【拝借】と【借用】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「拝借」(読み方:はいしゃく)と「借用」(読み方:しゃくよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「拝借」と「借用」という言葉は、どちらも借りることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




拝借と借用の違い

拝借と借用の意味の違い

拝借と借用の違いを分かりやすく言うと、拝借とは借りることの謙譲語であり、借用とは借りて使うことという違いです。

拝借と借用の使い方の違い

一つ目の拝借を使った分かりやすい例としては、「ペンを拝借できますか」「お手洗いを拝借したいのですが」「拝借しました資料が大変参考になりました」「皆様のお知恵を拝借したいのですが」「それでは皆さん、お手を拝借」などがあります。

二つ目の借用を使った分かりやすい例としては、「備品を借用いたします」「借用物が故障した場合は速やかにご連絡ください」「借用ライセンスを使用する」「法的効力のある借用書を作成したい」のなどがあります。

拝借と借用の使い分け方

拝借と借用という言葉は、どちらも他から借りることを表しますが、意味や使い方は異なります。拝借は借りることをへりくだっていう謙譲語であり、自分に対して使う言葉であるため、相手の動作に対して使うことはできません。「拝借しますか」「拝借なさる」という表現は誤りです。

一方の借用とは、使用するために他から借りることを意味し、自分に対しても相手や第三者に対しても使うことができます。「借用しますか」「借用なさる」と表現することができます。

拝借と借用の英語表記の違い

拝借も借用も英語にすると「borrow」「loan」となり、例えば上記の「ペンを拝借できますか」を英語にすると「Can I borrow your pen?」となります。

拝借の意味

拝借とは

拝借とは、借りることをへりくだっていう語を意味しています。

表現方法は「拝借する」「拝借させていただく」「拝借したい」

「拝借する」「拝借させていただく」「拝借したい」「拝借いたします」「拝借のお願い」「拝借いたしました」などが、拝借を使った一般的な言い回しです。

拝借の使い方

拝借を使った分かりやすい例としては、「ペンを拝借したく存じます」「貴重なお時間を拝借いたしました」「他人のビニール傘を勝手に拝借した」「急な来客でお供え物を拝借することにした」などがあります。

その他にも、「あなたのお知恵を拝借したいのですが」「ちょっとお耳を拝借します」「部長のお力を拝借して交渉に臨みたい」「ダイレクトメッセージで画像拝借のお願いをした」「放置自転車を無断で拝借しちゃった」などがあります。

拝借は借りることの謙譲語

拝借という言葉は、借りることをへりくだっていう謙譲語です。拝借という言葉の「拝」とは、頭を下げて礼をするという意味のほかに、自分の行為に冠して相手に敬意を示す語を意味します。

「拝見」は「見る」の謙譲語であると同様に、「拝借」は「借りる」の謙譲語であると覚えておくと良いでしょう。

上記の例文の「お知恵を拝借したい」とは、目上の相手に助言を求めたり、手助けや協力を請う場合に使われるフレーズです。意見や考えを伺いたいことをへりくだって表現しています。

拝借の対義語

拝借の対義語・反対語としては、返すことを条件として金品の使用を許すことを意味する「貸与」、物品や権利を貸したりすることを意味する「貸付」などがあります。

拝借の類語

拝借の類語・類義語としては、人の物を一時的に自分のもののように使うことを意味する「借りる」、ちょっと借りることや少しばかりの金を借りることを意味する「寸借」、金銭や品物を借りることを意味する「借入れ」などがあります。

借用の意味

借用とは

借用とは、借りて使うこと、使うために借りることを意味しています。

表現方法は「借用する」「借用している」「借用したい」

「借用する」「借用している」「借用したい」などが、借用を使った一般的な言い回しです。

借用の使い方

借用を使った分かりやすい例としては、「ドレスの小物は友人に借用する」「借用した服はクリーニングに出してます」「物品借用に対するお礼を伝える」「備品借用申請書を提出してください」「四声体は様々な借用和音を含む」などがあります。

その他にも、「親しい間柄でも借用書は作るべきだ」「車の借用料は当日お支払いします」「借用物を紛失してしまいお詫びする」「はっきりと借用期間を明記してください」「日本語には中国語からの借用語がある」などがあります。

借用とは、文字通り「借りて用いること」であり、他人から金銭や物品などを一時的に借りて使うことを意味します。借用という言葉を用いた日本語には、「借用語」「借用証書」などがあります。

