似た意味を持つ「ひよる」と「いもる」と「チキる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ひよる」と「いもる」と「チキる」という言葉は、積極的に関わらない様子という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ひよる」と「いもる」と「チキる」の違い
「ひよる」と「いもる」と「チキる」の意味の違い
「ひよる」と「いもる」と「チキる」の違いを分かりやすく言うと、「ひよる」は消極的な様子を表現する時に使い、「いもる」は一点から動かない様子を表現する時に使い、「チキる」は思った言動ができない様子を表現する時に使うという違いです。
「ひよる」と「いもる」と「チキる」の使い方の違い
「ひよる」という言葉は、「立ち居振る舞いが苦手な人を見てひよった私は隠れてしまった」「ひよるのは悪くはないが判断は早い方が良い」などの使い方で、積極的に関わらないで傍観することを意味します。
「いもる」という言葉は、「初心者ゆえにあまり動かずにいたらいもってるなと怒られた」「いもるだけのプレイは楽しくない」などの使い方で、物怖じすることを意味します。
「チキる」という言葉は、「新しいことに挑戦する時はいつもチキる」「チキって少量しか頼まなかったことを後悔した」などの使い方で、怖気づき弱腰になることを意味します。
「ひよる」と「いもる」と「チキる」の使い分け方
「いもる」と「チキる」はどちらも怖気づくことを意味する言葉ですが、前者はゲーム内において一か所から動かずに敵を待ち伏せするプレイなどを表すこともあり、後者は怖気づいて理想の動きができないことを表します。
そのため、「いもる」は結果として良い結果を残せている場合にも使われますが、「チキる」は良い結果は残せていません。
一方、「ひよる」は怖気ずくという意味は含んでいませんが、上手く立ち回れないことを意味することはあります。
どの言葉も結果がどうであれ、他人に対して使う場合は誹謗中傷になりうる言葉であるため、使い方に注意が必要です。
「ひよる」の意味
「ひよる」とは
「ひよる」とは、形勢を伺うだけで積極的に関わらないで傍観することを意味しています。
「ひよる」の漢字表記
「ひよる」は「日和見」(読み方:ひよりみ)の「ひよ」に「る」を付けて動詞化した言葉です。そのため、漢字表記にすると「日和る」となります。
「ひよる」の由来
江戸時代に、天気を見て行動を決めることを日和見という言葉で表していましたが、政治的な場面で特定の考えを持つのではなく、形勢的に有利な方に味方する考えを日和見主義と呼ぶようになりました。
このことから日和見主義は批判的な言葉として使われ、今日若者の間で使われる「ひよる」も慎重過ぎる行動を批判する言葉として使われますが、第三者の立場に立つことを表す言葉としては使われません。
また、「ひよる」に怖気づくという意味があるため、「ひ弱」の「ひよ」と言われていますが、似ているだけで語源となったわけではありません。
「ひよる」の類語
「ひよる」の類語・類義語としては、自分にとって都合の良い方につこうとして、どちら付かずな態度で様子を見ることを意味する「洞ヶ峠を決め込む」(読み方:ほらがとうげをきめこむ)、都合次第で立場を変えることを意味する「内股膏薬」があります。
「いもる」の意味
「いもる」とは
「いもる」とは、物怖じすることを意味しています。
「いもる」の由来
「いもる」のいもは「芋」であり、上京した田舎者のようにおどおどした様子を意味する「芋っぽい」という言葉が由来とも言われていますが、関西弁では「いもる」が方言として使われています。
また、ゲームなどで一点から動かずに芋虫のように動くことから、敵を待ち伏せすることなども含めて「芋る」と使われているという説もあります。
ですが、かつての鹿児島県の名称である薩摩藩では、さつまいもを収穫する時に後退りする様子から、「芋を引く」という言葉で逃げ腰になることを意味しており、この言葉が「いもる」の語源と言われています。
テニス用語としての「いもる」
ちなみに、テニスにおいても「いもる」という言葉が使われており、審判が存在しない時にプレイヤー同士が下す正当ではない判断を「芋ジャッジ」や「いもる」と言います。
「いもる」の類語
「いもる」の類語・類義語としては、ちょっとしたことにも怖がったり尻込みしたりすることを意味する「臆病」、意気地がなく臆病なことを意味する「腰抜け」、気が小さくて臆病なことを意味する「小心」があります。
「チキる」の意味
「チキる」とは
「チキる」とは、怖気づき弱腰になることを意味しています。
「チキる」の由来
アメリカのスラングに「Chicken」(読み方:チキン)というものがあり、臆病者という意味で使われています。スペルは同じですが鶏肉という意味ではありません。
寒い時や恐怖を感じた時の鳥肌が立つ様子が、にわとりの羽を毟った状態と同じであることや、鳥類が周囲をキョロキョロ見回して自らの安寧を保とうとする様子が由来となっている言葉です。
本来のチキンというスラングには、男性の同性愛者や、若くて同性愛経験の未熟な男性の同性愛者という意味もありますが、日本で使われる「チキる」にそういった意味はありません。
「チキる」の類語
「チキる」の類語・類義語としては、気力が無くて役に立たないことを意味する「意気地なし」、ちょっとしたことにもすぐ泣くことを意味する「泣き味噌」があります。
「ひよる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、積極的に関わらないで傍観することを意味する時などが挙げられます。
政治的な場面で使う場合は、第三者が形勢を眺めてどちらの味方になるかを決めるというどっちつかずな様子を意味します。
「いもる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物怖じすることを意味する時などが挙げられます。
ゲームなどでは、物怖じするという意味よりも、一点から動かずに戦うことを意味する言葉として使われています。
「チキる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、怖気づき弱腰になることを意味する時などが挙げられます。
日本では若者の間でよく使われる言葉で、他人に対して使う時は批判的な意味となりますが、欧米で使う際は同性愛者に対して使う差別用語として扱われるため、注意が必要です。
「ひよる」と「いもる」と「チキる」どれを使うか迷った場合は、消極的な様子を表す場合は「ひよる」を、一点から動かない様子を表す場合は「いもる」を、思った言動ができない様子を表す場合は「チキる」を使うと覚えておけば間違いありません。