【師事】と【私淑】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「師事」(読み方:しじ)と「私淑」(読み方:ししゅく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「師事」と「私淑」という言葉は、どちらも尊敬する師から学ぶことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。



師事と私淑の違い

師事と私淑の意味の違い

師事と私淑の違いを分かりやすく言うと、師事とは直接的に学ぶことを表し、私淑とは間接的に学ぶことを表すという違いです。

師事と私淑の使い方の違い

一つ目の師事を使った分かりやすい例としては、「家業の酒造りは父に師事した」「与謝野晶子は鉄幹に短歌を師事した」「在学中にテレビでも活躍する教授に師事しました」「最も師事したい演奏家の一人です」などがあります。

二つ目の私淑を使った分かりやすい例としては、「彼はリンカーンを私淑して民主主義を推進した」「文豪の谷崎潤一郎に私淑している」「かねてよりブラームスの音楽に私淑する」「個人的に私淑するブロガーさんがいる」などがあります。

師事と私淑の使い分け方

師事と私淑という言葉は、どちらも「〇〇氏を師事している」「〇〇氏を私淑している」と表現し、尊敬する師や先生から学ぶことを意味しますが、二つの言葉には違いがあります。

師事とは、尊敬する師から教えを受けることを意味し、誰から教わるかが重要な音楽や芸術分野で使われる表現です。ピアニストのプロフィールには、卒業学校の次に、「〇〇氏に師事」と書かれていることが多くあります。

一方、私淑とは、直接に教えは受けないが、尊敬する人をひそかに師と仰ぐことを意味します。尊敬する故人や偉人などの著者や作品を通して学ぶことを表します。また、なかなか会えない有名人や匿名のネット住民に対しても使うことができます。

師事は直接的に学ぶこと、私淑は間接的に学ぶこと、と覚えておきましょう。

師事と私淑の英語表記の違い

師事を英語にすると「studying under」「looking up to」となり、例えば上記の「父に師事した」を英語にすると「studied under my father」となります。

一方、私淑を英語にすると「looking up to a person as one’s own master」「to take pattern by」「」となり、例えば上記の「リンカーンを私淑して」を英語にすると「to take pattern by Lincoln」となります。

師事の意味

師事とは

師事とは、師として尊敬し、教えを受けることを意味しています。

表現方法は「師事を乞う」「師事された」「師事している先生」

「師事を乞う」「師事された」「師事している先生」などが、師事を使った一般的な言い回しです。

師事の使い方

師事を使った分かりやすい例としては、「著名な彫刻家に師事する」「創業者の彼は起業家たちから師事されるようになった」特殊な画法の師事を受ける」「漢方界の第一者である先生に師事したい」「などがあります。

その他にも、「ウイーン留学中、〇〇氏に師事」「憧れのピアニストに師事することができた」「茶道で師事している先生の還暦のお祝いです」「銀座の人気占い師に師事しタロット占いを始めた」などがあります。

師事という言葉の「師」とは人を教え導く人や、専門の技術をもつ人を表し、「事」とは仕えることを表します。師事とは、師として仕えることや、ある人を先生として尊敬し、その教えを受けることを意味する言葉です。尊敬する先生から習う、という意味合いがあることに注意しましょう。

師事は履歴書やプロフィールで使われる

師事という言葉は、履歴書やプロフィールにも用いられます。特に音楽などの芸術分野では、誰から教えを受けたがその人に影響するためです。「2年間〇〇氏に師事」などと記入します。

「師事を仰ぐ」は誤り

師事という言葉を用いた誤った言い回しには「師事を仰ぐ」があります。正しくは、「指示を仰ぐ」であり、目上の方に何らかの指導を受けることを意味します。「仰ぐ」には、教えや援助などを求める意味がありますが、「師事を仰ぐ」という表現はありません。

師事の対義語

師事の対義語・反対語としては、知識や方法などを教え示すことを意味する「教示」、模範を見せて教えることを意味する「示し」、学問や技術などの初歩を教えることを意味する「手解き」などがあります。

