似た意味を持つ「不要」(読み方:ふよう)と「不用」(読み方:ふよう)と「無用」(読み方:むよう)の違いと使い方を分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しいのか、このページの使い方を参考にしてみて下さい。
「不要」と「不用」と「無用」という言葉は、どれも必要がないことを意味するという共通点を持つ類義語です。本来の意味は少し違いますが混同して使用される傾向があります。
不要と不用と無用の違い
不要と不用と無用の意味の違い
不要と不用と無用の違いを分かりやすく言うと、不要というのは必要がないという意味で、不用というのは(もう)使わないから必要がないという意味で、無用というのは無益だから必要がないという意味を持つという違いです。
不要と不用と無用の使い分け方
三つの中で最も基本的な意味を持つ言葉が「不要」です。これは文字通り、「必要がない」ことを広く意味する言葉です。「不用」と「無用」は、「どういう意味で」不要なのか、ニュアンスを付け加えた言葉だと考えると、三つの言葉の違いが分かりやすいです。
「不要」というのは漠然と必要がないという意味ですが、この言葉を実際に使う場合には、「今持っていないものが必要ない」ことを表現する場合が多いです。例えば、持っている肌着で間に合っている場合、「新しい肌着は不要です」。
次に、「不用」というのは使わないから必要がないという意味ですが、この言葉を実際に使う場合には、「今持っているものがもう必要がない」ことを表現する場合が多いです。例えば、持っている肌着がボロボロの場合、「この肌着は不用」です。
最後に、「無用」というのは無益だから必要がないという意味です。「無用な出費を抑える」というのは、必要がないというだけではなく、利益を害する出費をしないようにするという意味です。
ただし、「不要」が最も広い言葉であるため、「この肌着は不要」や「不要な出費を抑える」という表現も正しいです。話し手側が「どういう意味で必要がないのか」を、聞き手側の理解に委ねる場合、「不要」が使われます。
混乱を避けるためであれば「不要」を使うのが最も好ましいですが、「不用」と「無用」には、以上説明したような基本的な意味から離れたやや特殊な意味もあり、その場合には「不要」で置き換えられないこともあります。詳しくは、以下の個別項目で説明します。
不要の意味
不要とは
不要とは、必要ではないことを意味しています。「どういう意味で必要ないのか」というニュアンスを含む表現ではないので、三つの中で最も高汎用の言葉です。迷ったら「不要」を使うと覚えておけば間違いが生じません。
不要の要というのは、訓読みでは「かなめ」と発音し、物事の最も大切な部分、基本、基礎などの意味を持ちます。例えば「要職」「要点」「枢要」(読み方:すうよう)「要石」(読み方:かなめいし)などの言葉に使われる言葉です。
不要という言葉は特別なニュアンスを含む言葉ではないと説明しましたが、こうした言葉の成り立ちから考えていくと、「大切ではない、重要ではない」という意味合いを含むことが分かります。
表現方法は「不要なもの」「不要なため」「不要不急」
「不要なもの」「不要なため」「不要不急」「提出不要」などが、不要を使った一般的な言い回しです。
不要の使い方
不要を使った分かりやすい例としては、「不要なものはすぐに捨てないとどんどん溜まってしまう」「私には不要なため他の方にお譲りください」「不要不急の外出を控えるよう国から要請が出ている」などがあります。
不要の対義語
不要の対義語・反対語としては、なければならないことを意味する「必要」、必要の強意形である「不可欠」「必須」、口語や近代文語文などで用いられる、必要を意味する「入り用」「入用」などがあります。
不要の類語
不要の類語・類義語としては、やっても甲斐のないことや、あっても役に立たないことを意味する「無駄」、必要な分量を超えていることを意味する「余計」などがあります。
不要の類義語・対義語・反対語は、不用と無用の類義語・対義語・反対語になることも多いです。
不用の意味
不用とは
不用とは、使う必要がないこと、使っても役に立たないことを意味しています。
不用の語源
「不要」に「使う」という意味合いを込めて「使う必要がない」ことを表現するのが、「不用」という言葉です。
なぜ「使う」という意味合いが込められるのかというと、それは「用」という漢字を使うからです。「用」という字は、「働き、役立ち、なすべき事」を意味します。「用途」や「用事」という言葉を思い浮かべて下さい。
不用の使い方
「不用」という言葉は、「使う必要のない物品」を表現する時に用いられます。「不用品回収」や「不用品処分」、はたまた「不用品リサイクル」という言葉を考えてみて下さい。「今持っているものが必要ない」ことを意味する言葉と言うことも出来ます。
そこから転じて、「使っても役に立たない物品」を表現する時にも用いられます。例えば、「そこまで値段の張る道具は、初心者には不用」というような場合が考えられます。この場合は、「今持っていないものが必要ない」ことを意味しています。
