似た意味を持つ「内弁慶」(読み方:うちべんけい)と「外弁慶」(読み方:そとべんけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「内弁慶」と「外弁慶」という言葉は、どちらも威勢を張る人を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
内弁慶と外弁慶の違い
内弁慶と外弁慶の意味の違い
内弁慶と外弁慶の違いを分かりやすく言うと、内弁慶とは家の中で威張る人を意味する言葉、外弁慶とは家の外で威張る人を意味する俗語という違いです。
内弁慶と外弁慶の使い方の違い
一つ目の内弁慶を使った分かりやすい例としては、「幼少期の息子は内弁慶だった」「内弁慶な息子の将来が心配だ」「あなたは内弁慶の外地蔵なのね」「内弁慶の原因は家庭の雰囲気だと言われている」などがあります。
二つ目の外弁慶を使った分かりやすい例としては、「厳しい家庭で育てられた彼は外弁慶だ」「外弁慶の子供が増えている」「保護者会で外弁慶の子は要注意との話があった」「結婚するまで外弁慶な人だと分からなかった」などがあります。
内弁慶と外弁慶という言葉は、家の中と外で態度が変わる人を表します。内弁慶とは、家の中ではえらそうに威張っているのに家の外では意気地がなかったり消極的だったりするさまや、そのような性質の人を表します。「内弁慶の外地蔵」という慣用句もあるように、昔から使われてきました。
内弁慶と外弁慶の使い分け方
外弁慶とは、内弁慶の反対の意味で近年使われるようになった言葉です。家の中では大人しく気弱であるのに家の外では威勢が良いさまを表します。外弁慶は内弁慶と正反対の意味で使われている言葉であり、辞書には載っていない俗な言い方です。
内弁慶と外弁慶の英語表記の違い
内弁慶を英語にすると「a lion at home and a mouse abroad」「a cock is bold on one’s own dunghill」となり、例えば上記の「息子は内弁慶だ」を英語にすると「My son is a lion at home and a mouse outside」となります。
一方、外弁慶を英語にすると「have a peculiarity which plays one’s mouth’s fiddle outdoors」となり、例えば上記の「彼は外弁慶だ」を英語にすると「He has a peculiarity which plays his mouth’s fiddle outdoors」となります。
内弁慶の意味
内弁慶とは
内弁慶とは、家の中ではいばりちらすが、外では意気地のないことを意味しています。
表現方法は「内弁慶な人」「内弁慶な子供」「内弁慶な上司」
「内弁慶な人」「内弁慶な子供」「内弁慶な上司」などが、内弁慶を使った一般的な言い回しです。
内弁慶の使い方
内弁慶を使った分かりやすい例としては、「父は内弁慶な人だった」「内弁慶な人は自分に自信がないのだろう」「内弁慶の外地蔵な息子がもどかしい」「内弁慶な上司は取引先と交渉が下手だ」などがあります。
その他にも、「内弁慶で人見知りが強い娘が心配だ」「内弁慶を直す方法を調べた」「内弁慶は発達障害ではない」「いじめられて内弁慶になってしまった」「史上3度目の内弁慶シリーズだ」などがあります。
内弁慶の由来
内弁慶という言葉の「弁慶」とは、名を武蔵坊弁慶と言い、源義経の家来として危難を救った豪傑とされる鎌倉初期の僧侶です。強い者の代名詞となっており、家の中を意味する「内」という言葉と組み合わさり、内弁慶は家族や身内の前では強く出るが、外では気が弱く大人しいことを表します。
ことわざ「内弁慶の外地蔵」の意味
内弁慶を用いたことわざには「内弁慶の外地蔵」があり、家にいるときは人もなげに振る舞う人が、表に出ると人が変わったように、地蔵のような穏和な人になることを意味します。似た意味のことわざには「内弁慶外味噌」「内で蛤外では蜆」などがあります。
内弁慶の類語
内弁慶の類語・類義語としては、家では威張っているが外では弱気なことを意味する「陰弁慶」、気が弱いのに外見は強そうに見えることを意味する「内柔外剛」、気が弱くはきはきしない性格を意味する「内気」、内気で積極的に行動を起せないことを意味する「引っ込み思案」などがあります。
内弁慶の内の字を使った別の言葉としては、妻が夫の活躍を支えることを意味する「内助」、表沙汰にしないことを意味する「内密」、内部の事情を意味する「内情」などがあります。
外弁慶の意味
外弁慶とは
外弁慶とは、外では威勢よく振る舞うが、家の中では気弱なことを意味しています。
外弁慶の使い方
外弁慶を使った分かりやすい例としては、「父は外弁慶な人だった」「5歳の息子が外弁慶だと知った」「外弁慶で親の前ではいい子にしている」「友人の前では極端に強がる外弁慶タイプだ」などがあります。
その他にも、「実は奥さんの尻に敷かれている外弁慶な人だ」「部長は恐妻家で外弁慶らしい」「外弁慶の原因は様々である」「私の性格は外弁慶かもしれない」「周りから外弁慶うち地蔵と揶揄されている」などがあります。
外弁慶の語源
外弁慶の「外」とは学校や会社などの家の外、あるいは友人や同僚などの他人を意味します。外弁慶は、身内の前では大人しくしているのに、他人の前では強がったり尊大な態度をとるようなさまや、そのような人の意味で使われています。
外弁慶は辞書に載っていない言葉
外弁慶という言葉は、辞書には載っておらず正しい言葉とは言えませんが、今後さらに人々の間に広く行き渡り使われるようになれば、正しい語句として扱われるようになるかもしれません。
外弁慶の類語
外弁慶の類語・類義語としては、威張ってばかりいる人を意味する「威張りん坊」、人に対して威圧的な態度をとるさまを意味する「居丈高」、実力がないのに虚勢を張ることを意味する「空威張り」などがあります。
外弁慶の外の字を使った別の言葉としては、外から見えるようすを意味する「外面」、道理に背く考えやその考えをもつ者を意味する「外道」、普通のものとかけ離れて違っていることを意味する「番外」などがあります。
内弁慶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、家の中では威張るのに外では意気地のないことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「内弁慶外味噌」とは、家では威勢が良く外では他人に良い顔をしたり大人しくしていることを意味することわざです。昔、味噌は自分の家で作るものでした。外味噌は他人の家の味噌である、その気恥ずかしさを表した言葉です。
外弁慶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、外では威勢よく振る舞うが、家の中ではおとなしいことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「外弁慶シリーズ」とは、野球用語の「内弁慶シリーズ」と対する言葉として使わています。内弁慶シリーズとは、ホームゲームのみで勝ち続ける形の日本シリーズを表した言葉であり、ここではビジターゲームばかり勝ち続ける日本シリーズを「外弁慶シリーズ」と表しています。
内弁慶と外弁慶という言葉は、家の中と外で態度が変わることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、家では威張り散らし外では意気地がないさまを表現したい時は「内弁慶」を、家ではおとなしく外では威勢が良いさまを表現したい時は「外弁慶」を使うようにしましょう。