似た意味を持つ「通夜」(読み方:つや)と「夜伽」(読み方:よとぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「通夜」と「夜伽」という言葉は、どちらも「夜を徹して霊を慰めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
通夜と夜伽の違い
通夜と夜伽の意味の違い
通夜と夜伽の違いを分かりやすく言うと、通夜とは死者を葬る前の儀式の意味合いが強く、夜伽とは一晩中そばで過ごすことの意味合いが強いという違いです。
通夜と夜伽の使い方の違い
一つ目の通夜を使った分かりやすい例としては、「家族だけで通夜をすることにした」「お通夜の開始時間に少し遅れます」「お通夜での子どもの服装に悩む」「通夜振舞いは供養の一つです」などがあります。
二つ目の夜伽を使った分かりやすい例としては、「病に倒れた父の夜伽をする」「殿様が夜伽の相手を選ぶ」「お菓子に夜伽見舞いと書いたのしをつける」「私の故郷には夜伽の風習はありません」などがあります。
通夜と夜伽の使い分け方
通夜と夜伽という言葉は、どちらも遺族が夜通し死者のそばで過ごすことという共通する意味を持っていますが、意味や使い方には少し違いがあります。
通夜とは、死者を葬る前に遺族や知人が夜を徹して霊を慰めることを意味します。現在では、そのような仏教の儀式を指すことが多くなっており、この仏事は一般的に「お通夜」と呼ばれています。
夜伽とは、通夜に死者のかたわらで一晩中過ごすことを意味します。通夜が儀式的な意味合いが強いことに対して、夜伽は死者と過ごす行為の意味合いが強い言葉です。ほぼ同義の言葉ですが、儀式を指すのか、行為を指すのかで使い分ければ良いでしょう。
また、夜伽という言葉には「女が男の意に従って夜の共寝をすること」「夜寝ないで看病すること」の意味もあり、上記の「殿様が夜伽の相手を選ぶ」「父の夜伽をする」はそれぞれの意味で使われています。
通夜と夜伽の英語表記の違い
通夜を英語にすると「vigil」「wake」となり、例えば上記の「通夜をする」を英語にすると「hold a wake」となります。一方、夜伽を英語にすると「all‐night attendance」となり、例えば上記の「夜伽をする」を英語にすると「keep all‐night attendance」となります。
通夜の意味
通夜とは
通夜とは、死者を葬る前に家族や知人などが集まって終夜なきがらのそばで過ごし、冥福を祈ることを意味しています。
その他にも、神社や仏堂にこもって終夜祈願することの意味も持っています。
通夜の読み方
通夜の読み方は「つや」の他にも「つうや」がありますが、一般的には「つや」と読まれています。「つうや」と読む場合には、「夜通し、一晩中」の意味で使われることがほとんどです。
通夜の使い方
「香典は通夜と告別式のどちらに持参すべきか」「お通夜の流れやマナーを確認する」「通夜振る舞いの挨拶を考える」「時間がなかったため通夜は焼香のみで失礼した」などの文中で使われている通夜は、「葬儀の前に遺族や知人が集まって死者の冥福を祈ること」の意味で使われています。
一方、「病気平癒を祈願した通夜が行われました」「四国遍路にはたくさんの通夜堂があります」「今晩、神社で通夜が行われる」などの文中で使われている通夜は、「神社や仏堂にこもって終夜祈願すること」の意味で使われています。
通夜という言葉には二つの意味がありますが、現代においては、死者を葬る前に近親者が集まり遺体のそばで時間を過ごして供養する仏事を指します。昔は葬儀に至るまで夜通しで行われていましたが、現在は2時間程度の半通夜が一般化しています。
「仮通夜」と「本通夜」の意味
葬儀の日取りの関係などで通夜を2日間にわたって行う場合、1日目を「仮通夜」といいます。仮通夜は身内だけで通夜を行い、翌日の「本通夜」は弔問客を招いて通夜を行います。
「通夜振る舞い」の意味
上記の例文にある「通夜振る舞い」とは、通夜の後に行われる食事会のことです。通夜に来てくれた弔問客に料理やお酒を振る舞うことが、故人への供養になるとされています。この形式は地方によって異なり、茶菓で済ませることもあります。
通夜の対義語
通夜の対義語・反対語としては、記念や祝賀などのために行う催し物を意味する「祭り」、大がかりで華やかな行事を意味する「祭典」などがあります。
通夜の類語
通夜の類語・類義語としては、死者が亡くなった当日の夜に家族と親族で行う通夜を意味する「仮通夜」、通夜が2夜3夜に及ぶ場合の葬送の前夜の通夜を意味する「本通夜」、死者をほうむる儀式を意味する「葬儀」などがあります。
夜伽の意味
夜伽とは
夜伽とは、主君のため、病人のためなどに、夜寝ないで付き添うことを意味しています。
その他にも、「女が男の意に従って夜の共寝をすること」、「通夜に死者のかたわらで夜どおし過ごすこと」の意味も持っています。
夜伽の使い方
「王子の夜伽を命じられた」「病気の父を姉妹が交代で夜伽する」「祖母の夜伽のおかげで回復しました」「熱性痙攣が心配なので夜伽します」などの文中で使われている夜伽は、「夜寝ないで付き添うこと」の意味で使われています。
一方、「夜伽のあと懐妊すれば側室になる」の文中で使われている夜伽は「女が男に従って夜の共寝をすること」の意味で、「夜伽は葬儀のひとつです」「夜伽見舞いはこの地方の葬儀の風習です」の文中で使われている夜伽は「死者のかたわらで夜どおし過ごすこと」の意味で使われています。
夜伽とは、上記の例文にあるように複数の意味がありますが、全ての意味に共通するのは「一晩中、誰かのそばにいること」です。夜伽という言葉の「伽」は、病人の世話をすることや話し相手になることを表します。
「夜伽見舞い」の意味
上記の例文にある「夜伽見舞い」とは、一部の地域でお通夜に行われている風習です。もともとは、通夜で寝ずの番をする遺族に食事や菓子を差し入れることを指しましたが、最近ではお金を包んで渡すことが増えてきました。
夜伽の類語
夜伽の類語・類義語としては、病人に付き添って世話をすることを意味する「看病」、そばに付き添って世話をすることを意味する「介添え」、一つの寝床に一緒に寝ることを意味する「同衾」、寝所に侍ることを意味する「御伽」などがあります。
通夜の例文
この言葉がよく使われる場面としては、近親者が死者のそばで一晩をあかす仏事、神社や寺院に参籠して終夜祈願することを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある通夜は、近親者が死者のそばで一晩をあかす仏事の意味で用いられています。例文5の文中にある通夜は、参籠して終夜祈願することの意味で用いられています。
夜伽の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夜通し寝ないでそばに付き添うこと、女が男に従って共寝すること、通夜に死者のかたわらで夜どおし過ごすことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の夜伽は「夜通し寝ないでそばに付き添うこと」の意味で、例文2や例文3の夜伽は「女が男に従って共寝すること」の意味で、例文5の夜伽は「死者のかたわらで夜通し過ごすこと」の意味で使われています。
通夜と夜伽という言葉は、どちらも「夜を徹して霊を慰めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、死者のそばで一晩をあかす仏事を表現したい時は「通夜」を、死者のかたわらで夜通し過ごすことを表現したい時は「夜伽」を使うようにしましょう。