似た意味を持つ「提出」(読み方:ていしゅつ)と「提示」(読み方:ていじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「提出」と「提示」という言葉は、どちらも「相手にわかるように出すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
提出と提示の違い
提出と提示の意味の違い
提出と提示の違いを分かりやすく言うと、提出とは相手に手渡してしまって自分の手元にないことを表し、提示とは相手に見せるだけで自分の手元にあることを表すという違いです。
提出と提示の使い方の違い
一つ目の提出を使った分かりやすい例としては、「明日までの提出物がまだ出来上がっていない」「政府は予算案を国会に提出した」「確定申告書を税務署に郵送して提出する」「オンラインによる提出が開始されました」などがあります。
二つ目の提示を使った分かりやすい例としては、「情報は提示の順序によって印象が変わります」「部長が新たなビジネスモデルを提示した」「お得意様に特別価格を提示する」「カードの提示でお得な特典や割引が受けられます」などがあります。
提出と提示の使い分け方
提出と提示という言葉は、どちらも他の者にわかるように示すこと、相手に知らせるために見せることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
提出とは、相手に差し出すことを意味します。書類や届出書などを、役所などの公けの場所に差し出すことを表す言葉です。また、学校生活において宿題を先生に渡すことも「提出」と言います。基本的には形あるものを誰かに渡して、それが自分の手元にはなくなるさまを表現します。
提示とは、相手に差し出して見せることを意味します。「カードの提示」のように目に見えるものを差し出すだけでなく、「ビジネスモデルを提示」のように形のないアイデアや意見などを誰かに伝えることも表す言葉です。形あるものを提示する場合、手元においたまま相手にみせることを表現します。
つまり、提出とは相手に何かを渡してしまって自分の手元にはなくなってる状況ですが、提示とは相手に何かを見せただけで自分の手元に残って状況のことです。また、提出は形あるものだけを対象にしていますが、提示という言葉は目に見えるものと見えないものの両方に使用できます。
提出と提示の英語表記の違い
提出を英語にすると「submission」「exhibition」「introduction」となり、例えば上記の「提出物」を英語にすると「the documents for submission」となります。
一方、提示を英語にすると「presentation」「production」「showing」となり、例えば上記の「提示の順序」を英語にすると「order of presentation」となります。
提出の意味
提出とは
提出とは、書類や資料などを、ある場所、特に公けの場に差し出すことを意味しています。
表現方法は「提出する」「提出をお願いします」
「提出する」「提出をお願いします」などが、提出を使った一般的な言い回しです。
提出の使い方
提出を使った分かりやすい例としては、「ビジネス文書を英語に訳して提出する」「書類は韓国語作成し、原本を提出してください」「提出期限のリマインドメールを送りました」資料提出の催促メールを書いています」などがあります。
その他にも、「提出書類の添え状の書き方を教えてください」「提出代行に関する証明書を書棚に保管する」「コンテストに出品するためイラストデータを提出した」「被災者への支援金を拡充する法案を提出しました」などがあります。
提出の「提」は差し出すことや持ち出すことを表し、「出」は内から外へだすことを表す漢字です。提出とは、相手が受け取ることを期待して持ち出すこと、人に差し出して渡すことを意味します。学校の宿題を先生に手渡したり、ビジネスの場で書類を差し出すことなどを表す言葉です。
提出という言葉を敬語にする場合は、尊敬や丁寧の意味を添える接頭辞「ご」を付けて「ご提出」と表現します。自分が何かを相手に提供する場合は「ご提出いたします」、相手に何かを要求する場合は「ご提出ください」などと言います。
提出の対義語
提出の対義語・反対語としては、隠して人に見せないことを意味する「隠秘」などがあります。
提出の類語
提出の類語・類義語としては、訴訟や問題などを提出することを意味する「提起」、手から手へ渡すことや直接渡すことを意味する「手渡す」、差し出すことや提出することを意味する「呈出」などがあります。
提示の意味
提示とは
提示とは、差し出して見せることを意味しています。
提示の読み方
提示の読み方は「ていじ」です。同じ読み方をする熟語に「呈示」があります。呈示という言葉も「差し出して見せること」の意味がありますが、「手形を示すこと」の意味もあるので注意してください。
表現方法は「提示する」「提示を受ける」「提示を求める」
「提示する」「提示を受ける」「提示を求める」などが、提示を使った一般的な言い回しです。
提示の使い方
提示を使った分かりやすい例としては、「アプリのクーポン提示で全品5%OFFいたします」「お買い物の際にレジでご提示ください」「アイコンをタップしてお店の人に提示する」「カードを提示するだけでポイントがたまります」などがあります。
その他にも、「英語力を採用条件として提示している」「中間とりまとめの骨子案を提示する」「変化の予兆を読み解くヒントを提示する」「話術や身振りで学習内容を提示する」「学習のめあてを分かりやすく提示する」などがあります。
提示の「示」は訓読みで「しめす」と読み、相手によくわかるように出して見せたり、自分で何かをして見せたりすることを表します。差し出すことを表す「提」と結びつき、提示とは、その場に出して示したり、見せたりすることを意味する言葉です。
「提示部」の意味
提示を用いた日本語には「提示部」があります。提示部とは、楽曲において、主題またはそれに代わる重要な素材が提示される部分を意味する音楽用語です。特に、ソナタ形式において第1・第2主題が初めて現れる部分を指します。「呈示部」とも書きます。
提示の対義語
提示の対義語・反対語としては、物や金を受け取ることを意味する「受領」などがあります。
提示の類語
提示の類語・類義語としては、 はっきりと表し示すことを意味する「表示」、差し出して見せることを意味する「呈示」、物事をそれと指ししめすことを意味する「指示」、はっきり示すことを意味する「明示」などがあります。
提出の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その場に持ち出すこと、人に差し出して渡すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、提出の慣用的な言い回しには「提出期限」「提出する」「提出先」などがあります。「提出先」とは、書類などを提出する宛先のことであり、郵送などで提出する場合は「送付先」とも言います。
提示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その場に出して示すことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある提示と呈示の違いは、呈示は支払請求のために小切手を示すことを意味し、一方の提示は出して見せることを意味する点にあります。
提出と提示という言葉は、どちらも「相手にわかるように出すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手に手渡してしまって自分の手元にないさまを表現したい時は「提出」を、相手に見せるだけで手元にあるさまを表現したい時は「提示」を使うようにしましょう。