同じ「あう」という読み方の「会う」と「逢う」と「遭う」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「会う」と「逢う」と「遭う」という言葉は同音の言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。
「会う」と「逢う」と「遭う」の違い
「会う」と「逢う」と「遭う」の意味の違い
「会う」と「逢う」と「遭う」の違いを分かりやすく言うと、「会う」は予定を決めて自発的に会う時に使い、「逢う」は運命的に出会う時に使い、「遭う」は好ましくないことに出会う時に使うという違いです。
「会う」と「逢う」と「遭う」の使い方の違い
「会う」という言葉は、「明日食事をするために彼女に会う」「今日会った彼は機嫌がよかった」などの使い方で、顔を合わせることや、対面することを意味します。
「逢う」という言葉は、「彼に再び逢うために仕事をすぐさま片付けた」「素敵な出会いに巡り逢う」などの使い方で、運命的に偶然出会うことを意味します。また、親しい特別な関係の相手であれば、使うことができます。
「遭う」という言葉は、「どんな目に遭うかわからない」「現段階で痛い目に遭うのは何となく察しがついている」などの使い方で、好ましくない事物に出会うことを意味します。
「会う」と「逢う」と「遭う」の使い分け方
「会う」と「遭う」はほとんど同じ意味で使われていますが、対象との関係や対象自体が特別か否かでどちらかを使うかが決まる言葉です。前者は大体どんな人にも使うことができますが、後者は特別な相手に使う言葉です。
また、「逢う」という言葉は古文では結婚するという訳が当てられることもあり、前々から特別視する相手に使うとされています。
一方、「遭う」という言葉は、好ましくない状況や物、苦手な人物といったものに対して使われる言葉です。「会う」という言葉に置き換えて使うことがほとんどできますが、「逢う」という言葉に置き換えて使うことはできません。
これらが、「会う」「逢う」「遭う」の明確な違いです。
「会う」の意味
「会う」とは
「会う」とは、顔を合わせることや、対面することを意味しています。
表現方法は「恋人に会う」「両親に会う」「友達と会う」
「恋人に会う」「両親に会う」「友達と会う」などが、会うを使った一般的な言い回しです。
「会う」を使った言葉として、「地獄で仏に会ったよう」「会わせる顔がない」があります。
「地獄で仏に会ったよう」の意味
一つ目の「地獄で仏に会ったよう」とは、危機や苦難が訪れている中で、思わぬ助けに合った時の嬉しさを例えた言葉です。「地獄で仏」や「地獄で仏に会う」とも言われます。また、「地獄で地蔵に会う」や「渡りに船」は類義語に当たります。
「会わせる顔がない」の意味
二つ目の「会わせる顔がない」とは、相手の期待や信頼を裏切るようなことをしてしまったため、申し訳なさでその人に会いにくいことを例えた慣用句です。「会わせる」は「会わす」や「合わせる」「合わす」のような書き方もされます。
「会う」の対義語
「会う」の対義語・反対語としては、あるものとの間に隔たりができることを意味する「離れる」、一緒にいたものが離れ離れになることを意味する「別れる」があります。
「会う」の類語
「会う」の類語・類義語としては、顔を合わせて会うことを意味する「対面」、大勢の人が集まることを意味する「参集」、対面することを意味する「相見」(読み方:しょうけん)、目上の人に会うことを意味する「見える」(読み方:まみえる)があります。
「逢う」の意味
「逢う」とは
「逢う」とは、思いがけない場所で直接顔を合わせることを意味しています。
「逢う」は常用外漢字
「逢う」の逢という漢字は常用外漢字です。そのため、新聞などの公用文では使用されず、基本的に物語小説や古文で使われる言葉です。
表現方法は「出逢う」「巡り逢う」「運命的な逢い方」
「出逢う」「巡り逢う」「運命的な逢い方」などが、逢うを使った一般的な言い回しです。
「逢う」を使った言葉として、「逢うは別れの始め」「逢うた時に笠を脱げ」があります。
「逢うは別れの始め」の意味
一つ目の「逢うは別れの始め」とは、会った人とはいつか必ず別れなければならないことを意味する言葉です。もとは、中国が唐時代の詩人である白居易による『和夢遊春詩一百韻』に書かれていた「合うは離るるの始め」という詩が元になった言葉です。
「会うは別れの始め」という表記も間違いではなく、「会うは別れ」「別れなくして出会いなし」「愛別離苦」などが類義語に当たります。
「逢うた時に笠を脱げ」の意味
二つ目の「逢うた時に笠を脱げ」とは、知り合いに会った時には、相手が例え苦手な人であったとしても、まず挨拶をしなさいという礼儀の大切さに関する教えです。
この教えが転じて、全ての機会が自分のためになるかもしれないので、逃さないようにしなさいということを意味するようになりました。
「逢う」の類語
「逢う」の類語・類義語としては、長く求めていたものに出会うことを意味する「巡り会う」、人や事件などに偶然に行き会うことを意味する「出会う」、思いがけなく出会うことを意味する「邂逅」などがあります。
「遭う」の意味
「遭う」とは
「遭う」とは、好ましくない事物や苦難などに出会うことを意味しています。
表現方法は「事故に遭う」「盗難被害に遭う」「夕立に遭う」
「事故に遭う」「盗難被害に遭う」「夕立に遭う」などが、遭うを使った一般的な言い回しです。
「遭う」を使った言葉として、「憂き目に遭う」「たまに出る子は風に遭う」があります。
「憂き目に遭う」の意味
一つ目の「憂き目に遭う」とは、辛い境遇に身を置くことを意味する言葉で、辛い経験をすることや酷い目に遭うことを意味する「憂き目を見る」や「痛い目に遭う」は類義語に当たります。
「たまに出る子は風に遭う」の意味
二つ目の「たまに出る子は風に遭う」とは、普段しないようなことをすると、失敗してしまったり不運に出逢うという例えのことわざです。
普段家に閉じこもってばかりいる子が、たまに外に出るとその日に限って強い風が吹くことが由来となった言葉です。
「遭う」の類語
「遭う」の類語・類義語としては、偶然出会うことを意味する「会遇」、ぶつかることを意味する「衝突」、物事に直接対することを意味する「直面」、対立する者同士が睨み合ったまま動かずにいることを意味する「対峙」などがあります。
「会う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、顔を向かい合わせることや場所を決めて対面することを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、場所を決めてなかったとしても、その話をする際に特別な関係ではない場合には「会う」を使うことができます。
「逢う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思いがけない偶然の中で対面することを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、偶然でなくとも親しい仲の人たちにも使うことができる言葉です。
「遭う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、好ましくないことに出会うことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「夕立」とは、夏の時期の午後から夕方に降るにわか雨を指す言葉で、「夕立に遭う」という表現は夕立に降られてしまったことを表す時に使います。
「会う」と「逢う」と「遭う」どれを使うか迷った場合は、予定を決めて会うことを表す場合は「会う」を、運命的に出会うことを表す場合は「逢う」を、好ましくないことに出会うことを表す場合は「遭う」を使うと覚えておけば間違いありません。