師事の類語

師事の類語・類義語としては、師について弟子となることを意味する「入門」、弟子になることや入門することを意味する「弟子入り」、師から直接教えを受けることを意味する「直門」、師の門に入り教えを受けることを意味する「門下」などがあります。

私淑の意味

私淑とは

私淑とは、直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶことを意味しています。

表現方法は「私淑する」「私淑している」「私淑申し上げておりました」

「私淑する」「私淑している」「私淑申し上げておりました」などが、私淑を使った一般的な言い回しです。

私淑の使い方

私淑を使った分かりやすい例としては、「葛飾北斎に私淑して絵を描いている」「心の師と仰いで私淑しています」「趣味に関して私淑する人はいますか」「作品や著書を通じて私淑している」「インターネットが私淑する空間となる」などがあります。

その他にも、「勇敢なジャンヌダルクを私淑している」「芸術流派の琳派は私淑によって形成された」「偉人や著名人などたくさん私淑する人がいます」「心から尊敬をし私淑申し上げておりました」「崇拝と呼べるレベルで私淑しております」などがあります。

私淑という言葉は、直接教えを受けることはできないが、ひそかに尊敬し模範として学ぶことを意味します。また、教えを受けたことはないが、尊敬する人をひそかに師と仰ぐことの意味でも使われています。「私」には密かに、「淑」には良いとして慕うこと、の意があります。

私淑の由来

私淑は、孔子と孟子の関係からできた故事成語です。孟子は、孔子が亡くなってから百年以上後に生まれたので、孔子の直接の弟子にはなれませんでした。しかし、「予われは諸これを人に私淑するなり」と述べて、孔子の教えを人づてに教わって尊敬していることを表現しました。

私淑の対義語

私淑の対義語・反対語としては、親しく接してその感化を受けることを意味する「親炙」などがあります。

私淑の類語

私淑の類語・類義語としては、見習うべき物事を意味する「手本」、見習うべき手本を意味する「模範」、行動や判断の基準となる模範を意味する「規範」、考えや行動の規準とするものを意味する「規矩」などがあります。

師事の例文

1.アメリカ留学時代に師事した教授からは、好奇心と探求心の大切さを学びました。
2.どうしても憧れの先生から教えを受けたいので、土下座してでも師事を乞うつもりだ。
3.声楽で師事している先生が出産予定なので、他の先生を探さなくてはならない。
4.道元禅師は栄西禅師の高弟である明全和尚に師事された、と言われている。
5.有名なシェフのレストランでお料理の美味しさに感動し、この料理人に師事したいと強く願うようになりました。

この言葉がよく使われる場面としては、先生として尊敬し、その教えを受けることを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「師事を乞う」とは、尊敬する先生に指導を受けられるようにお願いすることを表しています。例文4にある「師事された」は師事することの受け身表現です。

私淑の例文

1.私淑している写真家の写真集をもとに、同じ景色をカメラに収めてみようと思う。
2.小説家を目指す私が私淑する憧れの作家は、芥川龍之介です。
3.かねてより私淑してやまない経済学者のセミナーが開かれると知り、さっそく申し込むことにした。
4.アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、日本人の禅僧に私淑していたそうだ。
5.洋服の着こなしで私淑しているブロガーさんに街ですれ違ったら、私は気づくことはできるだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、直接教えを受けたことはないが、尊敬する人をひそかに師と仰ぐことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、私淑する対象は、会ったことがない著名人であったり、ネット上のあこがれの人であったり、故人や偉人だったり様々です。例文3にある「私淑してやまない」とは、師として仰いでいる尊敬の念に限りがないことを表しています。

師事と私淑という言葉は、どちらも周囲に及ぼす力を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、師として尊敬し直接教えを受けるこを表現をしたい時は「師事」を、直接に教えは受けてなくても師と考えて尊敬し学ぶことを表現したい時は「私淑」を使うようにしましょう。

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