似た日本語である「世知がない」(読み方:せちがない)と「世知辛い」(読み方:せちがらい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「世知がない」と「世知辛い」は似ている言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
世知がないと世知辛いの違い
世知がないは世知辛いの間違い
世知がないと世知辛いの違いを分かりやすく言うと、世知がないとは世知辛いの間違った使い方、世知辛いとは世渡りが難しいことです。
一般的には世知がないという言葉は存在しません。漢字の成り立ちや読み方が似ていることから、世知辛いのことを間違えて世知がないとして使っている人がほとんどです。
正しい言葉である世知辛いを使った分かりやすい例としては、「不安なニュースが飛び交う世知辛い世の中です」「世の中世知辛いのじゃ」「世知辛い時代になったなぁ」「彼女はとても世知辛い人です」などがあります。
世知辛いという言葉はあっても、世知がないという言葉は存在しません。同時に世知辛いという単語の意味について、世渡りが難しいことと覚えておきましょう。
世知辛いの読み方
世知辛いを「せちつらい」「せちからい」「せちがない」と読むのは全て間違いです。正しい言葉使いは「せちがらい」です。
世知辛いの英語表記
世知辛いを英語にすると「cold」「miserly」「difficult」となり、例えば上記の「世知辛い世の中」を英語にすると「It’s a difficult world」となります。
世知がないの意味
世知がないとは
世知がないとは、世知辛いの間違った使い方を意味しています。
世知がないは誤字
世知がないという言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。漢字が似ているため、世知辛いと混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けてください。
世知がないと世知辛いは文字で書くと間違えることは少ないのですが、世知がないと世知辛いは発音がとても似ているため、会話上で間違えることがあるので注意しましょう。
世知がないの世の字を使った別の言葉としては、世の中成り行きのことを意味する「世運」(読み方:せいうん)、財産や職業などを嫡系の子孫が代々受け継ぐことを意味する「世襲」、地球上全ての地域や国家のことを意味する「世界」などがあります。
世知辛いの意味
世知辛いとは
世知辛いとは、世渡りが難しいことや暮らしにくいことを意味しています。その他にも、金銭に細かくてケチなことや抜け目がないことの意味も持っています。
世知辛いの使い方
「昔と比べて世知辛い世の中になりました」「今勤めている会社はとても世知辛い」「最近は世知辛いニュースが多いと感じる」などの文中で使われている世知辛いは、「世渡りが難しいことや暮らしにくいこと」の意味で使われています。
一方、「彼は世知辛い商売ばかりやっている」「世知辛い人は嫌われる」「世知辛い大人にはなりたくない」などの文中で使われている世知辛いは、「金銭に細かくてケチなことや抜け目がないこと」の意味で使われています。
世知辛いの由来
世知辛いの世知は世渡りの知恵のことを意味する仏教用語でした。また、日本では抜け目がないの意味でも使われていました。それが転じて、世知な人が増えた世の中ではとても暮らしにくいという意味で用いられるようになりました。これが世知辛いの語源になります。
なんでも計算づくや金銭づく、周りの人への配慮のない言動が多くてとても暮らしにくい世の中のことを、世知辛い世の中と表現しています。
世知辛いは二つの意味を持っていてどちらも使われるのですが、よく使われているのは、世渡りが難しいことや暮らしにくいことの意味です。また、辛いという言葉通りマイナスなイメージを持っています。
表現方法は「世知辛い世の中」「世知辛い会社」「世知辛い社会」
世知辛いは「世知辛い世の中」「世知辛い社会」「世知辛い会社」「世知辛い職場」「世知辛い商売」「世知辛い人」などがよく使われている表現方法です。
世知辛いの類語
世知辛いの類語・類義語としては、非常に厳しいことを意味する「シビア」があります。
世知辛いの辛の字を使った別の言葉としては、判定がやや厳しいことを意味する「辛い」、面倒であることを意味する「辛気」、辛く苦しい思いをすることを意味する「辛苦」、辛いことや苦しいことを我慢することを意味する「辛抱」などがあります。
世知がないの例文
この言葉がよく使われる場面としては、世知辛いという言葉を間違えて世知がないと表現している時など時などが挙げられます。
世知がないという言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、世知辛いを間違えて使っている可能性が高い言葉です。
世知がないという言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、世知がないではなく、世知辛いと表現するのが正しい使い方です。
世知辛いの例文
この言葉がよく使われる場面としては、世渡りが難しいことや暮らしにくいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、金銭に細かくてケチなことや抜け目がないことを表現したい時にも使います。
例文1から例文4は世渡りが難しいことや暮らしにくいことの意味で使われています。特に、例文1の世知辛い世の中は目にすることのある言葉なはずです。また、世知辛いは否定的な意味を持つ言葉なので、マイナスなイメージを持っています。
例文5は、金銭に細かくてケチなことや抜け目がないことの意味で使われています。特に、関西圏では使われることが多い意味になります。
世知がないと世知辛いどちらを使うか迷った場合は、世知がないは辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の世知辛いを使うようにしてください。