似た日本語の「願わくば」と「願わくは」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「願わくば」と「願わくは」という言葉は、間違えやすい日本語なのでご注意下さい。
「願わくば」と「願わくは」の違い
「願わくば」は「願わくは」の間違い
「願わくば」と「願わくは」の違いを分かりやすく言うと、「願わくば」とは「願わくは」の間違った使い方、「願わくは」とはもしも願いが叶うならということです。
「願わくば」は誤字
一般的には「願わくば」という言葉は存在しません。発音が似ていることから「願わくは」のことを間違えて「願わくば」を使っている人がほとんどです。
「願わくは」は正しい日本語
正しい言葉である「願わくは」を使った分かりやすい例としては、「願わくは第一志望の高校に合格したいです」「願わくはいつまでも幸せでいたい」「願わくは来年の大会で優勝したいです」「願わくは明日は雨が降らないで欲しい」などがあります。
「願わくは」という言葉はあっても、「願わくば」という言葉は存在しません。同時に「願わくは」という単語の意味について「もしも願いが叶うならということ」と覚えておきましょう。
「願わくは」の英語表記
「願わくは」を英語にすると「hopefully」となり、例えば上記の「願わくは明日は雨が降らないで欲しい」を英語にすると「Hopefully, it will not rain tomorrow」となります。
「願わくば」の意味
「願わくば」とは
「願わくば」とは、「願わくは」の間違った使われ方です。
「願わくば」が誤用である理由
「願わくば」がなぜ誤用かというと文法的に間違っている言葉だからです。正しい言葉である「願わくは」は、動詞「願う」のク語法である「願わく」と係助詞である「は」から成り立っている言葉になります。
そのため、係助動詞である「は」を「ば」とするのは間違っている日本語になります。
ク語法とは、活用語の語尾に「く」や「らく」が付いて、全体が名詞化される語法のことです。このク語法を使った言葉として「願わく」の他に、「恐らく」「惜しむらく」「望むらく」などがあります。
「願わくは」のように係助詞「は」を付けると「恐らくは」「惜しむらくは」「望むらく」と言うことができますが、「恐らくば」「惜しむらくば」「望むらくば」などとは言いません。そのため「願わくば」も文法的には間違っていると言えるでしょう。
しかし、現代の日本において間違った言葉である「願わくば」は広く一般的に使われています。
「願わくば」が誤用でない説も出てきている
また、文化庁のことばに関する問答集において、「願わくは」が本来の形であるものの「願わくば」と濁るのは口語的であるという結果も出ています。さらに一部の辞書において「願わくば」を記載してるものもあり、間違った日本語ではない説も出てきています。
上記のことから、「願わくば」は文法的に間違っていても誤用と言い切るのは難しく、今後も議論を呼ぶ日本語の一つでしょう。
「願わくは」の意味
「願わくは」とは
「願わくは」とは、もしも願いが叶うならということを意味しています。
「願わくは」の使い方
「願わくは」を使った分かりやすい例としては、「願わくは幸多からんことを」「願わくはいつまでも健康でいたいです」「願わくはこのチームのレギュラーになりたい」「願わくはライターを貸して欲しいです」「願わくは彼の成功せんことを」などがあります。
「願わくは」は、願うことや望むことという願望や希望の表現を伴ってもしも願いが叶うならということを意味している言葉です。
また、心を込めて強く願うことを意味する「是非」のように積極的ではなく、願いが叶うならばというように、できることならこうなって欲しいという願望の形で使うのが一般になります。
「願わくは」は漢文訓読から生まれた語法であり、上記の例文の「願わくは彼の成功せんことを」のような形で使われていました。そのため現代においても、文語調の文章で用いられることが多いです。
その他にも、ビジネスシーンにおいてよく使われています。特に、取引先との商談や目上の人に対して強い願望や希望を伝えたい場合に使うことが多いです。
「願わくは」の類語
「願わくは」の類語・類義語としては、丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちのことを意味する「どうぞ」、心から丁寧に頼み込む気持ちのことを意味する「どうか」、何度も心を込めて懇願することを意味する「くれぐれも」などがあります。
「願わくば」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、「願わくは」という言葉を間違えて「願わくば」と表現している時などが挙げられます。
「願わくば」という言葉は辞書にも載っていなく、文法的に間違っている言葉になります。そのため、本来は「願わくは」と表現するのが正しい使い方になりますが、「願わくば」は広く一般的に使われており、正しい日本語として認められつつあると覚えておきましょう。
「願わくは」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もしも願いが叶うならということを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文ように、ビジネスシーンや日常生活など様々な場面で使うことができる言葉です。
「願わくば」と「願わくは」どちらを使うか迷った場合は、「願わくば」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「願わくは」を使うようにしましょう。しかし、「願わくば」は間違った言葉ではないという説も出てきているため、辞書に載る日も近いかもしれません。