似た意味を持つ「漆黒」(読み方:しっこく)と「暗黒」(読み方:あんこく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「漆黒」と「暗黒」という言葉は、どちらも「黒いこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
漆黒と暗黒の違い
漆黒と暗黒の意味の違い
漆黒と暗黒の違いを分かりやすく言うと、漆黒とはつやっぽい黒色を表し、暗黒とは真っ暗な様子を表すという違いです。
漆黒と暗黒の使い方の違い
一つ目の漆黒を使った分かりやすい例としては、「エキゾチックな漆黒の髪に憧れます」「カラスは漆黒の翼を大きく広げ飛び立った」「オニキスには漆黒の輝きがある」「彼女の漆黒の瞳は印象的だ」などがあります。
二つ目の暗黒を使った分かりやすい例としては、「ヨーロッパ中世は暗黒時代と呼ばれています」「謎だらけの暗黒騎士団と恐れられている」「暗黒物質と暗黒エネルギーは謎が多い」「誰にでも人生の暗黒期があります」「暗黒の森の中に迷い込んでしまった」などがあります。
漆黒と暗黒の使い分け方
漆黒と暗黒という言葉は、どちらも黒いことを表しますが、意味や使い方には明確な違いがあります。
漆黒とは、黒色の一種であり、黒漆を塗った漆器のような、つやつやとした黒色を意味します。ただの黒色ではなく、光を反射する黒です。美しく高級感があるニュアンスを伴い、プラスイメージで使用されることが多くあります。
暗黒とは、光がささずに真っ暗であることを意味します。上記例文の「暗黒物質」とは、宇宙に存在する光を放出も反射もしない未知の物質のことです。また、暗黒という言葉は、「暗黒時代」「人生の暗黒期」のような使い方で、不安的な状況や、希望が持てない状態も意味します。
つまり、漆黒はつややかな黒色であり、暗黒は真っ暗な状態を意味します。さらに、漆黒は良いイメージがあることに対して、暗黒は悪いイメージが伴うことも、二つの言葉の違いになるでしょう。
漆黒と暗黒の英語表記の違い
漆黒を英語にすると「jet black」「onyx」「sable」となり、例えば上記の「漆黒の髪」を英語にすると「jet-black hair」となります。一方、暗黒を英語にすると「blackness」「dark」となり、例えば上記の「暗黒の歴史」を英語にすると「black history」となります。
漆黒の意味
漆黒とは
漆黒とは、黒うるしを塗ったように黒くてつやがあることを意味しています。
漆黒の読み方
漆黒の読み方は「しっこく」です。誤って「しちこく」「うるしぐろ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「漆黒の闇」「漆黒色」
漆黒の闇」「漆黒色」などが、漆黒を使った一般的な言い回しです。
漆黒の使い方
漆黒を使った分かりやすい例としては、「漆黒の闇にたくさんの星が瞬いている」「漆黒の闇夜でひっそりと佇む一軒家」「お土産に漆黒色の夫婦箸を買いました」「英語の先生は漆黒の目をしている」などがあります。
その他にも、「漆黒の瞳が魅力的な女性だ」「潤いのある美しい漆黒の髪になりたい」「古典的な漆黒のドレスを纏う」「漆黒の海に吸い込まれそうになる」「代々伝わる美濃漆黒釉の小瓶は家宝となっています」などがあります。
漆黒とは、色の名前の一つであり、黒うるしを塗った漆器のような深く艶のある黒色を意味します。「漆黒の闇」「漆黒の髪」「漆黒の瞳」のような使い方で、単なる「黒」とは異なった情緒的な表現として使用されています。
漆黒という言葉は、情緒的であるだけでなく、高級感や特別感を伴います。漆黒の由来となる漆器は、日本の伝統工芸の技法を集めて作られたものであり、漆ならではの美しい光沢と高級感が漂う風合いがあるためです。
漆黒の対義語
漆黒の対義語・反対語としては、まじりけのない白色やけがれがなく清らかなことを意味する「純白」などがあります。
