似た意味を持つ「驚嘆」(読み方:きょうたん)と「驚愕」(読み方:きょうがく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「驚嘆」と「驚愕」という言葉は、どちらも驚いて心の平静を失うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
驚嘆と驚愕の違い
驚嘆と驚愕の意味の違い
驚嘆と驚愕の違いを分かりやすく言うと、驚嘆とは驚き感心することを表し、驚愕とは非常に驚くさまを表すという違いです。
驚嘆と驚愕の使い方の違い
一つ目の驚嘆を使った分かりやすい例としては、「それは自然法則の驚嘆すべき発見だった」「この新記録は驚嘆に値する」「あまりの絶景に驚嘆の声を上げる」「意外な食材の組み合わせに驚嘆しました」などがあります。
二つ目の驚愕を使った分かりやすい例としては、「そこには驚愕の風景が広がっていた」「誰もが驚愕する裏話が聞けた」「彼の意外な一言に驚愕した」「驚愕反応で顔面蒼白になっているようだ」などがあります。
驚嘆と驚愕の使い分け方
驚嘆と驚愕という言葉は、どちらも自分の予想と違う出来事に出会って、心の平静を失うことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
驚嘆とは、驚き感心することを意味し、自分の予想より美しかったり、すばらしかったりして感心したときに使われます。一方、驚愕とは、非常に驚くことを意味し、予想しなかったことに出会ったときに使われます。
驚嘆には感心や感動といった意味合いがあり、驚愕にはそのような意味合いがないことが、二つの言葉の明確な違いになります。
驚嘆と驚愕の英語表記の違い
驚嘆を英語にすると「admiration」「wonder」「marvel」となり、例えば上記の「驚嘆すべき発見」を英語にすると「marvelous discovery」となります。
一方、驚愕を英語にすると「surprise」「astonishment」「shock」となり、例えば上記の「驚愕の風景」を英語にすると「shocking sight」となります。
驚嘆の意味
驚嘆とは
驚嘆とは、すばらしい出来事や思いも及ばない物事に接して、驚き感心することを意味しています。
表現方法は「驚嘆に値する」「驚嘆の声」「驚嘆しました」
「驚嘆に値する」「驚嘆の声」「驚嘆しました」などが、驚嘆を使った一般的な言い回しです。
驚嘆の使い方
驚嘆を使った分かりやすい例としては、「あの俳優の集中力とスタミナは驚嘆に値する」「日本のモノづくりに世界が驚嘆した」「最新技術には驚嘆するばかりだ」「コスパの良さに誰しも驚嘆する料金設定だ」などがあります。
その他にも、「人々を驚嘆させる演奏だった」「彼の音楽への拘りに驚嘆の声が寄せらている」「企画から発表まで一人でやり遂げたことは驚嘆に値する」「あいつの彼女の美貌には驚嘆させられた」などがあります。
驚嘆は「驚歎」とも書き表しますが、一般に「驚嘆」と表記されています。
驚嘆という言葉の「驚」は驚くことや驚かすことを表し、「嘆」は感じ入ってたたえることや誉めることを表します。驚嘆とは、驚き感心することを意味し、自分の予想より素晴らしかったり、美しかったりして感心した時に用いられる言葉です。
「驚嘆に値する」の意味
上記の例文にある「驚嘆に値する」という言い回しは、驚嘆するだけの値打ちがあるを意味し、とても素晴らしく見事であるといった良い意味での驚きを表します。
驚嘆の対義語
驚嘆の対義語・反対語としては、何事もなかったように落ち着きはらっているさまを意味する「平然」、ふだんと変わらない心や揺れ動くことのない心理状態を意味する「平常心」、落ち着いていて動揺しないことを意味する「冷静沈着」などがあります。
驚嘆の類語
驚嘆の類語・類義語としては、非常に驚くさまを意味する「愕然」、驚くことやびっくりすることを意味する「喫驚」、非常に驚くことを意味する「驚倒」、驚き不思議がることを意味する「驚異」、感心してほめたたえることを意味する「感嘆」などがあります。
驚愕の意味
驚愕とは
驚愕とは、非常に驚くことを意味しています。
表現方法は「驚愕の事実」「驚愕した」「驚愕しました」
「驚愕の事実」「驚愕した」「驚愕しました」などが、驚愕を使った一般的な言い回しです。
驚愕の使い方
驚愕を使った分かりやすい例としては、「世界史を覆す驚愕の事実が判明した」「世間が驚愕したネタを集めました」「たね明かしした時の驚愕の表情が忘れられない」「聴覚性驚愕反射を研究しています」などがあります。
その他にも、「効果の即効性に驚愕する」「驚愕の安さにひかれて即買いした」「不意打ちの告白で彼女の顔に驚愕の色が浮かんだ」「彼女が独り身でいると聞いて驚愕しました」「驚愕反応測定装置を導入しました」などがあります。
驚愕という言葉の「驚」と「愕」は、どちらも訓読みで「おどろく」と読み、驚きを意味します。驚愕とは驚くことを強調した表現で、特に、予想しなかったことに出会ったときに用いられています。もとは書き言葉でしたが、最近は「驚愕の安さ」「驚愕の事実」など、話し言葉でも使われています。
「驚愕反応」の意味
驚愕を用いた日本語には「驚愕反応」があり、突発的に起こった事象を原因として生じた身体的または精神的な反応を意味します。災害や交通事故、知人の死など予期せず急に起こったものが原因となり、身体症状として顔面蒼白や動悸、精神症状として興奮状態や茫然とした状態などがみられます。
驚愕の対義語
驚愕の対義語・反対語としては、心に動揺がないことや落ち着いていることを意味する「平気」、態度や気持ちが落ち着いていることを意味する「平静」、落ち着いていて物事に驚かないさまを意味する「泰然」などがあります。
驚愕の類語
驚愕の類語・類義語としては、非常に驚くことを意味する「驚駭」、驚くことやびっくりすることを意味する「喫驚」、意外な出来事などによって強く心を揺り動かされることを意味する「衝撃」、予期しない事態にあい心が動揺することを意味する「ショック」などがあります。
驚嘆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、驚き感心することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、驚嘆という言葉は素晴らしい出来事や驚嘆という言葉は思いも及ばない物事に接した時に用いられる言葉です。例文4にある「驚嘆するばかりだ」とは、しきりに驚き感心する様子を表します。
驚愕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常に驚くこと、物が言えないほど驚くことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「驚愕落胆」とは四字熟語ではありませんが、よく見られる表現です。非常に驚いたあとに、がっかりしたり希望が持てなくなる状態を表します。例文5にある「驚愕の事実」とは、非常に驚くべき事実のことであり、ほぼ同じ意味の言葉には「衝撃の事実」があります。
驚嘆と驚愕という言葉は、どちらも予想と違う事に出会って心の平静を失うことを表しますが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、感心するさまを表現をしたい時は「驚嘆」を、とても驚くさまを表現したい時は「驚愕」を使うようにしましょう。