「借用語」の意味

借用語とは、もともとは他の言語から取り入れられた語ではあっても、その言語に同化し、全く日常語化してしまっているような言葉のことです。例えば、日本語の「さけ(鮭)」はアイヌ語の「サクイベ」や「シャケンべ」から「シャケ」、「さけ」になったと言われています。

「借用証書」の意味

借用証書とは、金銭または物品の借用を証明し、借用条件などを明らかにする証書のことです。金銭であれば、返済方法、返済期限、条件としての利息などを明記します。借用書や借用証、借状とも言われます。

借用の対義語

借用の対義語・反対語としては、借りた金や物を相手に返すことを意味する「返済」、借りたものを相手に返すことを意味する「弁済」、物を貸して外部へ持ち出させることを意味する「貸出し」などがあります。

借用の類語

借用の類語・類義語としては、金銭を借りることを意味する「借金」、金を借りることを意味する「借財」、バスや航空機などを借り切ることを意味する「チャーター」などがあります。

拝借の例文

1.それでは関東一本締めで会を締めたいと思います。皆様、お手を拝借!
2.メモ用紙を使い切ってしまったので、机の上にあった紙切れを拝借することにした。
3.財布を家に忘れてしまったので、お金を拝借させていただけませんか。
4.今日のファンデーションは妹からの拝借品だが、いつもより肌になじんでいる。
5.「ペンを拝借させていただきます」と言われて、違和感を覚えるのは私だけだろうか。
6.幼馴染みのSくんは手癖が悪く、私が買ったコミックスを「ちょいと拝借」と言って持ち去ったきりいつまで経っても返してくれない。
7.来週行われるコンペで競り勝つために、どのようなプレゼンをすればよいか部長のお知恵を拝借できれば幸いです。
8.弊社の80周年記念式典のために拝借しました、社長ゆかりの掛け軸の返却につきましてご相談がございます。
9.プレゼンをひとりでやりきるには不安があるのでどうか先輩のお力を拝借できないだろうかと後輩が頼み込んできた。
10.探偵にその記事はどこからもってきたのかと聞くと、図書館にあった新聞記事をやぶって拝借したものだと聞いて唖然としてしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、借りることをへりくだっていう語、つつしんで借りることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「お手を拝借」とは、手締めをするときに音頭をとる人が全員に向かっていうかけ声であり、一同に手打ちの用意をうながす言葉です。例文2にある「拝借する」は「ありがたく借りること」を意味しており、無断で借りることをうやうやしく表現する時にも使われています。

例文5にある「拝借させていただきます」は誤用ではありませんが、しつこい敬語になるので「拝借いたします」「拝借したく存じます」などの表現のほうが自然です。

借用の例文

1.借用中に物品の破損等があった場合は、借用者の責任において弁償するのが基本だろう。
2.借用物を破損してしまったら一刻も早くお詫びをするのがマナーである。
3.お金の貸し借りは口約束だけでも成立するが、借用書など書類を作成した方が後々めもることはないだろう。
4.親戚に頼まれてお金を貸すことになったので、借用証書のひな形を探している。
5.個人間の貸し借りのための借用書の書き方を、弁護士である友人に教えてもらった。
6.全社会議の会場にプロジェクターなどは持ち込むつもりだけれど、スクリーンや音響機材はそのホテルのものを借用することにした。
7.人気YouTuberの動画で使用されていた画像が無断で借用されていることが判明し、後日動画上で謝罪をするに至った。
8.葬儀に顔を出すのにあいにく黒いネクタイを持ち合わせていなかったため、友人から借用してその場をやり過ごした。
9.家庭では借金で苦しい時期もあったものだから、友達であってもお金を貸す時はちゃんと借用書を作るんだよと母親からよく言われたものだよ。
10.英語には古英語の語彙以外にもラテン・ギリシャ語やフランス語などの借用語がたくさん使われているのをご存知だろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、使用するために他から借りることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「借用者」とは物品を借りている人を意味し、借り手や借主とも言い換えることができます。対する意味の言葉には、貸主や貸借人などがあります。例文3や例文5にある「借用書」とは、お金や物品の貸し借りを記録し、証明するための書類です。借用証書とも言います。

拝借と借用という言葉は、どちらも借りることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、借りることをへりくだって表現したい時は「拝借」を、使うために借りることを表現したい時は「借用」を使うようにしましょう。

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