【琴線に触れる】と【怒りを買う】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

紛らわしい意味を持つ「琴線に触れる」(読み方:きんせんにふれる)と「怒りを買う」(読み方:いかりをかう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「琴線に触れる」と「怒りを買う」という言葉は、意味が大きく異なりますので、ご注意下さい。




「琴線に触れる」と「怒りを買う」の違い

「琴線に触れる」と「怒りを買う」の意味の違い

「琴線に触れる」と「怒りを買う」の違いを分かりやすく言うと、「琴線に触れる」とは良いものや素晴らしいものに触れて感動すること、「怒りを買う」とは相手を怒らせることという違いです。

「琴線に触れる」と「怒りを買う」の使い方の違い

一つ目の「琴線に触れる」を使った分かりやすい例としては、「その映画は私の心の琴線に触れた」「彼の歌は多くの人の琴線に触れるだろう」「就活中に母親から言われた一言が琴線に触れた」「この絵画は心の琴線に触れる作品です」などがあります。

二つ目の「怒りを買う」を使った分かりやすい例としては、「世間の怒りを買ってしまった」「彼の行動はさらに怒りを買うだろう」「言葉選びを間違って怒りを買う人も多い」「父親の怒りを買う」「観客の怒りを買う」などがあります。

「琴線に触れる」は、良いものや素晴らしいものに触れて感動することというプラスのイメージを持つ言葉で、「怒りを買う」は、相手を怒らせることというマイナスのイメージを持つ言葉になります。

「琴線に触れる」に怒りの感情はない

「琴線に触れる」と「怒りを買う」は全く違う意味を持つ言葉なのですが、「琴線に触れる」を「相手を怒らせること」の意味で誤用してる人が多い傾向があります。

文化庁が発表した国語に関する世論調査によると、38.8%の人は正しい使い方である「良いものや素晴らしいものに触れて感動すること」の意味で使っているのですが、31.2%の人が間違った使い方である「相手を怒らせること」の意味で使っていると結果が出ています。

「琴線に触れる」を間違った意味で使ってしまう原因としては、目上の人を激しく怒らせることを意味する「逆鱗に触れる」と、言葉の成り立ちが非常に似ているためです。

「琴線に触れる」と「怒りを買う」は上記の通り、全く意味の違う言葉なので正しい使い方を覚えるようにしましょう。

「琴線に触れる」と「怒りを買う」の英語表記の違い

「琴線に触れる」を英語にすると「touch the heartstrings of」「Touch my heart」「impressed」となり、例えば上記の「その映画は私の心の琴線に触れた」を英語にすると「That movie touched the heartstrings of me」となります。

一方、「怒りを買う」を英語にすると「offend」「incur the wrath of」となり、例えば上記の「観客の怒りを買う」を英語にすると「Offend the audience」となります。

「琴線に触れる」の意味

「琴線に触れる」とは

「琴線に触れる」とは、良いものや素晴らしいものに触れて感動することを意味しています。

「琴線に触れる」の使い方

「琴線に触れる」を使った分かりやすい例としては、「この曲は多くの人々の琴線に触れるだろう」「彼女の描いた絵は心の琴線に触れる」「この映画のセリフは琴線に触れる」「彼の心の籠った一言に会場中が琴線に触れた」などがあります。

「琴線に触れる」は良いものや素晴らしいものに触れて感動することを意味しており、映画、絵画、音楽、人の言動や行動など、様々な物事に対して使うことができます。また、プラスのイメージでしか使いません。

「琴線に触れる」の由来

「琴線に触れる」は中国が由来の言葉になります。「琴線に触れる」といった心の奥底の心情を「琴の糸」に例えて比喩的に表現した言葉で、古代中国である「周」の時代から使われています。

「琴線に触れる」の読み方

「琴線」は「ことせん」ではなく「きんせん」と読むと覚えておきましょう。

「琴線に触れる」の類語

「琴線に触れる」の類語・類義語としては、強く心に感じることを意味する「痛感」、強く感動させることを意味する「心を打つ」、しみじみと深く感じることを意味する「身に染みる」、強く感動して心に残ることを意味する「心に響く」などがあります。

