似た意味を持つ「差異」(読み方:さい)と「差分」(読み方:さぶん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「差異」と「差分」という言葉は、二つのものを比べた時の違いという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
差異と差分の違い
差異と差分の意味の違い
差異と差分の違いを分かりやすく言うと、差異は一方が変更されたか否か明確ではない時に使い、差分は一方が変更された時に使うという違いです。
差異と差分の使い方の違い
一つ目の差異を使った分かりやすい例としては、「実力に大きな差異が出るのはこれまでの経験ゆえだろう」「男女の身体的差異は人物画を描く際に気にする必要がある」「他の商品との差異があまりない商品は廉価版と呼ばれている」などがあります。
二つ目の差分を使った分かりやすい例としては、「一度キャンセル料として増えた金額の差分を支払う」「元データの差分を出力してクライアントに納品する」「差分ファイルを目で見て確認したところで何が違うのかがわからない」などがあります。
差異と差分の使い分け方
差異と差分のどちらの言葉も、二つ以上のものを比較した時に分かる違いを意味する言葉ですが、言葉が使われる場面が若干異なります。
差異は、差異の異という漢字が他と違っている状態を表すことから、上記例文の「男女の身体的差異」などのように他のものと異なる箇所や違いを意味します。
一方の差分は、差分の分という漢字が別々にすることを表すことから、上記例文の「元データ差分を出力」などのように二つ以上のものに違いをつけたものを意味します。
つまり、差異は元から異なる点を指す場合や手が加えられたことがわからない場合に使い、差分は元あるものが変更された後のものを指す場合に使います。
差異と差分の英語表記の違い
差異も差分も英語にすると「difference」となり、例えば上記の「大きな差異」を英語にすると「big difference」となり、上記の「差分を支払う」を英語にすると「pay the difference」となります。
差異の意味
差異とは
差異とは、他のものと異なるところを意味しています。
差異の読み方
差異は「さい」という読み方をするのが一般的ですが、「しゃい」という読み方をすることもあります。また、「差違」という表記もなされますが意味はほとんど同じで、強いて言えば比較しようがないものの違いに対して差違は使われます。
表現方法は「差異がある」「差異がない」「金額の差異」
「差異がある」「差異がない」「金額の差異」「数字の差異」などが、差異を使った一般的な言い回しです。
差異の使い方
差異を使った分かりやすい例としては、「差異化戦略によって企業業績が大幅に伸びたと感じる」「今回支払った金額に前回とは大きな差異が見られる」「同じように作業をしていても差異が生じる可能性がある」などがあります。
その他にも、「歴史的な背景を聞いたうえでニュースを見た生徒たちの理解度に差異が認められた」「そのキャラクターの初期案と実際に採用された案には差異がある」「画面を見る場所によっては若干差異が生じる素材が使われている」などがあります。
差異は、差異の異という漢字が他と違っている状態を表すことから、状態などの違いを表す差という漢字と組み合わせて、他のものと異なる箇所を意味します。
「差異化」の意味
上記例文の「差異化」は、異なるものとして区別することを意味する言葉で、商品の開発や新サービスの考案の際などに使われています。他のライバル企業などが持たない要素を持つ商品やサービスで、どの企業のものとも同じものと認識されないよう売り出します。
似たような言葉に「差別化」がありますが、これは他企業の商品やサービスと比較され優劣をつけられるときに、独自性があり優位に立てるような商品を生み出す時に使われる言葉であるため、相手よりも優位に立つことを意味に含まない差異化とは若干異なります。
差異の類語
差異の類語・類義語としては、二つのものの間に違いがあることを意味する「相違」、二つの物事がかけ離れていることを意味する「懸隔」、異なっているところを意味する「異同」、互いに反対であることを意味する「相反」などがあります。
差異の対義語
差異の対義語・反対語としては、互いに共通点があることを意味する「類似」、二つ以上のものが同じであることを意味する「一致」、ぴったりと合うことを意味する「合致」があります。
差分の意味
差分とは
差分とは、元の変更前のものと変更後のものの違いを意味しています。
差分の読み方
差分は「さぶん」という読み方をしますが、「さしわく」という読み方をする場合は区別することを意味します。「さしわく」という言葉の場合は、「差分く」「差し分く」と表記されることがほとんどですが、一般的にはあまり使われていません。
表現方法は「差分を取る」「差分を埋める」「差分がある」
「差分を取る」「差分を埋める」「差分がある」などが、差分を使った一般的な言い回しです。
差分の使い方
差分を使った分かりやすい例としては、「差分バックアップのおかげでデータを前の状態に戻すことができる」「差分データのダウンロードを行なってアプリの更新をする」「差分ファイルを抽出するフリーソフトを導入した」などがあります。
その他にも、「表情差分がたくさんあったキャラクターは途中から笑わなくなってしまった」「特典として付けられるイラストにはポーズ差分があったらしい」「差分を比較しても分からないような箇所の変更を行なった」などがあります。
差分は本来数学用語
差分は本来数学用語で、関数におけるxの数値を2パターン分算出した際の関数値の差を表します。また、数列において、次の項から前の項を引いた差である階差の意味も持ちます。
今日では、上記例文の「差分バックアップ」「差分データ」のようにIT業界などにおいて元の状態を更新するためのデータを表す言葉として使われています。
また、イラストやゲーム業界においても使われ、例えば元あるキャラクターのイラストのセリフ、表情、髪型や服装が変更されたものなど、別パターンのファイルを指しますが、元のファイルの原型が見られない場合には使うことができません。
差分の類語
差分の類語・類義語としては、前のものと比較した時に変わった点を意味する「変更点」、プログラムの一部分を更新するためのデータを意味する「パッチ」などがあります。
差分の対義語
差分の対義語・反対語としては、前回分よりも増えた分を意味する「増分」、二つ以上のものに共通する物事や性質を意味する「共通点」があります。
差異の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他のものと異なるところなどが挙げられます。
例文3の「差異化」とは、比較対象とは明確な違いを出して優劣関係なしに違うものとして区別をすることを表す言葉です。
差分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、元の変更前のものと変更後のものの違いなどが挙げられます。
差分はビジネスシーン、特にIT分野やイラストやゲーム業界などで使われる言葉であるため、数学用語として使わない場合以外は日常生活においてはあまり使われません。
差異と差分どちらを使うか迷った場合は、一方が変更されたか否か明確ではない場合は「差異」を、一方が変更された場合は「差分」を使うと覚えておけば間違いありません。