同じ「ふせつ」という読み方の「布設」と「敷設」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「布設」と「敷設」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
布設と敷設の違い
布設と敷設の意味の違い
布設と敷設の違いを分かりやすく言うと、布設とは水道に関して使われ、敷設とは道路や電気などに関して使われるという違いです。
布設と敷設の使い方の違い
一つ目の布設を使った分かりやすい例としては、「近所で水道管の布設工事が始まった」「水道布設工事監督者は水道法に基づいて監督業務を行う」「古い水道管の布設替工事を請負う」「布設費を算出する」などがあります。
二つ目の敷設を使った分かりやすい例としては、「海底ケーブルを新たに敷設する」「役所に敷設工事の届出書を提出してください」「傾斜のある擁壁にケーブルラックを敷設する」「光回線敷設工事に立会う」などがあります。
布設と敷設という言葉は、どちらも「ふせつ」と読み、鉄道や導管などを広い範囲にわたって設置することをを意味しする同音同義語です。もともとは「敷設」という言葉のみでしたが、後に簡易に書ける「布設」という言葉ができたと言われています。
布設と敷設の使い分け方
二つの言葉は辞書の定義上、全く同じ意味を持つのですが、使われ方には違いがあります。布設という言葉は、水道に関して使われ、水道法関連の法規などでは敷設ではなく布設という言葉が使われています。一方、敷設という言葉は、電気や道路など、水道以外の幅広いジャンルで使われている言葉です。
布設と敷設の英語表記の違い
布設も敷設も英語にすると「laying」「construction」となり、例えば上記の「水道管の布設工事」を英語にすると「laying work of water pipe」となります。
布設の意味
布設とは
布設とは、広い範囲に設置することを意味しています。
布設の使い方
布設を使った分かりやすい例としては、「排水管の布設替工事計画書を公表している」「条例で定める布設工事監督者を配置する工事だ」「側溝布設替え工事の写真を確認する」「配水本管布設工事に役所の人が立ち会う」などがあります。
その他にも、「父は布設工事監督者の資格を持っています」「市長が配水管布設工事の現場を視察する」「一昔前の布設替え工法を採用している」「布設されている配水管の口径を確認する」などがあります。
布設という言葉の「布」とは平らに敷き広げることや、広く行き渡らせることを表し、「設」とは物を備えつけることを表します。布設とは、広い範囲に設備などを備えつけることを意味し、主に水道関連で使われている言葉です。
「布設替工事」の意味
上記の例文にある「排水管の布設替工事」とは、古い水道管を新しく丈夫な水道管に取り替える工事のことです。古い水道管は腐食したり錆が出たりして、漏水や濁り水の原因となるので、定期的に布設替工事を行う必要があります。
布設の対義語
布設の対義語・反対語としては、建造物や施設などを取り去ることを意味する「撤去」、取りつけてあるものを外すことを意味する「取外し」、組み立ててあるものを分解することを意味する「解体」などがあります。
布設の類語
布設の類語・類義語としては、地中に埋めて設置することを意味する「埋設」、施設や機関などを設けることを意味する「設置」、施設や建物などを前もって設備し準備することを意味する「設営」などがあります。
敷設の意味
敷設とは
敷設とは、広い範囲に設置することを意味しています。
敷設の読み方
敷設は「ふせつ」と読みます。「しきせつ」とは読みませんので、ご注意ください。
敷設の使い方
敷設を使った分かりやすい例としては、「各戸に光ファイバーを敷設する」「店舗への回線敷設工事は不要です」「送電線を新たに敷設する計画がある」「砕石敷設工事を請負います」「敷設艦むろとが横須賀港に入港した」などがあります。
その他にも、「行政上の観点から鉄道敷設法を制定した」「従来のタイル敷設工法では不可能だ」「ダクト吊り込み敷設作業は一時中断した」「光回線敷設費用を見積もってもらう」「床タイルカーペットの敷設工事を依頼する」などがあります。
敷設という言葉の「敷」とは、平らに広げて全体に及ぼすことや、敷き延べることを表します。敷設とは、広範囲または長距離に渡って設置することを意味し、鉄道や電気などのインフラ設備に対して使われることが多い言葉です。
「海底ケーブル敷設船」の意味
敷設という言葉を用いた日本度には「海底ケーブル敷設船」があり、海底ケーブルの敷設や修理、回収などを行うための船を意味します。海底ケーブルとは、海底に敷設または埋設された電力用または通信用の伝送路であり、1800年代以降から専用船が使われるようになりました。
敷設の対義語
敷設の対義語・反対語としては、取り除いて引き上げることを意味する「撤収」、じゃまなものをのぞき去ることや取りのけることを意味する「除去」などがあります。
敷設の類語
敷設の類語・類義語としては、建物や道路などを新たに造ることを意味する「建設」、建築工事または水路や堤防などの土木工事を意味する「普請」、すえつけることやすえつけてあることを意味する「据付け」、設備としてそこに用意されていることを意味する「備え付け」などがあります。
布設の例文
この言葉がよく使われる場面としては、広い範囲に設置することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、布設という言葉は水道工事で多く使われる言葉ですが、例文5のように水道以外の設置工事に使われることもあります。例文2にある「布設工事監督者」とは、水道施設の新設または増設もしくは改造の施工に関する技術上の監督業務を行う者のことです。
敷設の例文
この言葉がよく使われる場面としては、鉄道や導管などを広範囲に敷き設けることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「敷設工事」とは、広範囲または長距離にわたって設備を備える工事を意味します。例文1や例文2ではネットワークケーブルに、例文4では電線に、例文5ではソーラーパネルに対して敷設という言葉が使われ、布設に比べ、幅広いジャンルで使われています。
布設と敷設という言葉は、どちらも「ふせつ」と読み、広い範囲に設置することを意味する同音同義語の言葉です。どちらを使うか迷った場合、水道関係に使いたい時は「布設」を、道路や電気など水道以外のジャンルに使いたい時は「敷設」を用いれば間違いないでしょう。