どちらの意味の「不用」も「不要」と言い換えることが出来るので、特別な意味合いを出したい場合以外は「不要」を使う方が、間違いが少なくなります。
表現方法は「不用品回収」「不用品処分」「不用の用」
上記にもある通り「不用品回収」「不用品処分」「不用の用」などが、不用を使った一般的な言い回しです。
無用の意味
無用とは
無用とは、無益で必要がないことや、禁止すること、用事のないことを意味しています。
表現方法は「心配無用」「無用な混乱」「無用に願います」
「心配無用」「無用な混乱」「無用に願います」などが、無用を使った一般的な言い回しです。
無用の使い方
「不要」に「無益」という意味合いを込めて「無益で必要がない」ことを表現するのが、「無用」という言葉です。禁止や用事のなさという意味は、そこから派生して出来たものです。ただし、言葉の造りとしては「用が無い」という形で、「不用」に近いと言えます。
無と不はともに否定を意味する接頭辞です。どういう使い分けがあるのか、さまざまに文法的な説明が試みられていますが、結局は区別はなく、慣用的なものとして覚える以外にないのが現状です。無用と不用は違う意味ですが、言葉の造りはあてになりません。
無用という言葉は、無益で必要がないことを意味します。例えば生物の身体は、どの器官も生命維持のために何らかの役割を持っています。「無用な身体器官はない」と言うことが出来ます。この場合、「不要な身体器官はない」と言い換えることも出来ます。
また、「用」という漢字のつながりから、「してはいけないこと、禁止」や「用事のないこと」を意味することもあります。これらの意味では「不要」と言い換えることは出来ません。
「貼紙無用」「開放無用」の意味
例えば掲示板に「貼紙無用」と注意書きがされていたら、勝手に張り紙をするなという意味で、時々見かけます。あるいは窓の近くに「開放無用」と書いてあれば、開けるなという意味です。
「問答無用」の意味
「問答無用」とは「言い訳は聞かない」程度の使われ方をしますが、元々は「議論をしても益がない」という意味です。
「無用者の入室を禁ず」の意味
また、もはやあまり見かける表現ではありませんが、「用事のないこと」を意味する「無用」もあります。「無用者の入室を禁ず」と張り紙があれば、用のない人の入室は禁止という事です。
「無用の用」「無用の長物」の意味
無用を含んだ言葉としては、役に立たないようなものが、役に立つことがあることから、この世に役に立たない物などないという考えを意味する「無用の用」、役に立つどころかむしろ邪魔になるものを意味する「無用の長物」などがあります。
「無用の用」の例としては、例えば休憩時間が挙げられます。「寝る間も惜しむ」というように、休み時間は(状況によっては)不用だという考えもありますが、一般に適度な休憩をはさむことで全体的な効率が上がると考えられています。
「無用の長物」の例としては、読んでいない本、使わなくなったブランド品などが挙げられます。
無用の対義語
無用の対義語・反対語としては、役に立つことを意味する「有用」、効果があることを意味する「有効」、実際の使用に適することを意味する「実用的」、(値段のわりに)利益のあることを意味する「徳用」があります。
無用の類語
無用の類語・類義語としては、役に立たないことを意味する「用無し」や「無駄」などがあります。
不要の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必要のない物、必要がないことを表現したい時などが挙げられます。
家財など自分が持っているものに対して表現する場合に使うことが多いですが、最近では、会員登録の際にメールマガジンの配信を希望するかどうかの意思表示をさせる場合も多く、そうした際にも使われます。
必要がないことを表現したい場合にどの言葉を使うのか迷ったら、「不要」を使えば間違いはありません。
不用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、使わないので必要がないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1と2の「不用品」という言葉は「不要品」でも間違いがないように思われますが、慣例的に「不用品」と表記されます。「自分にとって不要」であっても、「別の誰かにとっては必要」という意味だと考えられます。
無用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、メリットがないことを表現したい時などが挙げられます。この意味での「無用」は「余計」や「いらぬ」と言い換えることが出来ます。例文1や2で試してみて下さい。
例文3の「無用者階級」というのは、造語です。普通「無用の者」と言えば「用がない人」の少し古風な表現ですが、「無用者階級」というのは、ある学者が提示した、ある属性を持つと見なされる人びとのことで、意味は全く異なります。