似た意味を持つ「事案」(読み方:じあん)と「案件」(読み方:あんけん)と「事件」(読み方:じけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「事案」と「案件」と「事件」という言葉は、問題となる出来事という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
事案と案件と事件の違い
事案と案件と事件の意味の違い
事案と案件と事件の違いを分かりやすく言うと、事案は問題になっている事柄を表現する時に使い、案件は問題になっていて解決が求められる事柄を表現する時に使い、事件は話題性があり広く知られる事柄を表現する時に使うという違いです。
事案と案件と事件の使い方の違い
事案という言葉は、「いじめ事案に発展しそうな会話で不安だ」「事案の発生により製品の回収が行われることとなった」などの使い方で、問題になっている事柄を意味します。
案件という言葉は、「案件の進捗を管理システムに打ち込む」「募集案件をウェブ上に貼りだす」などの使い方で、解決するべき問題になっている事柄を意味します。
事件という言葉は、「事件事故の発生率が低い都市の対策を倣うべきだ」「事件の捜査協力と言われ話を聞かれることとなった」などの使い方で、話題になっている事柄を意味します。
事案と案件と事件の使い分け方
事案と案件はどちらも問題になっている事柄を意味する言葉ですが、後者の案件は解決が求められることを重視している事柄です。そのため、今日では仕事という言葉の代わりとしても使われています。
また、事件も問題となっている事柄を意味しますが、話題性があり人々の関心を引くような事柄を指します。テレビで報道されているような事件だけではなく、日常生活での小さな出来事でも関心を引くものであれば事件とされています。
これが事案、案件、事件の明確な違いです。
事案の意味
事案とは
事案とは、問題になっている事柄を意味しています。
表現方法は「事案が発生」「事案を異にする」「事案がありました」
「事案が発生」「事案を異にする」「事案がありました」などが、事案を使った一般的な言い回しです。
「声かけ事案」の意味
事案を使った言葉として、「声かけ事案」があります。これは、街中で見知らぬ人から声を掛けられた子供や女性が、その言葉つきや振る舞いから不安を感じるような事例を指す言葉です。
不審者が声を掛けるだけではなく、近づいたり、触れたりすることも事案に含まれ、犯罪事件ほどではないものの、誘拐や性犯罪に発展しそうな、もしくは発展してもおかしくない場合に使われますが、この場合は「前兆事案」と呼ばれます。
付きまとい行為であったり、待ち伏せ、のぞき見、盗撮などがまとめて前兆事案と呼ばれ、前兆事案としての被害報告は各自治体でも数百から数千件ほどとなっています。
また、そういった声掛けが起きた際にインターネット上では「事案が発生」「事案だ」などと言われていますが、親しき中で行う会話内での冗談であったりすることもあるため、事案だと判断する側のリテラシーも重要になっています。
事案の類語
事案の類語・類義語としては、困った事柄や厄介な事件を意味する「問題」、普段は見られない異常な現象や出来事を意味する「異変」、天変地異や突発的な騒動などの非常の出来事を意味する「事変」があります。
案件の意味
案件とは
案件とは、問題となっていて審議しなければならない事柄を意味しています。
今日では、単純な仕事を指したり、動画配信者らに企業などが宣伝したい商品やサービスを宣伝してもらうような依頼を指すようにもなりました。後者はもともと企業案件という呼称が付いていましたが、案件だけでも伝わるようになりました。
表現方法は「案件を進める」「優良案件」「ブチギレ案件」
「案件を進める」「優良案件」「ブチギレ案件」などが、案件を使った一般的な言い回しです。
「案件化」の意味
案件を使った言葉として、「案件化」があります。これは、打ち合わせを行って、改めて顧客の課題や状況から自分たちの製品の中でどの製品を、どれほどの数、いつ販売できそうかを明確にすることを指す言葉です。
相手はまだ客になってくれる見込みがありそうなだけで決定ではありません。そのため、自社製品のメリットや他社との差別化などの売り込みを行い、商談が成立した場合案件化という流れになります。
案件の類語
案件の類語・類義語としては、争いの的になっている主要点を意味する「争点」、議論の中心となる問題点を意味する「論点」、解決しなければならない問題を意味する「課題」、前例となる事実を意味する「事例」などがあります。
事件の意味
事件とは
事件とは、世間が話題にするような出来事を意味しています。その他にも、法令上で扱われる事柄や訴訟事件の略語としても使われます。
表現方法は「事件が起きる」「事件が起こる」「事件が収まる」
「事件が起きる」「事件が起こる」「事件が収まる」などが、事件を使った一般的な言い回しです。
事件を使った言葉として、「事件記録符号」「事件簿」があります。
「事件記録符号」の意味
一つ目の「事件記録符号」とは、日本の裁判所が受け付けた事件の種類を識別するために事件に付ける漢字、カタカナやひらがな1文字か2文字によって構成される符号です。カタカナは民事事件で、ひらがなは刑事事件で使われるなどの違いがあります。
例えば、行政訴訟の場合には「行ウ」のように行政の行の字が使われ、家庭裁判所が担当する少年保護事件では「少」の字が使われます。また、どれも符号の後ろに通し番号が付けられているため、符号と事件番号が分かれば事件を特定することができます。
「事件簿」の意味
二つ目の「事件簿」とは、様々な事件の内容や顛末などを記録した書類やファイルなどを指す言葉です。今日では事件簿という言葉ではなく資料などの言葉が使われており、事件簿という言葉は文学やアニメなどの作品タイトルに付けられています。
事件の類語
事件の類語・類義語としては、社会や身の回りに起こる事柄を意味する「出来事」、その時々の社会的な出来事を意味する「時事」、多人数が騒ぎ立てて秩序が乱れるような事件を意味する「騒動」などがあります。
事案の例文
この言葉がよく使われる場面としては、問題になっている事柄を意味する時などが挙げられます。
例文1の「声掛け事案」とは、見知らぬ人から声を掛けられた子供や女性が不安を感じる事例を指す言葉です。
案件の例文
この言葉がよく使われる場面としては、解決が求められる事柄を意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2のようにビジネス間で使われることが多い言葉ですが、例文3のように日常生活のちょっとした出来事にも使われることがあります。
事件の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世間が話題にするような、問題になっている事柄を意味する時などが挙げられます。
日常生活における小さな出来事から、刑事裁判に発展するような大きな出来事まで、様々な事柄に対して事件という言葉を使うことができます。
事案と案件と事件どれを使うか迷った場合は、問題になっている事柄を表す場合は「事案」を、解決が求められる事柄を表す場合は「案件」を、事件は話題性があり広く知られる事柄を表す場合は「事件」を使うと覚えておけば間違いありません。