漆黒の類語
漆黒の類語・類義語としては、黒くてつやがあることを意味する「黒光り」、非常に黒いさまや真っ黒なさまを意味する「黒々」、水にぬれた烏の羽のように黒くてつやつやした色を意味する「烏の濡れ羽色」などがあります。
暗黒の意味
暗黒とは
暗黒とは、真っ暗なこと、全く光のささないこと、暗闇を意味しています。
その他にも、「社会の秩序が乱れ、また、人間性や文化が極度に圧迫されて、悪事や不安がはびこること」「希望が持てない状態であること」「未知であること、たしかに存在するが正体が直接明らかになっていないこと」の意味も持っています。
暗黒の漢字
暗黒は「闇黒」とも書きますが、一般的には「暗黒」と表記されています。
表現方法は「暗黒王」「暗黒に帰れ」
「暗黒王」「暗黒に帰れ」などが、暗黒を使った一般的な言い回しです。
暗黒の使い方
「暗黒の中では何も見えない」「暗黒の宇宙は謎に包まれている」などの文中で使われている暗黒は「真っ暗なこと、暗闇」の意味で、「古代ギリシャの暗黒時代を研究する」「治安が悪い暗黒街で生まれ育った」などの文中で使われている暗黒は「悪事や不安がはびこること」の意味で使われています。
一方、「ベイスターズは暗黒期から抜け出した」「前途は暗黒である」などの文中で使われている暗黒は「希望が持てない状態であること」の意味で、「伝説の暗黒大陸を探し出す」「宇宙には無数の暗黒物質があります」などの文中で使われている暗黒は「未知であること」の意味で使われています。
暗黒とは、文字通り「暗く黒いこと」を表し、暗闇の世界を意味します。全く光がささないという状態から、社会的に悪事や不安がはびこる状況、心理的に希望が持てない様子や未知であること、という複数の意味を持つ言葉です。
「暗黒時代」の意味
上記の例文にある「暗黒時代」とは、戦乱や圧制などによって道徳や文化が衰え、社会の秩序が乱れた時代を意味します。また、西洋史では、文化の発達が妨げられたヨーロッパの中世を形容することに用いられています。
「暗黒微笑」の意味
暗黒を用いたネットスラングには「暗黒微笑」があります。暗黒微笑とは、影のある微笑みを意味し、微笑みながらも、その裏では何かを企んでいるようなネガティブな感情を含ませた笑顔を表現する言葉です。似た言葉に「黒笑」がありますが、黒笑よりも暗黒微笑の方が腹黒い印象を与えます。
暗黒の対義語
暗黒の対義語・反対語としては、明るい光や明るい見通しを意味する「光明」などがあります。
暗黒の類語
暗黒の類語・類義語としては、暗く陰気なさまを意味する「暗澹」、暗いさまを意味する「暗晦」、まったく見通しがたたず希望のないことを意味する「真っ暗」、暗いことや負の印象をもつさまを意味する「ダーク」などがあります。
漆黒の例文
この言葉がよく使われる場面としては、黒漆塗りの漆器のように、つややかな黒色を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、漆黒の慣用的な表現には「漆黒の闇」「漆黒の翼」「漆黒の髪」などがあります。例文1の「漆黒の闇」とは、単なる暗闇ではなく、つややかな暗闇の深さを意味します。
暗黒の例文
この言葉がよく使われる場面としては、真っ暗なこと、悪事や不安がはびこること、希望が持てない状態であること、未知であることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「暗黒星雲」とは、天の川のところどころ穴が空いたように星数が少ないところです。例文4の「暗黒期」とは、先行きの見通しがつかず、希望のもてない時期を意味しています。
漆黒と暗黒という言葉は、どちらも「黒いこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、つやっぽい黒色を表現したい時は「漆黒」を、真っ暗な様子を表現したい時は「暗黒」を使うようにしましょう。