「琴線に触れる」の触の字を使った別の言葉としては、心を通わせ合うことを意味する「触れ合い」、親しく交わることを意味する「触れ合う」、物事の雰囲気からそれとなく受け取る感じのことを意味する「感触」などがあります。

「怒りを買う」の意味

「怒りを買う」とは

「怒りを買う」とは、相手を怒らせることを意味しています。

「怒りを買う」の使い方

「怒りを買う」を使った分かりやすい例としては、「彼女の激しい怒りを買ってしまった」「この発言は世間の怒りを買うだろう」「彼のやる気のないプレーは監督の怒り買った」「適当な謝罪はさらに相手の怒りを買うことになります」などがあります。

「怒りを買う」は相手を怒らせることや、自分の行動や言動により相手が怒ってしまう様子などを意味しており、マイナスなイメージを持つ言葉になります。

「怒りを買う」の類語

「怒りを買う」の類語・類義語としては、怒るように仕向けることを意味する「怒らす」(読み方:いからす)、相手の存在や言動に対して反抗する気持ちを意味する「反感を買う」、目上の人を激しく怒らせることを意味する「逆鱗に触れる」などがあります。

「怒りを買う」の怒の字を使った別の言葉としては、少しのことでもすぐ怒ることを意味する「怒りん坊」、ちょっとしたことで腹を立てやすい性質のことを意味する「怒りっぽい」、怒った気持ちを意味する「怒気」、怒って発する大声のことを意味する「怒声」などがあります。

「琴線に触れる」の例文

1.今日読んだ小説は、心の琴線に触れるほど素晴らしかった。
2.このアニメは、どんな人でも必ず琴線に触れると言われている伝説の作品です。
3.彼の演説は琴線に触れる言葉ばかりで、とても素晴らしかった。
4.受験に失敗して落ち込んで時に、たまたま聞いた曲が琴線に触れて、また頑張ろうと思うようになった。
5.就活中に父親から言われた一言が心の琴線に触れた。
6.最後の卒業生から届いた年賀状が琴線に触れる内容で、教師をやってきて良かったと心から思った。
7.彼女の言葉は、私の琴線に触れるメッセージであり、深い感銘を与えました。
8.卒業生代表の心の籠った一言に会場中が琴線に触れて、父兄の中には涙を流す者もいました。
9.彼女の演技は、私の感性に響き、心の琴線に触れる素晴らしいパフォーマンスでした。
10.その映画は、不景気など暗い世相に苦しんでいる人々の心の琴線に触れて大ヒットしました。

この言葉がよく使われる場面としては、良いものや素晴らしいものに触れて感動することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、感動することであれば、芸術や言動など様々な物事に対して使うことができます。

「怒りを買う」の例文

1.国会で不用意な発言をしたため、世間の怒りを買い辞職に追い込まれた。
2.彼はマナーがとても悪いので、周りの人達の怒りを買うことも多い。
3.彼女を馬鹿にしていたら、怒りを買ったのかビンタされた。
4.彼はトレーニング中の態度に問題があるとして監督のから怒りを買ったため、次の試合はベンチ外になった。
5.飲み会で部長がバツイチであることをみんなに言いふらしてしまい、怒りを買うことになった。
6.彼の発言は、周りの人たちの怒りを買い、会社で孤立してしまった。
7.試合中の彼のやる気のないプレーは監督の怒り買い、二軍へ降格となってしまった。
8.謝ればいいんだろ?と開き直った謝罪をすれば、さらに相手の怒りを買うことになります。
9.あの社長は、社員に無理な仕事を押し付けたため、怒りを買って、ストライキに発展してしまった。
10.彼は飲み会で失言をして、上司から怒りを買い、後日謝罪することになった。

この言葉がよく使われる場面としては、相手を怒らせることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、相手を怒らせることを意味しているため、マイナスのイメージでしか使わない言葉になります。

「琴線に触れる」と「怒りを買う」は全く違う意味を持つ言葉なので、間違って使わないように注意しましょう。「琴線に触れるは」は「良いものや素晴らしいものに触れて感動すること」を意味しており、「怒りを買う」は「相手を怒らせること」を意味しています。

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