似た意味を持つ「侘しい」(読み方:わびしい)と「寂しい」(読み方:さびしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「侘しい」と「寂しい」という言葉は、どちらも心が満たされないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「侘しい」と「寂しい」の違い
「侘しい」と「寂しい」の意味の違い
「侘しい」と「寂しい」の違いを分かりやすく言うと、「侘しい」とはものの様子に対して使うことが多く、「寂しい」とは感情に対して使うことが多いという違いです。
「侘しい」と「寂しい」の使い方の違い
一つ目の「侘しい」を使った分かりやすい例としては、「一人侘しく朝食を取りました」「侘しい下宿生活にも慣れてきた」「私の祖父は侘しい山奥に住んでいます」「侘しい里の秋景色」などがあります。
二つ目の「寂しい」を使った分かりやすい例としては、「彼女が居なくなって寂しい」「いくら寂しいと言っても彼は気持ちを分かってくれない」「寂しいと思ったことは一度もありません」「君が居なくなるととても寂しいです」などがあります。
「侘しい」と「寂しい」の使い分け方
「侘しい」と「寂しい」は非常に似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
「侘しい」は上記の例文の「私の祖父は侘しい山奥に住んでいます」「侘しい里の秋景色」などのように、ものの様子に対して使うことが多いです。
一方、「寂しい」は上記の例文の「彼女が居なくなって寂しい」「寂しいと思ったことは一度もありません」などのように、人の感情に対して使うことが多いです。
あくまで多いだけなので、「侘しい」を人の感情に対して使うこともありますし、「寂しい」をものの様子に対して使うこともあります。
また、「寂しい」は孤独感で独りぼっちはつまらないという気持ちで使い、「侘しい」は自分の欲望を満たす方法がなくてつまらないという気持ちで使うことがあるのも違いの一つです。
「侘しい」と「寂しい」の英語表記の違い
「侘しい」を英語にすると「dreary」「disconsolate」「wretched」「comfortless」「bleak」「lonely」となり、例えば上記の「侘しい里の秋景色」を英語にすると「A dreary autumn scene in the country」となります。
一方、「寂しい」を英語にすると「lonely」「sad」となり、例えば上記の「君が居なくなるととても寂しいです」を英語にすると「I’m going to be very lonely when you’re gone」となります。
「侘しい」の意味
「侘しい」とは
「侘しい」とは、物静かで寂しいことを意味しています。その他にも、心が慰められないことやみすぼらしくて哀れなことの意味も持っています。
「侘しい」の使い方
「侘しい」を使った分かりやすい例としては、「一人侘しく昼食を取りました」「侘しい一人暮らしを送っている」「目の前に侘しい風景が広がっていた」「転職するまでは侘しい生活を送っていた」「宝くじが当たったので侘しい暮らしとお別れです」などがあります。
「侘しい」は心細く頼りなかったり、みじめでやるせない時に使う言葉です。また、「ここは侘しい村です」「彼は侘しい身なりをしている」などのようにみすぼらしいという意味でも使います。
「侘しい」はマイナスのイメージだけはなく、プラスのイメージでも使うことができる言葉です。
表現方法は「侘しい食事」「侘しい村々」「侘しい故郷」
「侘しい食事」「侘しい村々」「侘しい故郷」「侘しい生活」などが、「侘しい」を使った一般的な言い回しになります。
「侘しい」の類語
「侘しい」の類語・類義語としては、なんとなく寂しいことを意味する「物寂しい」、外見が貧弱であることを意味する「みすぼらしい」、 気持ちがふさいで晴れないことを意味する「憂鬱」、気分が晴々しないことを意味する「重苦しい」などがあります。
「寂しい」の意味
「寂しい」とは
「寂しい」とは、心が満たされず物足りない気持ちであることを意味しています。その他にも、仲間や相手になる人がいなくて心細いことや、人の気配がなくてひっそりとしていることの意味も持っています。
「寂しい」の使い方
「寂しい」を使った分かりやすい例としては、「彼がいなくなって寂しい」「一人寂しく暮らしています」「大きな出費続いでいたので懐が少し寂しい」「寂しい時は誰かに愛されていると実感したい」「口が寂しいのでつい間食をしてしまう」などがあります。
「寂しい」は満たされない気持ちであったり、ひっそりとして心細い時に使います。特に恋愛シーンにおいて頻繁に使われている言葉です。
また、物足りないの意味で「口が寂しい」や「懐が寂しい」という言い回しはよく使われています。
「寂しい」は「淋しい」と漢字で表記することもできます。しかし、あまり一般的ではないため「寂しい」の方を使うといいでしょう。
「寂しい」の読み方
「寂しい」は「さびしい」の音変化として「さみしい」と読むこともあります。近世以降両方の形で用いられていましたが、現在では「さびしい」の方を使うのが一般的になっています。
「寂しい」の対義語
「寂しい」の対義語・反対語としては、人などが多く集まって活気のあることを意味する「賑やか」があります。
「寂しい」の類語
「寂しい」の類語・類義語としては、なんとなく寂しく思うことを意味する「心寂しい」、思うことを語ったり心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいことを意味する「孤独」、なんとなく寂しく感じられることを意味する「薄寂しい」などがあります。
「侘しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物静かで寂しいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、心が慰められないことやみすぼらしくて哀れなことを表現したい時にも使います。
例文1や例文2は物静かで寂しいことの意味で使っています。また、例文3はみすぼらしくて哀れなことの意味で使っており、例文4と例文5は心が慰められないことの意味で使っています。
「寂しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心が満たされず物足りない気持ちであることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、仲間や相手になる人がいなくて心細いことや、人の気配がなくてひっそりとしていることを表現したい時にも使います。
例文1や例文2は心が満たされず物足りない気持ちであることの意味で使っています。また、例文3や例文4は仲間や相手になる人がいなくて心細いことの意味で使っており、例文5は人の気配がなくてひっそりとしていることの意味で使っています。
「侘しい」と「寂しい」という言葉は、どちらも心が満たされていないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ものの様子について表現したい時は「侘しい」を、人の感情についてを表現したい時は「寂しい」を使うようにしましょう。