそれしました」の意味
「おみそれしました」とは
「おみそれしました」とは、相手の才能や手腕などに気づかないでいることを意味しています。その他にも、行き会ってもその相手に気づかないことの意味も持っています。
「おみそれしました」の使い方
「これほどお詳しいとはおみそれしました」「仕事だけではなく料理もできるとはおみそれしました」などの文中で使われている「おみそれしました」は、「相手の才能や手腕などに気づかないでいること」の意味で使われています。
一方、「先日は観戦に夢中になっておりついおみそれしました」「先日はおみそれしてご挨拶できませんでした」などの文中で使われている「おみそれしました」は、「行き会ってもその相手に気づかないこと」の意味で使われています。
「おみそれしました」はそれぞれの意味のよって使う場面が異なっています。
一つ目の相手の才能や手腕などに気づかないでいることの意味は、相手の能力を低く見ていたのに予想以上に相手の能力が高かった場合、そのことを詫びるために使います。
二つ目の行き会ってもその相手に気づかないことの意味は、相手が気付かず誰だか思い出せない状態の場合に使います。例えば、ダイエットに成功にして見た目が変わったり、しばらく会ってないうちに見た目が立派になっていて気付かなかったなどの状況で使うことが多いです。
「おみそれしました」は敬語表現なので目上の人に対して使える言葉ですが、使い方によっては相手が不快な思いをする場合もあるので、十分に注意するようにしましょう。
例えば、上司に対して仕事関連のことで、「部長がそんなことできるなんておみそれしました」と言ってしまうと、部下のくせに過小評価していたのかと感じてしまい、良い気分にはなりません。
一方、仕事とは全く関係ないスポーツなどで、「部長は仕事だけではなくサッカーもお上手とはおみそれしました」とすると、サッカーもできる才能があるとは知りませんでしたというニュアンスになり、相手を不快にさせることはありません。
また、「おみそれしました」自体に詫びる意味が含まれているので、「おみそれして申し訳ございませんでした」などの謝罪の言葉を付け加えないように気を付けましょう。
「おみそれしました」の漢字表記
「おみそれしました」を漢字にすると、「御見逸れしました」と表記することができます。
「おみそれしました」は、動詞「見逸れる」を丁寧にした表現になります。「見逸れる」とは見てそれと気がつかないでいることを意味する言葉です。また、現代においては「見逸れる」という表現はほとんど使われず、「おみそれしました」の形で使うのが一般的です。
「おみそれしました」の類語
「おみそれしました」の類語・類義語としては、深く感心して尊敬や尊重の気持ちを抱くことを意味する「感服しました」、人を軽くみて馬鹿にしていることを意味する「侮っていました」などがあります。
「恐れ入りました」の意味
「恐れ入りました」とは
「恐れ入りました」とは、相手の才能や力量に太刀打ちできないと思うことを意味しています。その他にも、相手の好意などに対してありがたいと思うことの意味も持っています。
「恐れ入りました」の使い方
「専務の野球の腕前には恐れ入りました」「流石は社長、恐れ入りました」などの文中で使われている「恐れ入りました」は、「相手の才能や力量に太刀打ちできないと思うこと」の意味で使われています。
一方、「早速多くの方々にお声掛いただき恐れ入りました」「部長の見事な説明に恐れ入りました」などの文中で使われている「恐れ入りました」は、「相手の好意などに対してありがたいと思うこと」の意味で使われています。
「恐れりました」は相手の才能や力量に太刀打ちできないと思うことと、相手の好意などに対してありがたいと思うことの意味を持つ言葉です。
似た言葉である「恐れ入ります」の相手に失礼したり迷惑をかけたりしたことに対して申し訳なく思うという意味は持っていなので、混同しないように注意しまししょう。
「恐れ入りました」の主な使う場面としては、相手の才能が能力がとても素晴らしくて、感動したり、素晴らしいと賞賛する場合に使います。
また、「恐れ入りました」は目上の人に対して使うことができる言葉ですが、使い方によっては見下しているというニュアンスで使っていると思われることあるため、十分に注意して使うようにしましょう。
「恐れ入りました」の類語
「恐れ入りました」の類語・類義語としては、相手に迷惑をかけたり相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うことを意味する「恐縮する」、恐れつつしみながらも大喜びすることを意味する「恐悦至極に存じます」などがあります。
「おみそれしました」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の才能や手腕などに気づかないでいることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、行き会ってもその相手に気づかないことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「おみそれしました」は相手の才能や手腕などに気づかないでいること、例文4と例文5の「おみそれしました」は行き会ってもその相手に気づかないことの意味で使われています。
「恐れ入りました」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の才能や力量に太刀打ちできないと思うことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、相手の好意などに対してありがたいと思うことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「恐れ入りました」は相手の才能や力量に太刀打ちできないと、例文4と例文5の「恐れ入りました」は相手の好意などに対してありがたいと思うことの意味で使っています。
「おみそれしました」と「恐れ入りました」はどちらも相手の才能や手腕などに気づかないでいることを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、行き会ってもその相手に気づかないことを表現したい時は「おみそれしました」を、相手の好意などに対してありがたいと思うことを表現したい時は「恐れ入りました」を使うと覚えておきましょう。