似た意味を持つ「一般常識」(読み方:いっぱんじょうしき)と「一般教養」(読み方:いっぱんきょうよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「一般常識」と「一般教養」という言葉は、どちらも「社会人として持つべき知識」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
一般常識と一般教養の違い
一般常識と一般教養の意味の違い
一般常識と一般教養の違いを分かりやすく言うと、一般常識とは人々が共通して持っている知識、一般教養とは知識を通して得られた心の豊かさや理解力という違いです。
一般常識と一般教養の使い方の違い
一つ目の一般常識を使った分かりやすい例としては、「大人であれば一般常識を持っているはずだろう」「社会問題は一般常識として捉える」「時事問題や一般常識を効率よく学習しよう」「ニュースをみて一般常識を深める」などがあります。
二つ目の一般教養を使った分かりやすい例としては、「単位が取りやすい一般教養の科目を教えてください」「小学生向けの一般教養クイズを用意しました」「就職試験によく出るという一般教養の問題集を注文しました」などがあります。
一般常識と一般教養の使い分け方
一般常識と一般教養という言葉は、どちらも社会人として持つべき知識や見識を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
一般常識とは、社会の中で人々に広く承認され、当然もっているはずの知識や共通認識を意味します。そのため、一般常識には生活をする上で必要な知識や、人間関係を円滑にするようなマナーなども含まれます。例えば、目上の人には敬語を使う、自転車は左側を走行する、なども一般常識の一つです。
一般教養とは、一般的な教養を意味し、社会人として持つべき、学問や知識を通して得られる心の豊かさや物事への理解力を表します。例えば、自転車は自動車から見えやすいように左側通行をすべきであり、万が一接触してもダメージが少ないという知識などを指します。
つまり、一般常識とは世間一般の人々が共通に持っている知識であり、一般教養とは学問や知識を通して得られた心の豊かさを意味します。二つの言葉を比べると、一般常識よりも一般教養の方が、次元の高い概念だと言えるでしょう。
一般常識と一般教養の英語表記の違い
一般常識を英語にすると「general common sense」「common knowledge」「common courtesy」となり、例えば上記の「一般常識を持っている」を英語にすると「have general common sense」となります。
一方、一般教養を英語にすると「general education」「liberal education」となり、例えば上記の「一般教養の科目」を英語にすると「general education subjects」となります。
一般常識の意味
一般常識とは
一般常識とは、社会において一般的とされる常識を意味しています。
一般常識の使い方
一般常識を使った分かりやすい例としては、「簡単な一般常識クイズを出題します」「一般常識問題の数学は難しく感じます」「就職試験のために一般常識の問題集を購入する」「一般常識問題集を無料で配布しています」などがあります。
その他にも、「ビジネスマンとして一般常識やマナーは欠かせません」「英語力と一般常識とでは、どちらを重視しますか」「国語の一般常識問題には自信があります」「覚えておきたい一般常識を一覧にする」などがあります。
一般常識の「一般」は広く全体に共通して認められ行き渡っていること、「常識」は一般の社会人が共通にもつべき普通の知識や考え方のことです。一般常識とは、社会人として持つべき知識や判断力を意味します。
表現方法は「一般常識テスト」
就職試験における「一般常識テスト」とは、応募者の基礎的な教養や社会常識を測る目的で行われるものです。具体的には、社会や経済、歴史、地理、時事問題など幅広い知識を問う問題が多く出題されます。
一般常識の対義語
一般常識の対義語・反対語としては、考え方や行動などが世間一般のものとかけ離れていることを意味する「常識外れ」、経験が浅く世の中の事情にうといことを意味する「世間知らず」などがあります。
一般常識の類語
一般常識の類語・類義語としては、社会一般に通用している常識または見解を意味する「社会通念」、物事の健全な考え方や健全な判断力を意味する「良識」、常識や良識を意味する「コモンセンス」などがあります。
一般教養の意味
一般教養とは
一般教養とは、専門的教養や職業的教養に対して、広く一般に必要とされる教養を意味しています。
その他にも、「大学で全ての学生に課せられる専門教科以外の人文科学・社会科学・自然科学に関する基礎教養」の意味も持っています。
一般教養の使い方
「一般教養を高めたくて本や新聞を読むようにしています」「一般教養をクイズ感覚で学べるアプリをダウンロードする」「一般教養の問題は過去問を中心に勉強しています」などの文中で使われている一般教養は、「広く一般に必要とされる教養」の意味で使われています。
一方、「一部の一般教養科目は英語で受講します」「大学の授業に一般教養の科目なんていらないと思います」などの文中で使われている一般教養は、「大学で全ての学生に課せられる専門教科以外の基礎教養」の意味で使われています。
一般教養とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。一般教養の「教養」は、教育や勉学などによって蓄えられた能力、あるいは文化に関する広い知識を意味する言葉です。
大学で学ぶ一般教養
大学で学ぶ一般教養とは、俗に「般教」(読み方:ぱんきょう)と呼ばれ、学生に広い知識を身に付けさせるとともに、ものを見る目や考える力を養うことを目的に実施されるものです。人文科学、社会科学、自然科学の3系列を柱に構成されています。
一般教養の対義語
一般教養の対義語・反対語としては、専門家が持っている知識を意味する「専門知」などがあります。
一般教養の類語
一般教養の類語・類義語としては、社会のすべての人々に共通な教養を与えようとする教育を意味する「一般教育」、ふだんの練習や学習によって身につけた技能や知識を意味する「素養」、文化や教養を意味する「カルチャー」、一般教養を意味する「リベラルアーツ」などがあります。
一般常識の例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会生活を送る上で必要とされる基本的な知識や教養を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、一般常識という言葉は、日常会話からビジネスシーンまで幅広い場面で用いられています。
一般教養の例文
この言葉がよく使われる場面としては、特定の職業や専門の枠を超えて人間として社会人としてもつべき知識や技能、大学で課せられる専門教科以外の基礎教養を表現したい時などが挙げられます。
例文1から4にある一般教養は「社会人としてもつべき知識や技能」の意味で、例文5にある一般教養は「大学で課せられる専門教科以外の基礎教養」の意味で用いられています。
一般常識と一般教養という言葉は、どちらも「知識や見識」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、社会人が共通に持っている知識を表現したい時は「一般常識」を、知識を通して得られる物事の理解力や心の豊かさを表現したい時は「一般教養」を使うようにしましょう。