【事情】と【都合】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「事情」(読み方:じじょう)と「都合」(読み方:つごう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「事情」と「都合」という言葉は、どちらもある人や物事を取り巻く状況を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。

事情と都合の違い

事情と都合の違いを分かりやすく言うと、事情というのは、理由とセットになった状況のことを意味していて、都合というのは、自分の状況のやりくりを意味しているという違いです。

事情は「事情通」という言葉があるように、状況を客観的に外から眺めているイメージのある言葉で、都合は「都合をつける」という言葉があるように、状況に対する主体的な働きかけが念頭に置かれているというイメージのある言葉です。

事情というのは、状況を意味する言葉です。ただし今現在どうなっているかだけではなく、そうなるに至った経緯や、今後どうなっていくかの見込みまで含めた、過去・現在・未来に至る、全体的で俯瞰的な状況を指す言葉です。

例えば「岩手県の住宅事情に詳しい」といえば、岩手県の今現在の相場だけではなく、相場の由来や今後の見込み、また自治体ごとの住宅補助、さらに治安、住環境、防災対策などについて、総合的に詳しいということを意味しています。

ただし、ごく簡単に言うと、「事情があって今日は行けない」と言われる時に念頭に置かれているように、「理由とセットになった状況」のことを意味します。

行けないという状況は明らかですが、その理由を伏せたい時や、経緯の説明が難しい時に「事情があって」という言葉が選ばれます。

次に、都合というのは、ごく簡単に言うと、予定や状況をやりくりをすることを意味します。「都合をつける」というのは、「予定を空けておく」という意味で、「その日は都合が悪い」というのは、「どうしても予定が入っている」ということです。

事情の意味

事情とは、因果関係や経緯とセットになった状況を意味しています。

目の前に見える今現在の状況のことを「実情」といいます。「被災地の実情」というように、あまり良い使われ方をする言葉ではありませんが、「実情」には経緯という意味合いはなく、「対処し、改善なければならない」という意味合いが込められています。

それに対して「実情」という言葉は、傍観者として、もっと客観的に事の次第を見極めるというような意味合いのある言葉です。「○○事情に詳しい専門家」という言葉はニュースやワイドショーでよく聞きますが、彼ら専門家は事の当事者ではありません。

状況を客観的に見つめ、経緯を冷静に判断するためには、現在だけではなく、そうなるに至った過去の理由や、これからどうなっていくかという、未来への目配りが必要です。「事情」という言葉は、過去・現在・未来を含む。広い意味での「状況」を意味します。

ただし、日常的には「事情があって予約をキャンセルさせてください」のように、「断りを入れる際の理由」程度の意味で使われる場合がほとんどです。

そしてこの場合、具体的な理由は言いたくないか、経緯が入り組んでいて説明が出来ないという意味合いも込められています。

事情の類義語としては、物事がそうなっているわけを意味する「理由」、過ぎ去った過去とこれから行く先の未来を意味する意味する「来し方行く末」、人や物事のその時々の状況や、その知らせを意味する「消息」などがあります。

事情の事の字を使った別の言葉としては、物事の様子や、物事の成り行きを意味する「事態」、特定の日に恒例となっている催しのことを意味する「行事」、いたましく悲惨な出来事、事件のことを意味する「惨事」などがあります。

事情の情の字を使った言葉としては、知識や事情を伝達する媒体や、それを授受することを意味する「情報」、国の社会や文化などの状況のことを意味する「国情」などがあります。

都合の意味

都合とは、予定や状況のやりくりを意味しています。事情というのが客観的で自分が外から傍観している状況だと考えると、都合は逆に「自分の状況」のことと考えることが出来ます。

一口に自分の状況と言っても色々あり、変更不可能なもののほうが多いですが、「都合」というのは「やりくり」の出来るもの、つまり変更の裁量が自分にあるような状況のことを意味します。

例えば「その日は何とか都合をつけるよ」と言われる場合、元々は別の用事が入っていたけれども、その用事は別の日に変更することが出来るという事です。この「変更」するかどうかが念頭に置かれているという点が、「都合」という言葉に特徴的な言葉です。

「一身上の都合により退職します」というのも、「仕事に支障をきたしている身の回りの状況」が「変更出来ない」ということです。

都合の類義語としては、物事や健康、事の運びなどを意味する「具合」、活動しているものも状態や具合を意味する「調子」、ちょうど良い具合に処理することを意味する「塩梅」(読み方:あんばい)などがあります。

都合の都の字を使った言葉としては、物事が行われたり、出来事が生じたりするたびこと、毎回のことを意味する「都度」などがあります。「そのつど」の「つど」です。

都合の合の字を使った言葉としては、多くのものが集まること、また集まることを意味する「集合」、二つ以上のものを照らし合わせて確認することを意味する「照合」、結びついて一つになることを意味する「結合」などがあります。

事情の例文と使い方

1.今日は個人的な事情があって約束の時間に遅れてしまった。
2.これまでは大目に見ていたが、そうは言っていられない事情が生じることになったんだ。
3.予定しておりました本イベントは、諸般の事情により中止が決定いたしました。
4.お客様のご事情を鑑み、今回は急遽ご対応させていただきましたが、今後は事前に一報下さると、我々の対応準備にとって幸いでございます。
5.事情通の近所のおばさんの目線に、この時ばかりは恐怖を覚えずにはいられなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、具体的に示すことなく理由をつけたい時などが挙げられます。「事情があって」という言葉は、理由があることを示しますが、具体的にどんな理由なのかを明示はしません。

特に例文3の「諸般の事情」という言葉は、文字通りには「様々な経緯や理由があり、とても説明できるものではない」という意味ですが、不祥事からのイベント中止などの時に、理由をぼかすために使われる常套句です。

都合の例文と使い方

1.出勤表を作るので、都合が悪い日には、カレンダーに印をつけておいてください。
2.人手が足りないからその日は何とか都合をつけてくれないか、と頼まれてしまった。
3.なお、紙幅の都合上、インタビューは全文が掲載されるわけではないことを予めご了承願います。
4.昔、時間の都合をつけては足しげく通ったお店が、ついに閉店の運びとなったと聞いた。
5.都合五度の話し合いの場が持たれたが、双方毎度同じ主張が繰り返されては議論は平行線に終わり、決着する気配さえ見えない

この言葉がよく使われる場面としては、やりくりの出来る状況や予定を表現したい時などが挙げられます。

都合も広い意味では状況のことを意味しますが、「都合をつける」や「都合を合わせる」のように、周囲の状況や予定に合わせた変更が考えられるようなものです。都合は「個人的な予定や状況」と考えることも出来ます。

厳密な意味を理解しようとすると、「都合」は意外に難しい言葉ですが、「都合が悪い」や「都合上」など、慣用的な表現を使えるようにすれば役に立ちます。

また、例文5のように、「都合」が「合計」の意味で使われることもあります。