似た意味を持つ「公務」(読み方:こうむ)と「職務」(読み方:しょくむ)と「業務」(読み方:ぎょうむ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「公務」と「職務」と「業務」という言葉は、仕事という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
公務と職務と業務の違い
公務と職務と業務の意味の違い
公務と職務と業務の違いを分かりやすく言うと、公務は国の仕事を表現する時に使い、職務は個々が担当する仕事を表現する時に使い、業務は部署やチームの仕事を表現する時に使うという違いです。
公務と職務と業務の使い方の違い
公務という言葉は、「公務のため出張しなければならない」「公務員と言えど職種は様々だ」などの使い方で、国や地方公共団体に関する仕事を意味します。
職務という言葉は、「複雑な職務はまだ一人でこなす自信がない」「面接で職務に関する質問をいくつかしたい」などの使い方で、企業に属する個々人が担当する仕事を意味します。
業務という言葉は、「飲食店などには業務用の冷凍庫が置かれている」「業務の改善を図るために課題の分析を行う」などの使い方で、企業の中の部署やチームなど、個々の集まりが担当する仕事を意味します。
公務と職務と業務の使い分け方
職務と業務はどちらも仕事の内容を意味しますが、担当する人が個人か複数人かで変わる言葉です。
そのため、一人で担当する仕事に対して業務という言葉を使うことはできず、チームや企業全体で取り組むような仕事に対して職務という言葉を使うことはできません。
また、公務は、一般企業で働く人に対して使うことはできず、国や地方公共団体などに関する仕事をしている人にしか使うことはできません。職務と業務は公務をしている人たちにも使うことができます。
これらが公務、職務、業務の明確な違いです。
公務の意味
公務とは
公務とは、国または公共団体の事務を意味しています。
表現方法は「公務を行う」「公務の仕事」「公務のため」
「公務を行う」「公務の仕事」「公務のため」などが、公務を使った一般的な言い回しです。
公務を使った言葉として、「公務員」「公務災害」があります。
「公務員」の意味
一つ目の「公務員」とは、国または地方公共団体の公務を担当する人を指す言葉で、国家公務員と地方公務員に大きく分けられ、さらに特別職と一般職という区分も存在します。
「公務災害」の意味
二つ目の「公務災害」とは、公務員がその業務に起因して負傷したり疾病にかかったりすることを指す言葉です。
例えば、勤務開始時間30分前に勤務地で転倒して負傷した場合や、勤務地で負傷したり疾病にかかった職員を救助する場合、勤務地内のマンホールの蓋が壊れていたためマンホールに落ちて負傷する場合など、公務災害として認められる事案は様々です。
公務の対義語
公務の対義語・反対語としては、こう出来ではない自分だけに関係した個人的な事柄を意味する「私事」(読み方:わたくしごと)があります。
公務の類語
公務の類語・類義語としては、公的な仕事を意味する「役務」(読み方:えきむ)、立法や司法を除いた内閣の権能に属する事務の総称を意味する「国務」、政治上の事務を意味する「政務」があります。
職務の意味
職務とは
職務とは、その人が担当している仕事を意味しています。
表現方法は「職務を全うする」「職務を果たす」「職務に努める」
「職務を全うする」「職務を果たす」「職務に努める」などが、職務を使った一般的な言い回しです。
職務を使った言葉として、「職務分析」「職務質問」があります。
「職務分析」の意味
一つ目の「職務分析」とは、特定の職務の遂行に必要とされる知識や経験などを明らかにし、職務の内容を明確にするための分析を意味する言葉です。企業によっては「職務調査」としているところもあります。
能力や責任、困難度を明らかにすることによって、評価制度の改善や労働時間削減などのための業務見直しが行われることとなります。
「職務質問」の意味
二つ目の「職務質問」とは、警察官が挙動の不審な人や他人の犯罪事実を知っているだろう者を呼び止めて質問することを指す言葉で、職質とも言われる言葉です。
職務の類語
職務の類語・類義語としては、その職に就いている者がしなければならない仕事を意味する「職分」、担当している仕事を意味する「職掌」、果たさなければならない務めを意味する「責務」、任務や役目を意味する「役儀」などがあります。
業務の意味
業務とは
業務とは、職業や事業などに関して継続して行う仕事を意味しています。
表現方法は「業務をこなす」「業務にあたる」「業務を遂行する」
「業務をこなす」「業務にあたる」「業務を遂行する」などが、業務を使った一般的な言い回しです。
業務を使った言葉として、「業務管理」「業務提携」があります。
「業務管理」の意味
一つ目の「業務管理」とは、企業経営における特定業務が効果的かつ能力的に遂行されることを確保するための管理活動を意味する言葉です。
また、生産効率を高めるために行われる生産に関する予測や計画などの管理活動も意味します。
「業務提携」の意味
二つ目の「業務提携」とは、複数の企業が業務上の協力関係を築くことを意味する言葉です。
これによって、お互いが資金、技術、人材などの経営資源を提供しあうことができ、競争力の強化が期待できるとされています。
業務の対義語
業務の対義語・反対語としては、個人的な物事である様子を意味する「プライベート」があります。
業務の類語
業務の類語・類義語としては、実際の具体的な仕事を意味する「実務」、細々した色々の用務を意味する「雑務」、主な業務以外の種々雑多な仕事を意味する「雑役」、なすべきものとして割り当てられた仕事や学業を意味する「課業」などがあります。
公務の例文
この言葉がよく使われる場面としては、国や地方公共団体の仕事を意味する時などが挙げられます。
例文2と例文3の公務という言葉は、職務や業務という言葉に置き換えて使うことができますが、例文1は自治体という言葉が文章内にあるため、置き換えて使うことはできません。
職務の例文
この言葉がよく使われる場面としては、個々で担当する仕事を意味する時などが挙げられます。
例文1の「職務経歴書」とは、これまでにどのような職務をこなしてきたか、自分の得意なこと、技術は何か、また自己PRを書く文書で、転職活動の際に使われます。
業務の例文
この言葉がよく使われる場面としては、部署やチームなど企業の仕事の一部を意味する時などが挙げられます。
どの業務という言葉も複数人で行う仕事を意味しているため、職務に置き換えて使うことはできません。
公務と職務と業務どれを使うか迷った場合は、国や地方公共団体の仕事を表す場合は「公務」を、個々の仕事を表す場合は「職務」を、部署やチームの仕事を表す場合は「業務」を使うと覚えておけば間違いありません。